#011_吊り革おじさん
通勤電車で座りたいのは当たり前の話だが、座れないのも世の常である。
毎年冬になると吊り革は汚いという話になる。
いつから日本人はこんなにきれい好きになったのか。
そもそもきれいなものなんて無いのだと認めればもっと生きやすいのではないかとおもう。
とはいえ、外でインフルエンザでももらって帰ると家族に移してしまうことがあるかもしれないので、多くの人が触る吊り革はなるべく輪ではなく革部分を握るようにしている。
帰ってすぐに手を洗うのも、自分がきれいでいたいからではなく、家族を汚したくないからだ。
しかしそんな努力もたいした意味はないかもな、と今朝もじゃれついてきた愛犬のことをおもいだしながら、にやける顔をおさえて電車を降りた。
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