45_色彩構成の授業やってます2022(1)〜色の数値って最重要事項なんかな?

画像1 デザイン専門学校で色彩構成の授業を担当して19年目。アナログ→デジタルの過渡期だったように思うのですが、それは色彩の授業も例外ではなく、私たちが美大受験時代や学生時代を通して学んできた方法とは大きく様変わりしたように感じます。一番大きく変わったのは「近道」や「正解」を知りたがる傾向にあること。例えば「色彩検定は何級だと就職に有利ですか?」とか。「色彩検定とセンスは必ずしも比例しないよ」と答えるとエ〜ッ!て絶望したり(笑)。理論は大切なことですが、それでどうにか近道しようと思うのは・・・安直やろ。(笑)
画像2 ドイツのバウハウスで教鞭をとっていたジョセフ・アルバースの著書「Interaction Color~色の知覚と相互作用」は昔からのバイブル本です。左は昔からある本、右は近年新しく上梓された本です。アルバース氏が色彩の授業で行った「トライアンドエラー」が中心で「素敵な配色」的なものは出てこない文字ばかりの色彩本ですが非常に共鳴した本です。ただ、内容が地味過ぎて学生や受講生にお薦めしにくいのが難点かも(!?)
画像3 左右の中央の円は同じ色なのですが同じ色に見えますか?中央の円は赤と青の間にある「紫」です。周りを赤みがある色にすると中央の紫は「青っぽく」見え、周りを青みがある色にすると中央の紫は「赤っぽく」見えます。つまり、同じ色であっても周りの色が変わると違う色に見えてしまうのです。
画像4 CMYKの数値を入れました。たまに「色で一番大事なのは数値です」と主張する方にお会いします。大事ですが一番ではないと思います。「いい配色の数値ってありますか?」「センスがよく見える色の数値を教えて欲しいのですが」。はい、気持ちはわかります。「色は芸術において最も相対的な媒体である_J.アルバース」。色の難しさの一つです。物理的に同じでも状況によって違う色に見えてしまう色を数値や理論でどうにかしようとするのは自分の感受性に対して無責任じゃないかな?
画像5 「どのような色彩体系を学んでも、それだけでは色彩への感受性は養われない」J.アルバースはこのようにも述べています。先日ある学生が素敵な「配色本」を持っていて、彼はこれを配色の参考にして課題に取り組んでいました。自分の感覚でセンスがいいと思う配色を見つけて真似てみて、それを自分の感覚と照合してコツコツ蓄積していくのも「正解!」です。トライアンドエラーを恐れず、自分の感覚を信じてコツコツね。

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