日の音(114
私はヒビミカホ様の後をついて歩いた。
ヒビミカホ様は何もお話しされない。
ただただその後ろをついて歩いた。
ヒビミカホ様の後ろをついて歩いていると
なんだか音がしてくる。
その音がどんな音なのか
うまく伝えられない。
でも何か音がしてくる。
「日の音よ」
ヒビミカホ様がおっしゃった。
私がびっくりしてると
頭の中に響いてきた。
「ヒカホ様。ご安心下さい。
私もまだその力が少しだけれど
残っております。
この地ではあまり使わないようには
しております。
私も同じ南から上がってきたもの。
この地で、この力はもう
だいぶ使わなくなりましたが
ヒカホ様のお力になりたく思っております。」
私は口を開きそうになった。
その時
いかぬ。
男の人の声がした。
ヒビミカホ様は私を一度見て
微笑まれて
また歩かれた。
少し離れた場所に
小さな建物があった。
「ヒカホ様。こちらでお休みください。
湯の準備ができましたら
お呼びいたします。」
「ありがとう。」と
心で音を伝えた。
「ヒカホ様。その心の音が
日の音でございます。
日とは霊。
心とは霊。
心の揺らぎは
火の揺らぎのようなもの。
そうやって霊は揺らいでいられるから
そこにいられる。
オオツカミヤ様がおっしゃってました。
心は揺らいで大丈夫でございます。」
私の方を真っ直ぐみて
微笑まれた。
心が揺らいで
何か込み上げてきそうだった。
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