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運のいい人、悪い人

大学を卒業して出版社に務めていたとき、ある一冊の本を編集しました。

『運のいい人、悪い人』 中山正和 PHP新書

この本の内容を一言であらわすと「問題解決のポイントはとことん考え抜くことにある。その先は潜在意識の自己編集が始まり、直観が働くようになる」というものです。

直観がビシバシ働く、これこそ「運のいい人」にほかなりませんね。

中山さんとは、そのあと『考えて仕方があること・仕方がないこと』という<莫妄想のすすめ>の本を続けてつくりました。莫妄想は、まくもうそう、あるいは、まくもうぞうと読みます。

問題をまず、考えて仕方があることか仕方がないことかに仕分ける。仕方があることならとことん考え抜き、情報収集する。そして直観の働きを待つ。

ところが、考えても仕方がない問題ってけっこう多いんですね。そのことについて思いめぐらすこと、すなわち<妄想>。いわば脳の混線状態です。

それまでの自分は、まさにそんな状態でした。そしてこれをなくしていければ、あたまがスッキリして直観が働きやすくなる・・・


この二冊を企画、編集して、リアルにものごとが遠くまで視えるようになった気がします。アシタカの言う、曇りなき眼とはこんな感じではないか、と。

そしてなにより、当時80歳近かった中山正和さんが、孫のような若い編集者を暖かく包むように受け容れてくれたあの穏やかな笑顔が、ご自宅の陽に照らされた縁側とともに懐かしく思い出されます。

note では、自分と世界との境界をどう渡り歩いていくかについて、こんなふうに書き綴っていきます。


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