③【最終回】マッチングアプリで彼氏ができた話
つづきです
■待ち合わせ場所は
『恐竜がお好きなら、一緒に国立科学博物館にいきませんか』というAさんの提案を、わたしは秒で却下した。
国立科学博物館には、それはそれは辛い思い出があるからである
↓辛い思い出の詳細はこちら
そこで代替案として、わたしは江戸東京博物館を希望した。
江戸東京博物館は、2022年現在一時的に閉館しているらしいのだが…
江戸の町並みが再現されていたり、とにかく規模のでかい体験型の博物館である。
江戸東京博物館は、婚活におすすめである。
水族館しかり、遊園地しかり…とにかく婚活において、体験型というのはミソである。
考えても見てほしい
出逢ったばかりで会話も特にない男と、会話に気を使う場所に何時間もいたら気が狂う。
これらの体験施設はたいして面白くない相手といっても、それなりに楽しい人であったように錯覚できるからおすすめだ。
やはり婚活において大事なのは、
『相手とはこれきりだけど、ご飯は美味しかったな』とか、『相手は好きになれなかったけど、場所は楽しめたな』みたいなことを積み重ねていくことだ。
そうじゃなければ、あんな他人と恋愛することを目的とした就活みたいなことを続けることは難しい。
そんなこんなで。
わたしは彼に、『両国で待ち合わせましょう』と言った。江戸東京博物館の最寄り駅は両国駅である。
彼からは、『やっぱり相撲とかとられるんですか?』と見当違いなことを言われた。
■そこにいやしねぇ
待ち合わせには、約束の時間の15分まえについた。
私はあまりにも適当に生きているため、よく時間にルーズだと思われがちだが、実のところそうではない。
走るくらいなら遅刻する
と豪語するくらい走るのが嫌いであるため、基本待ち合わせ場所には早くつくようにしている。
走らされたくないからだ。
しかし、15分前に『もういます』と連絡すると、『ふーん、こいつ、楽しみにしてんじゃん?』とあいてを勘違い跡部景吾にしてしまうため、わたしはギリギリまで駅のポスターの右隅の細かい文字を読むなどして時間をつぶした。
頃合いをみはからって『つきました』とLINEをすると、彼からすぐに、『僕はもういますけど』と返事がきた。
しかし、みわたせどみわたせど、相撲を見に来たのかというおじいさんしかいない。
『ホントは老人、詐欺?』とおもったが、私が『ここにいます』と写真をみせると、Aさんから、
『え????なにそこ?』と返事が来た。
『総武線両国駅ですよね?』
■めちゃめちゃ離れてるやんけ
私のなかで、両国といえば都営大江戸線であった。
しかしどうやらこのようなイメージはめちゃめちゃマイノリティらしく、大半の人は両国といわれれば総武線であるらしい。
この現象を、浅草・飯田橋・霞が関現象と名付けたいと思う。
(複数駅があるうえにそこそこ離れているため)
私が『えっ…総武線…』というと、彼は『え?!大江戸線?!カフェで飲み物頼んでしまったので、こっちに来てくれませんか?!』と言った。
なんでやねん
なんでこんなギリギリの時間にカフェに入ってんねん、ワレ。
わたしはしかたなく総武線にむかってあるき出した。
この時点でだいぶ、この人大丈夫なのか…という心境であったが、じつはこの話には裏があった。
■彼のミス
じつはAさんは早く駅についたため、私のぶんの飲み物も好きなものを用意して奢ろうと、カフェに入ったらしい。
そして注文を待っている間、私がめちゃめちゃ遠く、大江戸線の改札にいるという連絡がきた。
外は雨だ。
そのようなことで、彼はあわてて、『コーヒー二杯を腹に流し込んだ』らしい。
つまり、この『駅をミスった』というすれ違いによって、彼のこの『飲み物を奢ってあげよう』という優しい行為は日の目をみなかったのだ。
この『答え合わせがなされない』というところが、婚活、一期一会の恐ろしさである。
つづく
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