瞳の奥の場(119

その男性は私の瞳の奥を
見つめてくるようだった。

とても不思議。

どちらがどちらの目かわからなくなってくる。

「会いたかったよ。サッディーヤ。」

そう頭の中に響いてきた。

「サッディーヤ?それは私の名前?」

「名前じゃないよ。
サッディーヤはサッディーヤなんだ。

名前は変わるだろ。
サッディーヤは変わらない。」

「あなたは誰?」

「ぼくかい?僕は君の中にいる僕さ。」

「私の中にいる?」

「ここは君の中の世界だからね。」

「私の中の世界?どう言うこと?」

「サッディーヤ。僕たちの約束は
ここで出会うことだよ。」

「こことはどこ?」

「ここはここさ。君の中さ。

君が僕をみつけてくれたから
僕は君を見つける事ができる

君が僕を君の中で見つけてくれなかったら
僕だっていつまでたっても君を見つける事ができない。

サッディーヤ。
忘れないで欲しい。
いつだって共に世界を創っている事を。

あの時の約束を。」

「あの時の約束?」

「大丈夫。君なら必ず思い出せる。」

そういうと
その人は私の瞳の奥に消えていくようだった。

びっくりして瞬きをしたら
目の前にセナがいた。

「セナ。。。」

私は今あった一瞬の出来事が何か分からず
呆然としてしまった。

「ヒノコ。この世界は実は二つに分かれている。
分かれているけれど密接に繋がっている。

一つは形あるものを創り上げる世界。

もう一つは形なきもので創り上げられる世界。

この二つの創りかたは
同じようでやり方を見間違えてはならぬ。

今起こっていることは
形あるものだ。

そこは、形あるようにすすめられている。
そういう作りなだけだ。

そしてその作りは強固に見えるけれど
とても簡単に崩す事ができる。

そしていま
この世界はその作り方におしすすめられて
きている。

本当の世界は
その反対にある。

サッディーヤは
君の場所だ。

本当に創り上げるべき場所だ。

君達の世界は今
見える形の世界を作り上げようとしている。

そう運ばれてしまっている。

本当に創り上げられる世界を忘れて。

君達龍族の末裔は
何の為にこの世界に身を持ち
何の為にこの世界を生きるのか

見える世界を作り上げるためではない。

もう一つの世界を
この世界にいながらにして
創り上げられなくてはならない。

その為に何度も何度も
姿形を変えて
思い出す為にきている。

目の前に起こっている事のなかで
もう一つの世界を選び取る事を諦めてはならぬ。

形あるものに縛られてはならぬ。

それは運びで定めなだけだ。

その中でこそ
もう一つの本当の世界を創り上げられる為に
そなたはここにいる。

いいかヒノコ。
しかと見定めて
選びとれ。
自身をかちとるのだ。」

私をかちとる。。

あ、アッディーヤ

あの人の場はアッディーヤだわ!!

「大丈夫。君なら必ずこの場へ戻って来れる。」

そうは響いた。

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