ここから(121

オオミヤマ様は
私の手を強く握り
オオツカミヤ様のところまで向かわれた。

私はその手の中に握る
勾玉とオオミヤマ様の手を
暖かく感じた。

「ヒノコ。昔
オオスガがいっておった。

ヒノコとヒカホは
とても似ているが
全然違う。

ヒカホは自分のことをよくわかっておる。

しかし
ヒノコは自分の力の強さをわかっておらぬ。

でもそれは
私でもそうだ。

あの子の奥には
誰もが入ることができない
静かな湖がずっと存在しており
そこが計り知れない力を持っている。

あの子がそのことに気がつく時
きっと何かが大きく変わる。

その時私は
ヒノコのそばにはおらぬ。

守ってやってほしい。

そうおっしゃった。

私は
オオスガとの約束もある。

そして
私自身との約束の為でもある。

必ずそなたを
今度は守りきる。

大丈夫だ。」

そうオオミヤマ様はおっしゃって
私の手を強く握った。

先へ歩いて行くと
数人の男の人と
馬がいた。

「オオミヤマ。準備はできておる。
大丈夫か?」

「あぁ。あちらは整っておるか?」

「連絡はついておる。
本当にそれで良いのか?」

「あぁ。もう良いのだ。
私は戻らぬつもりではいたが
これも何かの縁だ。」

「そうか。海からの方が近いが。。
今のところは陸の方が安全だ。

ヒビミカホは時を見て
東へ向かわせる。

ヒノコの代わりとして
東の奥の宮へとむかわせる。」

「東の奥の宮?」

「ヒノコ。ヒビミカホは
君の代わりとなる。」

「それは危険ではないのですか?」

「一番そなたに近い力があるのは
あの子だ。

ただあの子は子は産めぬ。

皇は自分との子を望んでおるからな。」

そうオオツカミヤ様がおっしゃった。

「皇とは?」

「今、君を探してるもの達だよ。

彼らは意識がつながらない。
違いがわかるようで
大事な違いはわからない。」

「でもヒビミカホも龍族で
血を守らねばならぬのでは?」

「その違いが分からぬのだよ。
ヒノコ。
龍族は大勢いる。
異国にも大勢いる。

囚われたものもいれば
一緒に生きているものもいる。

龍族は龍族でも
その違いは
ある一定のものにしか
わからぬ。

見定められぬ。

自分を忘れて
つながりを忘れ

自分しか見えぬものには
血は龍族であろうと
みえぬ。

そんなものはこの世界に
沢山いる。

その違いは目に見えぬ。

異国のものでも
龍族だと主張しておるものは
この世界に沢山おる。

それはそれでいいのだ。

ただ
龍族は主張はせぬ。

血は守らなければならぬからな。

見定めなければならぬ。

サハクやヒノコは
この世界では戦うが
あの世界では戦わぬ。

多くのものが
この世界で主張しながら
あの世界では戦いを
起こしてしまう。

龍族であろうがそうだ。

だから見定めなければならぬ。

どこで何を創り出すのか。

私達は身をもつ身だからこそ
とらわれてしまうが
それに気づいていなければならぬ。

いいかヒノコ。
見定め続ければならぬ。

どんなに孤独になったとしても
それは
誰からも見つけられぬ場所で
起こることだ。

だから見つけられるもの達が
創りつづけなければならない。

ヒビミカホは
とても賢い。

あの子はやってのけれる。

自分のことをわかっておるからな。」

みさだめる。

セナもそうおっしゃっていた気がした。

「さ、行くぞ。ヒノコ。」

「どこへ向かうのですか?」

「私がいた場所だ。」

私はオオミヤマ様の馬に
共にのった。

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