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だって彼、愛されてますから。

『火事息子』


落語の演目のひとつです。

と言っても 落語に詳しい訳ではありません。落語好きなんです、とか 言えるとカッコいいけど そこには至ってません。笑


この演目を知っているのは、ドラマ 相棒season10 15話 「アンテナ」  で 取り上げられたことがあるから。落語は詳しくありませんが、相棒ならドンと来いです。


ドラマでは、
自分も 家族も、状況を変えようと 何年も何年も努力しても、もがいてもも もがいても 変えられない、変わらない。
変えたいのかどうかさえ 自分でも分からない。
何もかもうまくいかない。
うまくいくことが どういうことなのかさえも分からない。

もう
どうしようもなくて。
両親も諦めて。専門家もさじを投げて。
誰よりも本人自身が 自分のことを諦めている若者を中心に物語が進みます。


とある事件の、犯行の瞬間を目撃するのですが、目撃したことをネットにつぶやいたばかりに 冤罪をかけられそうになり、さらに心を閉ざし…


9年間、物理的にも 精神的にも 固く引きこもっていたけれど、
1人の刑事が 本心から自分を思い、信じ、行動してくれていることを 目の当たりにして、少しずつ外に踏み出していくことができるように───。


その刑事は(ちなみに 萩原聖人さん)、
何の損得もなく、忖度もなく、警察として証言を聞くためでもなく、
ただ そう確信しているから 彼にまっすぐ伝えたんですね。

「君は 愛されている。」

両親が 自分のことを煙たがっていて、邪魔者扱いしているのが ひしひしと伝わってきて、近所の子みたいに自慢できる存在じゃなくて、申し訳なさもあって…


誰よりも 自分が自分のことを疎ましく思って、消えてしまいたいと思っていて…


そんな風に 本人が思っていることも、両親が 煙たがっていることも分かっている。
でも


「君は 愛されている。」


まっすぐ目を見てそう言います。

たとえ 本人が否定したとしても、それは 紛れもない『事実』であると、確信しているから。



そう、

私たちは 自分で何をどう否定しても、私たち自身がそれを信じられなくても、愛されている。




親から それを感じられる人もいるし、
親からは 感じられなくても 実際には愛されている人もいるし、
親から それを感じられなくて、実際にもらえたとは 到底思えない人も もちろんいるけれど。

でもその事実がどうであれ、そこは関係ないのです。





あなたは 愛されている。





何もできなくても、何もしていなくても、ただ 周りに迷惑をかけているだけの存在、と 自分で思ってしまっていたとしても。本人がどう思って 自分を否定していたとしても。
 



あなたは 愛されている。




今、ここに 存在しているだけで、私たちには、どんな存在でも等しく愛が降り注がれているから。

雨が降っているときに、あなたの回りだけ雨が降らなくて濡れなかった ということがないのと同じように。




とても そうは思えない状況だったとしても。

あなたが、降り注ぐ雨を、傘で 避け続けていたとしても、雨は 降ることを止めたことはないはずです。




あなたも、私も、愛されている。

これまでも、ずっと、これからも。




自分では そう思えなくても、一度 口にして、言葉にしてみてください。




「私は、愛されている。」




そうすると、カチッと スイッチが入ったように、
傘が 溶け出して 肩口や 背中からあなたに降り注いでくるのを感じられるかもしれない。





「私は、愛されている。」





何度でも 言ってみてください。

言うたびに、見えなくても 降り注いでくるから。




そして たとえ あなたが それを口にできなくて、信じられなくてもいい。

世界のどこかに、あなたは 愛されている ということを 信じている人間が 確かにいます。





そう 思えるだけで、あなたの世界は やさしく動き出す。





あなたは 愛されている。

私も、そこにいる あの人も。





誰が何と言おうと、それは『事実』なのですから。

あとは、あなたの世界が やさしく変わっていくだけ。あなたの世界に、大粒の雨が 降り注いでいくだけ。




右京さん(水谷豊さん)のセリフを借りて、伝えたい。

「だって あなた、愛されてますから。」


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