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アニメ『名探偵コナン』の原点回帰、過去へのリスペクトについて熱弁する

日本テレビ系列で毎週土曜日夜18:00から放送されている推理アニメ『名探偵コナン』。
先の7月9日の放送より、新しいオープニング[以下OP]曲と映像になりました。

新しいOP映像ですが、各キャラクターの原作初登場回や名シーン × そのエピソード収録のコミックス表紙が散りばめられており、カッコ良いだけではない素敵なものとして構築されています。

この映像に対し「懐かしいシーンの詰め合わせ」「原作勢歓喜」といったような、過去の『名探偵コナン』と絡めた喜びの意見やツイートを多く目にしました。

また今回の新作OPだけではなくエンディング[以下ED]や劇場版においても、懐かしさを感じる機会が多いといった意見を見るようになって来ました。
私もアニメや劇場版を見ていて「このシーンとか原点回帰かな?」と感じる場面が、特に最近は多いように感じています。

そこで『名探偵コナン』シリーズにおける原点回帰とも考えられるシーン・音楽使用について、個人的に深く考えていきたいと思います。

原点回帰ポイント1.アニメOP&ED

最初にピックアップしていくのは、アニメのOP&EDで流れる映像についてです。

今回の新OPでは先に記した通り過去の名作&キーパーソン初登場回を散りばめたものであり、少し触れるだけでも
・「外交官殺人事件」(服部平次初登場回)
・「黒の組織から来た女」(灰原哀初登場回)
・「コナンvsキッド」(怪盗キッド初登場回)
・「アブない夏物語」(京極真初登場回)
・「サクラ組の思い出」(新一と蘭の初対面回)
などなど、多くの過去のシーンが振り返られていることが分かります。

また現OPの前である2022年1月8日-2022年6月25日放送分のOPでは、過去に放送されていた映像のリメイクとなっていました。
曲によっては小松未歩さんや宇徳敬子さん担当の20年近く前に遡る映像もあり、当時の映像が現在の綺麗な画質で見られたことを喜んだファンが多いように感じられました。

他の曲のOPやEDでもこのような過去映像のリメイクや などが散りばめられている箇所が多々あり、まず1つ目の原点回帰のポイントとして考えられるのではないでしょうか。

原点回帰ポイント2-1.音楽(アニメ版)

次に原点回帰しているポイントとして、音楽が挙げられます。

これまでに『名探偵コナン』の主題歌に選ばれた曲は非常に多く、劇場版やスピンオフ作品も含めるとその数120曲を超えるものとなっています。
また、劇場版の序盤に流れるテーマ曲も各作品ごとにアレンジが加えられていることも楽しめるポイントとも言えるでしょう。

ここからは音楽にスポットを当てる形で、アニメ版と劇場版の2つに分けて語っていきたいと思います。

まずアニメ版の楽曲に目を向けた際に、最初にピックアップしたのは2020年10月3日-2021年2月27日までの放送分でオープニングテーマとして使われた、all at once 「JUST BELIEVE YOU」です。

この曲は約20年前の『名探偵コナン』のエンディングとして起用されていた倉木麻衣さんの「Secret of my heart」をサンプリングして制作された曲となっており、同曲に携わった作曲家の大野愛果さんが編曲を手掛けています。

同曲の間奏では「Secret of my heart」の間奏がほぼそのまま採用されており、「そのまま入れるのは反則(感動の涙)」「反射的に歌ってしまった」など好評を博しました。

また2020年1月4日-7月18日までエンディングテーマとして起用されたSARD UNDERGROUND「少しづつ 少しづつ」にも言えることだと思います。

というのもこの曲の歌詞、ZARDのボーカリストである坂井泉水さんが生前執筆し未公開となっていた物が使用されています。
作曲の方も前述の大野愛果さんが担当しており、 all at once「JUST BELIEVE YOU」と同じく、新曲ながらどこか懐かしさも感じる原点回帰の印象が強い曲となっています。

( SARD UNDERGROUNDはZARDのトリビュートバンドであり、数々の名曲のリメイクも行われている。
OP&EDには使用されなかったものの、「星のかがやきよ」や「少女の頃に戻ったみたいに」といったコナンの楽曲から「マイ フレンド」など多くの名曲が再収録されているため、ZARD好きな方には是非ともオススメしたいロックバンドとなっています。)

また上の2曲とは違いカバー曲となりますが、初期のアニメ版でOP曲&ED曲として使用されていた「謎」や「運命のルーレット廻して」も過去に使われていた時期もあり、当時見ていた方はどこか懐かしさのあるメロディーを感じたのではないでしょうか。

上に紹介した例から、アニメ版の音楽はかつて起用されていた曲のリメイクに近い所があることが分かりました。

原点回帰ポイント2-2.音楽(劇場版)

劇場版の方の音楽については、大きく2つのことが考えました。

まずはメインテーマのイントロ部分についてです。

先に軽く触れたように、劇場版『名探偵コナン』のメインテーマは各作品ごとに前奏等に様々なアレンジが加えられています。
参考資料とした上の動画より考えると、イントロ部分は大きく9種類あることが分かります。

