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「大清帝国と恋愛ドラマ」

個人的に大清帝国期の中国史を好んでいる。

特に歴史的には明清交替といわれる時期。大陸でダイナミックな政体の変遷が行われていたこの時期には三国志の豪傑たちや南宋の忠臣ともまた違う、モンゴルの遺風を受け継ぐ女真族たちの逞しい活躍は読んでいて胸が躍るものがある。

さて、私の個人的な好みの話が前置きに入ってしまったが、タイトルの恋愛ドラマの話と大清帝国の関係についてである。

近年、中国本土で清朝期のドラマが多く放送されている。筆者がそれを知り始めたのは「宮廷女官 若曦」や「宮廷の諍い女」あたりの作品がチャンネル銀河などのBS・CS番組で放送されるのを何となしに見るようになってからであった(その延長線上でトルコドラマである「オスマン帝国外伝 ~愛と欲望のハレム~」などのオリエンタルな雰囲気の宮廷ものにもハマっていく)

ここまで読んでこられた読者の方々にも試しに「清朝 ドラマ」と簡単な検索ワードで調べてみて欲しい。煌びやかな満州族の風俗衣装に身を包んだ美しい女性のビジュアルが多く浮かんでくることだろう。

日本で言うところの時代劇や大河ドラマにあたるこれらの諸作品ではあるが多くの主人公が女性であることに気が付くであろう。
前述した「宮廷の諍い女」は愛と権力闘争に翻弄される女性の数奇な人生を、如懿伝〜紫禁城に散る宿命の王妃〜は身分差を跳ね返し、愛を貫くうっとりするような恋愛ドラマが描かれている(勿論ストーリーの盛り上がりのためのドロドロ劇もたくさんある)

公式HPからの情報に依るところも多いが、多くの中国人が視聴しており、恐らく内容的には女性が夢中になったことは想像に難くない。

多くの日本人がご存じの通り現在中国に「一応」王朝は存在しない(ただし清王朝で代々皇帝に即位してきた愛新覚羅氏は現在も存在している)2000年近い皇帝による封建制度の後の現代中国の女性たちが華やかな(ドラマ)宮廷や皇后、(俳優が演ずる)イケメン皇帝に夢中になるその姿は一視聴者から捉えればシンプルに面白いからであり、私のように中国史好きの裏を読む思考からすればアヘン戦争、アロー戦争、香港割譲、租界の発生、日清戦争、義和団事件などの国辱も多々あった清朝時代をエンタメでの一部容認(康熙帝・雍正帝・乾隆帝などの国力最盛期が多い)を行い、素直に国内及び私のような好事家に称賛されている現状には色々と考えさせられるものがある。

とはいえ、今回紹介した作品群は最新のものでも大体、4年ほど前の作品である。大陸はいつでもダイナミックに動く。清朝恋愛ブームの後に現地では今一体、どの王朝がドラマの題材として熱いのかその辺のことも知りたいな・・・と思いながらここらでペンを置きたい。

ジョルノ・ジャズ・卓也

友人でありライターの草野虹氏と「虹卓放談」というPodcastをやっています。よろしければこちらも視聴していただければ幸いです。



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