約束の先の世界(118

ヒビミカホは少しの間
私を気遣ってくださり
準備に戻られた。

私はこのまま
ここから
どこにいったい向かうのかしら。

「東の地だよ。」

後ろを振り返るとセナがいた。

「セナ。私を守らなくてはいけないのは
あなたと共にいるからなの?」

私は真っ直ぐとセナを見つめた。

セナは見つめ返したまま
瞬きもせずにこう言った。

「そなたの母親だ。」

「お母さま?」

私はびっくりした。

「そなたの母親も直系の龍族だが
そなた達を守り、血筋を守る為にも囚われた。

いや、一度は囚われた。

その後行方がわからなくなってしまっている。」

母様が。。。

「その代わりを異国のもの達は
探しておる。

ヒカホは父系の血が濃く
そなたは母系の血が濃い

だからそなたが狙われている。」

「私が捕まれば皆は生き延びれるの?」

「そなたが捕まれば
もう龍族の望みはない。

完全に人は
つながりをたってしか生きる事が
できなくなってしまう。

名前に縛られ
その身に支配される。

そうなれば
つながりから生まれる
私達の約束はもう果たせなくなる。」

「約束とは何?」

「ヒノコ。こちらへおいで。」

そういうと
私はセナの腕の中に抱かれたかと思うと
突然足元の床がなくなり
セナに支えられた状態になった。

びっくりしてセナにしがみついて
思いっきり目を強く閉じた。

「目を開いてごらん」


ゆっくりを目を開けると
そこは光に包まれているような
暖かい場所で
男性女性
大人も子供も
ほぼ何も身につけていないような
人達がいた

とてもゆっくりと穏やかな
時間が流れているようだった

「ここは?」

「もとの君たちだ。」

私達?

みんな言葉を喋らない。
言葉を発していない。

それなのに
まるで会話をしているよう。

「想いの中で繋がっているからね。」

不思議なことに
男性も女性も
何か背中のあたりがぼんわり
光がさしている。

さしているというより
ぽわっと光がその人達からもれているような。。

そしてみんなそれぞれの色をしていた。

でも
男性と女性で
同じ色を持っている人たちもいた。

その同じ人たちは
時たまみつめあっている。

ただみつめあっているだけなのに
不思議なことにその同じ光が合わさるようになり
その中心から螺旋を描くように
何かが上にのぼっていき
また上の方で大きな光がたまっているような
場所からそれぞれのあたま?
いえ、背骨にその光が入っていくよう。

すると一人の女の子が
その女の人にかけよった

その女の人は
とても愛しい表情でその子を見つめて
頭を優しく撫でると
その女の子は満面の笑みで
またどこかへ行ってしまった。

とても不思議な世界。

何をしているのか
わからない。

「この世界を創っている場所だよ。」

「この世界を創る?どういうこと?」

「この世界は二つの真逆なものが
合わさった時にエネルギーが生まれる。

そのエネルギーのうずが
世界の波動を作り
光そのもののエネルギーがお互いの
中へと循環されていく

とても簡単な構造なんだ。

相手の光は自分の光であり
自分の光は相手の光である

それは誰もが分かり
誰もが当たり前のように認知している

それが世界を創るからね。」

「どうやってわかるの?」

「どうしてわからないんだい?
目をみつめあえばわかることなのに。」

「目をみたらわかると言うこと?」

「わかるさ。
目の前にいるのが
自分だ。ってわかるだけだからさ。」

「違う人なのに?」

「違う?姿形をみたら
違うかもしれないけれど
目の奥を見たら感じ取れる。

この世界では
言葉が通用しない。

言葉がなくとも
全てが分かり合えるから。

ただただ
感じ取るものだけが
世界を創っているからね。」

「感じ取るものだけ?」

「そうさ。みんな
温もりや冷たさを感じるだろう。
それと同じだよ。

目に見えないけれど
感じてしまう。

目の奥にある光が
お互いを繋げているものだから
感じあっている。

だからすぐわかる。」

感じる。。。
どうするんだろ。。と
思っていたら

セナの声ではなく
セナの意識が

君ならわかる。
いつも君が僕を感じてくれている。
それは僕が一番よくわかってる。

そばにいる時も
そばにいない時も

会えてる時も
会えていない時も

話している時も
話していない時も

全てを感じているのを
僕はわかっているよ。

言葉を超えて感じている時に
本当の信じる力がうまれてくる。

その力が
世界を創るんだ。

目に見えないからって
ないわけではない
むしろその方が
ある。それを感じ取れるかは
人によって違う。

でも龍族は同じだ。
同じように感じ取れる力がある。

そしてその龍族達の
二人が合わさると
その世界を創り出し始めてしまう。

だから
龍族同士が出会ってほしくない
人達もこの世界には沢山いる。

どんどん
龍族でさへ忘れるように
仕向けられている。

実際ヒノコもそうだろう。

そんな風に
頭の中に声が響いていた。

考えてもいなかった。

そっと瞼を開けると
とっても優しい眼差しの男性が
目の前にいた。



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