このうち第23作『紺青の拳』のイントロ部分では『14番目の標的』でのバージョンが、第24作『緋色の弾丸』では『天国へのカウントダウン』のメロディーがアレンジされて使われています。
この2つの作品のメインテーマから、まず『名探偵コナン』劇場版作品ではかつての作品に立ち返った部分があると言えます。

またもう1つのポイントとしては最新作における挿入歌のチョイスでしょう。
ここから先は微ネタバレ注意

最新作の『ハロウィンの花嫁』では、劇場版として16年ぶりに挿入歌として「キミがいれば」が流れたことでファンの間で大きく話題となりました。

「キミがいれば」はお馴染みの名探偵コナンのメインテーマに歌詞を当てた歌で、初期の『名探偵コナン』劇場版ではクライマックスシーンやここぞという場面で流れる名曲でもあり、熱心なファンの間では「勝ち確定BGM」とまで表現されて好まれています。

劇場版の挿入歌として第1作『時計じかけの摩天楼』~『瞳の中の暗殺者』まで起用されましたが、第5作『天国へのカウントダウン』以降はメインテーマをベースとした編曲が使われるようになっていきました。
それでも第7作『迷宮の十字路』や第10作『探偵たちの鎮魂歌』で使用されたものの、それを最後に起用されることがなくなっていました。

その曲が16年ぶりにスクリーンで流れたことに、ファンは驚愕しつつも歓喜に包まれたことでしょう。
劇場版の方ではアニメ版よりはささやかな印象ですが、それでも過去の作品から懐かしさを感じられるポイントがあるように感じます。

原点回帰についての個人的考察

ここまで原点回帰のポイントについて語ってきましたが、このような点と共通しているかもしれない面白い情報を見つけました。
それは『名探偵コナン』を 「子供向けに作らない」という秘訣です。

『名探偵コナン』の生みの親である漫画家の青山剛昌先生曰く、「あんまり子供向けに作らないようにしようと。」として制作していると語られています。
それは子供が頭が良く、難しいことも調べたりして理解しようとするため大人向けに作っていく、といった主旨です。

「子供って頭いいので「これ子供だましだ」ってすぐバレちゃうので、そこは気をつけてます。毎年毎年、皆さんに楽しんでいただけるように工夫してますけど、末永く愛していただけるように頑張って作ってきます。」
と青山先生はインタビューに応じていますが、ここにも『名探偵コナン』が原点回帰などをしているように感じられる理由があるのではないか?と考えました。

というのも子供(ここでは日本の成人年齢である18歳より下の歳の世代を子供とする)の時『名探偵コナン』を視聴/鑑賞していた方々に昔懐かしい感覚を提供したり、他方10年~20年近い月日が経って再び見るような最近のストーリーに疎い方々にもまた興味を持ってもらえるようにするのではないか?といったものです。

また当時を知らない層にとっては界隈やSNSでの盛り上がりから、過去のアニメ・映画作品にも目を向けてもらえる工夫のようにも考えられます。

実際に私自身も昨年開催されたファンによる投票企画「The Best of OPED 」の時、YouTube公式チャンネル上で期間限定公開されていた当時の映像を見たことによって新たに知った知識もあり、放送当時を知らない私でも楽しめるものとなっていました。

このような20年近く前から『名探偵コナン』を視聴していた人と、つい最近になって新規にハマるようになった人双方にとって楽しい作品作りを行っているのではないかというのが、私が考えてきた意見です。

ここまでの振り返りと考察から、名探偵コナンは25年以上の歴史に対して、過去に敬意を払って原点回帰のポイントを織り交ぜていると話してきました。
しかし同時に過去を振り返るだけではなく、新たなチャレンジにも取り組んでいる作品であると私は感じています。

劇場版の主題歌では、三代目 J Soul Brothers のボーカルである登坂広臣さんやBUMP OF CHICKENといった今までの『名探偵コナン』のイメージを持たないアーティストの曲が起用され、新鮮なイメージを吹き込んでいるように感じます。
私も既に来年の春公開予定の『名探偵コナン』新作劇場版の主題歌が誰になるのか、結構気になっていたりします。
(個人的には Official髭男dism や Perfume に担当して欲しいと思ったり)

他方、第12作『戦慄の楽譜』からはレギュラーメンバー以外の芸能人・著名人が劇場版やテレビスペシャルに出演者するようになりました。
今を駆ける女優やアイドルだけではなく、Jリーグのサッカー選手から戦場カメラマンまで幅広い著名な方が出演しているのが最大の特徴とも言えます。

このように昔懐かしいと感じるようなシーンの再現だけではなく、今までとは違うことへの挑戦も感じる『名探偵コナン』も再来年の2024年で、原作連載開始30周年を迎えることになります。
そんなこの作品のこれからの発展や更なる過去への振り返りを楽しみにしながら、連載や新作漫画を楽しみつつファンを続けていきます。

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