見出し画像

過去のトラウマが、「表現すること」で癒された瞬間-2 エーゲ海のワークショップ

前回は、私がアートセラピーを学ぶ事になったきっかけについて、書きました。
https://note.com/color_of_wind/n/n8b18dfe92d6a

「アートセラピー」には色々な手法があって、私にとって、その入り口となったのが「ビオダンサ」というダンスセラピーでした。

 ビオダンサとは「生命のダンス」という意味です。そこで経験した「呼吸のダンス」により、それまで自分を覆っていた、不安や緊張感から解放されました。自分の身体を感じ、そこに宿る生命力を深く感じる。そして、それを外に向かって解き放つことで、文字通り、私は息を吹き返したのでした。

 当時、週末2日間のワークショップが、年に数回、本部アルゼンチンから講師を招いて開催されていました。私が参加したのは、ちょうど講師養成プログラムが始まったタイミングだったので、テキストで理論も同時に学びながらのスタートとなりました。

 帰り際に会場で、イベントのチラシが配られました。それは近々ギリシャで開催される特別なワークショップの案内で、チラシには、浜辺で踊っている人たちの写真が載っていました。海に向かって祈りを捧げているような、神聖な雰囲気が伝わってきます。見ていると心が揺さぶられ、涙が込み上げてきました。

 「ここに行ってみたい」
 「でも、そんなお金はない…」 

 チラシを大切に持ち帰り、部屋の壁に貼りました。

 「今は無理。でもきっといつか、行こう!」 その二週間後だったでしょうか。信じられないようなシンクロニシティ(偶然の一致)が起こり、「いつか」と思っていたギリシャのワークショップに、急遽、行ける運びとなりました。

 常識では考えられないような、不思議な偶然。人生にはこんなことも起こるのかと驚愕しましたが、詳しくはまた別の機会にお話したいと思います。 その二週間後だったでしょうか。信じられないようなシンクロニシティ(偶然の一致)が起こり、「いつか」と思っていたギリシャのワークショップに、急遽、行ける運びとなりました。

 常識では考えられないような、不思議な偶然。人生にはこんなことも起こるのかと驚愕しましたが、詳しくはまた別の機会にお話したいと思います。

 不思議な偶然に後押しされて、その年の夏、ギリシャへ。ワークショップは、レスボス島という、エーゲ海の美しい島で開催されました。一週間ほどのプログラムだったと思います。フランス人のほか、世界中から集まってきた30名ほどの人たちとともに、癒しと気づきの素晴らしい日々を過ごすことができました。

 忘れられない素晴らしい体験がたくさんありましたが、中でも大きな収穫となったのが、リラックスして踊っていた時に、ふと舞い降りてきた深い気づきでした。
 それは「私たちは、誰もが、自分にしか負えない課題を引き受けて生きているのかもしれない」ということ。

 この地球上で、世界中の人々を代表して、「私が引き受けます」と宣言し、引き受けた課題というものがあるのかもしれない。それは、その人の魂の資質を持ってしか、乗り越えられないチャレンジなのではないだろうか、と。

 「目の前のこの人は、私には計り知れない痛みやチャレンジを引き受けてくれているのかもしれない。この人も、あの人も…」
 そう思うと、すべての人への感謝が溢れ、同時に、私もまた、何らかの役目を担っているのだと感じ、過去に起こった辛い出来事を「これは私が引き受けるんだ」と、受け止めることができました。

 それは、「自分の人生を引き受ける」という感覚だったかもしれません。それまで私は「何で私はあんなことを経験しなければならなかったのだろうか」「どうしてこんな苦しみを経験しなければならないのだろうか」と、自分の身に起こったことに対して、抵抗していたのだと思います。

 ユングの潜在意識などでよく解説されていますが、私たちは一人で生きているのではないこと、一人は全体のために、全体は一人のために、繋がりあって生きているのだと、深く実感したのです。

 そして、最終日。
 参加者全員が浜辺に集まって、インストラクターの指示で、水着の上から全身に泥を塗りました。体も顔も、泥だらけ。こうすると、もう、人種も分からず、お互いに見えるものはただ、キラキラと光る目だけ。そして穏やかに踊りながらかわした一つひとつのアイコンタクトの、なんと神聖だったことか。

 最後に、海に入って、大地の神「ガイア」にそれぞれの願いを伝え、ワークショップは終了しました。私は「どんなことが起きても乗り越えられる強さをください」と願いました。

 ミラクルのようなギリシャでのワークショップが終わり、帰国。それは私にとって、深い癒しの旅となりました。
 その後もビオダンサのワークショップに参加して、3年ほど通っていましたが、講師の先生が代わってしまったこともあり、徐々に遠のいていきました。

 この時期、同時に参加していたのが、ドイツ人の哲学者でアーティストである、カール・ラインハルト・ベルガー氏による「アドレーションアート」という、アートセラピーでした。そのセミナーに通い続け、絵を通した自己との対話の中で、私は完全に過去から立ち直り、前を向いて生きていけるようになりました。
 次回は、このことについて書いていきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続きの記事はこちらです。
https://note.com/color_of_wind/n/nc889b8d632a2




 







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?