イケおじ教官の話


仮免許を忘れたため本来今日卒業検定を受けるはずだったのだが伸びてしまった。

ちなみにキャンセル料10300円かかった。クソが。こんな端金と思わないと情緒が狂う。

まぁだから今日は普通の教習である。

今日は初めての教官だった。

どんな人なのかなーと思いながら教官を待つ

来た人は優しそうな見た目と口調のおじさん(おじいさん?)だった。白髪混じりのロマンスグレーの短髪にメガネをかけている。

車が全然空いてなかったらしく

「ごめんね〜空いてないわ〜」

と雑なオネェ口調で走りながら私に謝っていた。
もうその時点で既に面白い人であるのは把握していたのだが、すごいのはその後だ

「席、あげないの?」

私は車に乗ったあと、席の前後は絶対動かすが高さは変えたり変えなかったりしていた。

「でも死角狭くなるからあげた方がいいですよ」

確かに。いや言われてみればその通りだが指摘してくれた教官はいなかった。

面白い人だけど言えることはちゃんと言える人なんだなぁという印象を抱いた。

彼の指導は丁寧で上、手くいかなかったら何回も同じことをさせてくれた。うまいこと褒めつつ、指摘は的確で、指導を受けていてとても心地がよかった。

この人ならなんとなく的確な答えを出してくれる気がして、悩みを相談してみた。

私は部の役員の会議の議長をしている。だがすぐに話が逸れるし、変なところで議論が巻き起こるのだ。

ただ、全く的はずれなわけでもなくていつも切るのを躊躇してしまい、会議がグダるのでよく悩んでいる。

そうすると彼はこう答えた

「話が逸れた時にすぐに戻せるだけの冷徹さがあるかどうかですかね」

「議長は会話に参加するのではなくその場の進行が主ですからね」

確かに…と納得して、でも、どこで切るべきか分からなくていつも躊躇してしまうことを打ち明けた。

すると


「あなたは優しそうだから皆の意見を聞いてしまいそうですね」

「それで理想を模索しすぎてこんがらがっていそうだ」

「ある程度の妥協点を探して切り替えて、無駄な時間を出させないのはとても大事ですよ」

彼はほがらかな口調でそう言った

全くもってその通りだった。
普通にほぼ全然会話してないのにここまで見透かされるのかと思った。

こんなに人や物事の本質を捉えるのが的確で早い人に会ったのが初めてだったので嬉しかったとともに少し気恥ずかしかった。

こんな大人も世の中にはいるんだと、おおげさではなく、世の中も捨てたもんじゃないと思えたのだ。


※最後に原簿と仮免許を返してもらってコートとバックを取ろうとすると

「ちょっと待ってください」

と言われた?なんだ?と思っていると

「原簿と仮免許一旦預かりますね」

と言われた。何か書き忘れたのだろうか?とオロオロしていると

「今日は寒いので先にコートを着てください」

だってよ。
なんだこのイケオジは?惚れてまうやろ!!!!

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