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考えすぎと俯瞰のリズム

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へんなものを見つけて考えて遠くから眺める 整合性と破壊、偏愛と狂気/冷静な神経質
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#サッカー

夢を叶えられない「好き」たちへ

中学の同級生の話をしたい。サッカーを愛する人の話だ。 彼は隣の小学校に通っていた。お互い少年団でサッカーをしていたので、よく練習試合で対戦していた。左利きでボール運びが上手く、キックも強烈な選手だった。ディフェンスの選手だった僕は直接勝負することも度々あったが、けちょんけちょんにされていた印象しかない。生来の負けず嫌いなので点数を決められる度に目を真っ赤にして、次こそは勝ってやると意気込んでいた。当時の自分には申し訳ないが、正直なところほとんどやられっぱなしだったと思う。

夕日が沈まないころの話

高校一年生の春、僕はサッカー部に入れなかった。新入生が入部届を提出するはずの日の放課後、徐々に人が減っていく教室で、いつまでもいつまでも椅子から立ち上がれなかった。体験入部にも行き、入部届も書いていたのにもかかわらず。 とても奇妙な時間だった。幼稚園の頃からサッカーを好きで続けていたから高校でも当然続けるものだと考えていた。確かに体験入部の時に何かが違うなとは思ったが、入らないという決断をするにはあまりに漠然とした理由だった。この理由は今でもわからない。なんとなく入らなかっ