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あなたは偽りのイメージに踊らされて、”損”していませんか?

自分で考えることを習慣にしなければ、かんたんに欲に飲み込まれて、”損”をする。

新しい車を買いたい妻が、TOYOTAの提供している「KINTO」という車のサブスクを見つけ出した。月額定額で、車にかかる費用が全てコミコミで車をリースできる。車にかかる費用とは、任意保険料・メンテナンス代などだ。購入から利用、廃棄にかかる面倒なことはすべて考えなくて良い。しかも注文するときにカスタマイズも可能な”新車”だ。リース期間は3年・5年・7年から選べる。リース期間を過ぎたら、そのままの料金で別の新車に乗り継ぐことができる。

なんと、リースしている間にかかった料金を合計すると、購入して売却するといった通常の車購入費用よりも安くなるらしい。

まとめると、「KINTO」とは、毎月数万円の出費でTOYOTAの新車に乗ることができて、すべての料金込み込みで面倒くさくなく、買うよりもかなり安くすませることができる。

良いことづくめだ。なぜ、そんなことが実現できるの?詐欺じゃない?なんて思ってしまうけど、天下のTOYOTAが提供しているサービスであり、信用性も抜群だ。もう、これで決まりじゃないか!と妻の鼻息も荒い。

ちなみに、妻は車通勤をしていて、まだあと20年は勤務する予定だ。

さて、この話、本当にそこまで美味しい話だろうか?

話をわかりやすくするために、3年契約でKINTOの車をリースしたとしよう。妻が定年を迎える20年後までに何回車が変わるか?ということを考えてみる。

答えはかんたん、20割る3足す1で「7回」だ。

7回!

つまり、かなり割安ではあるものの7回も車を買い換えるのと変わらない費用がかかることになる。もし、普通に車を買ったら10年は乗るなら、20年間の買い換えは2回なのだ。

具体的に計算してみよう。ある車が400万円だとして、普通に買えばもちろん400万円。KINTOでリースすれば350万円で済んだとしよう。問題は、これは一台当たりの話だということなのだ。

20年という期間で考えれば、購入なら800万円で済むところKINTOでは2450万円もかかる計算になる。実に3倍も割高のサービスなのだ。もちろん、リース期間後はもう二度と車に乗らないことが分かっている時や、スマホのように3年ごとに新車に乗り換えないと気が済まない人にとっては、めちゃくちゃありがたいサービスになる。

これは、リボ払いの罠と同じ構造だ。

リボ払いは毎月ローン返済額を一定の金額になるように調整してくれるサービスだ。使い過ぎた月に生活が困窮することを防いでくれるし、毎月のローンの支払額が管理しやすくなるというのが売りだ。リボ払いの問題点は、支払い完了までにいくら払うのかを計算すると、普通に変動金利で借りるよりもかなりの暴利(法定金利ギリギリ)になっている、ということだ。

これも、1ヶ月で見れば割安のようにみえるが、トータルするとかなり高いという構造になっている。

情報社会。なんだか近代的で良い響きだけれど、何も考えなくても生きていける世界、つまりかんたんに踊らされる世界ということだ。良い感じのコマーシャルが流れたとか、好きな芸能人が紹介していたなどという、商品の良さとはなんの関係ものない理由で商品を買ってしまう。そういう世界なのだ。

考えるということは、そもそも苦痛だ。だから、ほとんどの人は自分で考えない。そして、”確かそうなモノ”を信じてしまう。”確からしいもの”とはイメージだ。イメージが良いというだけで物欲を刺激されて、ものを買ってしまう。実際に経験したときに、考えていたことと違うと気づいても後の祭りだ。数百万、数千万円という高額の買い物でも普通にやってしまう。年金額の不足を気にする前にこの辺りを気にした方が良いだろう。

これは自分の思考が、誰かの言っていることや誰かのイメージに乗っ取られているのと同じ。

そもそも人間は、経験していないことであっても、あらかじめ予知できる高性能な知性をもっているはずなのだが。

諦めずに考え続けなければ、イメージを植え付けるのが上手な人たちに踊らされた人生を生きることになる。

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