ウマ娘『卒業式』―サクラバクシンオー

 『卒業式』を終えたあと、再びトレーナーと出会える保証はない。少なくとも、今までのように毎日顔を合わせるのは難しかった。
 しかしその別れすらもバクシンの糧になると考えた彼女は、「またいつの日かお会いしましょう!そのときには、さらなる成長を遂げた私をお見せしますとも!」と、いつものように笑ってみせる。『委員長ならば笑うべきだ。委員長ならば泣くべきではない』…と、根拠の無い意地だけを軸にして、理由も分からずに震えそうになる声を、隠すと決めた。
 だがトレーナーが「またね」と背を向けた瞬間、猛烈な寂しさに耐えきれなくなってしまい、「あ、あの!トレーナーさん!」と思いきり呼びかけ、そして「や、やっぱり明日も会いに行きます!二人でお別れパーティーをしましょう!!」と即座に前言撤回するサクラバクシンオー。

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