わからないまま進む(115
私はその建物の中で横になった。
心の揺らぎ。
私は揺らいでばかりいるわ。
疲れすぎているのか
久しぶりに土地の上で横になり瞼を閉じると
同じくそのまま眠りについてしまった。
まだ暗い道を一人で歩いている。
ここはどこだろう。
光も見えない
足元さえも見えない
どこさへ分からない。
「ここだよ。」
そう聞こえると
視界が広がり
あの地の海にいた。
私の大好きな浜だ。
私の大好きな香りに音に
ピンクの貝殻。
戻ってきたのかしら!!
「残念。戻ってはないさ。」
「セナ!!何をしていたの?!
どこにいたの?!
今いったい何が起こってるの?」
「ことが始まったのさ。
定めだ。仕方のないことだ。
ヒカホは?婆様やじい様は?
イヨは?生きてるの?大丈夫なの?」
「ヒノコ。久しぶりに呼ぶな。」
「私の質問に答えて。セナ。
何が起きてるのか分からないの。
なんで今私はここにいるのか
分からないの。
どうしたらいいのかも分からない。」
涙が溢れて止まらない。
私は声を出して泣いた。
ただセナは横にいてくれた。
ある程度落ち着くと
セナは私を抱き寄せて
頭を優しく撫でてくれた。
「ヒノコ。何も伝えられずすまぬ。
そなたの声は届いていた。
わかってはいるが
これは定めの道だ。
伝えられぬ。
ただ一つ、そなたのそばに
私はずっといる」
「分からないの。何が起こっているのか。
私はどこに進んでいるのか。」
「分からないとダメか?
分からないと進めないのか?
ヒノコ。そなたはここまで
私を信じて進んでくれていた。
進むのはわかったからではない。
信じたからだ。」
「でも。。みなと離れていく。
この道であっているの?
私はこれでいいの?
皆は生きてるの?
それが分からない。」
「信じた道さ。
いいかヒノコ。
起こっていることが答えではない。
そなたの信じたことが答えだ。
起こっている今だけが答えではない。
ヒノコ。いいか。
これは定めだ。
大いなる道での一つ。
たったひとつ
龍族を守るためだけだ。」
「それなら命を誰かが落としてもいいの?」
「そなたがいう命とはなんだ。
目の前に現れている
それだけが命か?
それが答えなのか?」
「分からない。。
でも苦しいの。私は苦しいの。」
「苦しみだって一つの霊さ。
心の揺らぎで
大切な揺らぎの一つだ。
そなたはわかっている。
ただ、受け入れ難いだけで。
わかっている。
苦しい思いをさせてすまない。
助けてやれなくてすまない。
伝えてやれなくてすまない。
ただ今わからなくても
いつかは必ずわかる時がくる。
必ずだ。
それが今じゃないだけだ。」
セナ。。。
「ヒノコ。そなたは見守られてる。
一人ではない。
私もいる。
みながいる。
大丈夫だ。」
その声と共に
瞼が重くなり
私は目を開いた。
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