生成AIを使った作品について、アンケートを取った話。
2024年1月の初めごろに、Xを使ったアンケートをさせて頂きました。
正直、自分の思った10倍以上のご回答、閲覧を頂いて、驚きました。
後、生成AIについての各自のご意見や感想もいただいて、まんべんなく考えを持っている人がばらついているなとも感じました。それくらい難しい話ということも再認識しました。
とりあえず、それらに触れていって、私(パブリッシャー、イベント主催者)の立場として、現状の方針みたいなのを書いておきます。
さて、ご存じの方もいるかと思いますが、現状、生成AI(イラストやテキスト)については、世界中でいろんなことが起こっていて、ネガティブなニュースが目立つ状況ではあります。
法整備も追いついておらず、非常に流動的なため、ここの記載がすべてではありませんし、すぐに変わる可能性もあります。
数日でいろんな話、出てきすぎやねん。
ってことなので、2024年1月14日現在の話になります。明日には言ってることが変わっているかもしれない、ということでよろしくお願いします。
1.アンケートとは?
Xで3つ、アンケートを取らせていただきました。以下が結果です。(アンケート結果が表示されてない場合、少し待つか、記事をクリックしてください)
こんな感じのアンケートです。1つ目のツイートに、レス、および引用リツイートでいくつか感想や意見を頂いているので、興味あれば見てみてください。
3つ目のアンケートは、「AIイラストがOKの方のみ」の回答に近い設問になってしまいました。その辺も注意してください。
2.アンケートの目的
今回、アンケートを取った目的は割と簡単で、「自分の意見だけでは視点が全く足りない」と感じていたからです。
調べてると、両極端な意見、考えが見えてまして、自分の考え含めて、どうしたもんかなと。
パブリッシャーの立場はともかく、イベント主催としては、自分の考えだけで進めるのはよくないと思ってて、その結果のアンケート実施ではあります。
3.アンケート結果を受けて
アンケート結果が出て、一番驚いたのは回答数と閲覧数だったんですが、それは置いといて。
割と許容される方が多いことがわかりました。
条件付きOKの部分をNGと見るか、OKと見るかは大分変ってくるところかと思いますが、現状だと(多分日本人の中では)使ってもいいんじゃない? という感じだと思いました。
後、条件付きOKは、使用自体はOKという認識で、買うときに生成AIと分かればOK、という意見が多そうと感じました。実際はどうか分かりませんけど。
だから、全面的にOKだ、とするかどうかは、次の話です。
4.自分の考え
ってのを先に書いておきます。
この話をアンケート前に書かなかったのは、アンケート主(つまりは私)の意見に左右されてほしくなかったから、ではあります。
個人的には、生成AIは概ねNGです。
気持ちを先に書くとこれは個人的に見に行くイラスト展やコミティアに代表されるような創作で、生成AIは使ってほしくないし、使った作品は欲しくないからです。
他だと、「類似作品」を作ってしまったとして(学習先が映画などが多い場合、発生しがち。もちろん、個別で学習させたものなど、その生成AIの学習環境で変わるんですが)、それに対して、「生成AIが作ったものだから私は知りません」というのはあまりに無責任だと考えているからです。
イラストの発注先(生成AIの場合は生成者)はそこまで責任を取るべきだと考えています。だって、それを販売してお金をもらっているんですから。
また、生成AIを使った作品を、「その人の作品として見れるか。創作物として見れるのか」という点にもあります。イラストは、1本の線を引く難しさみたいなのがイラストのいいところと思っているので、テキストで作成したイラストを、同様のイラストと見れるか、という点では否定的な見方をしています。
テキスト系も、その言葉を思いつくそれまでの経験や知識がその人の個性と思っているので、比較的否定的です。
でもこっちだと、文章や傾向を見るので、イラストよりはケースが少なくなりそうな気はします。
否定的な話が続いていますが、これとイベント主催としての考えは別で持つべきと考えています。そのため、これはこれです。
5.ネガティブなニュースたち
生成AIを見て行くうえで、どうしても目に入るのがネガティブなニュースです。
さらに知っている(?)ニュースが正しいかはわかりません。そういう話だった、あるらしいなんかも含まれます。裏が取れないんですよねー、どうにも。(取れてるやつもあります)
1)生成AIで作られた本(2023年6月当時は主にグラビアアイドル)が乱立しすぎて、通常の半額などが多く、これまでの形のグラビア本が売れないなど規制が入った。(それよりも無数に作られていくため、出品が禁止になったなどもあります。)
2)ローカルPCで動く生成AIを使って、特定の作者のイラストを読み込ませ、新たなイラストを作成、Xで公開した。(他の事例もあるようですが、裏があまりにも取れないので割愛)
3)2)と同じようなことをしつつ、ファンアート発言や自作発言している。
4)同様な感じで、イラスト集としてコミケで売った。(ほんとに?)
5)WACOMやMtGでの指摘による画像取り下げ。
6)ibisペイントの生成AI機能(AIお手本機能)の取り下げ。
これらに加えて、現状生成AIで作ったイラストは見た目ではほぼ分からないようです。
これだけ見させられると思考が偏りそうなので、次に行きます。
6.パブリッシャーとしての立場
現状の生成AI関連を見ていると、現状の私の知識、技術範囲では「使わない方が無難」という立場です。
1つは著作権に対する考え方です。生成AIで最も理解できないとされているのが、許可していない創作物を無断で使用している点です。
私も、自分の仕事(私に限った話でなく、あなたでも)が勝手にコピーされて使われていると考えると、非常に気に食いません。w
それは置いといて、周りから見られる立場であるパブリッシャー(規模は同人規模ですが、一応個人事業主の事業です)である場合、そういった指摘が出た場合、そのまま使用を正当化できないうえ、すぐに致命的になります。
そんな小さい話、みたいなことが言われるかもしれませんが、割と信用で成り立っている部分も大きいです。
例えばですが、弊社からお願いしているイラストレーター様のイラストにちょっと足りないからと生成AIを追加したとして、イラストレーター様の名前は出しにくい(責任を取らせることになってしまう場合がある)し、弊社がそれを精査することもできないからです。
どうしても使う必要がある場合、生成元を確実にしたうえで使用する必要がある、と考えています。
余談ですが、最近の素材サイトには割と生成AI由来っぽいものが多数追加されています。そういう意味でも素材サイトから利用するにしても、細心の注意は必要だよね、とは考えています。
そういう意味で、(いろいろなところで使う)無料素材はそろそろ使わない方がいいかもしれません。
カプコンさんの著作物無断使用の話があった、なんて話をこないだ思い出させてもらって、確かにー、ってなってました。
※なんだか当時知っていた話以上の話もあったみたいで、この手の話は最後まで追わなないと知らないことが増えてく、って思いました。
7.イベント主催としての立場
これはこれでパブリッシャーとは別の話です。
先に結論を書いておきますが、禁止とする予定はありません。
その代わり、それぞれでしっかり調べること、そして責任はもってもらいたいと思っています。
生成したイラストに責任を持つこと。知識外からの類似指摘やそれらへの対応(販売続行なのか取りやめなのか。その理由は、など)ができることです。偶然の産物であったとしても、結果似ているのであれば、それは責任を負うべき、とは考えます。
イラストにおける、参考に使用した、トレースはしていないなど、そういった問題に似通った話かもしれません。
分からないからやらない、個人なのでそこまで対応する必要がない、という放り投げ方をされる場合には、放り投げ方にもよりますが、継続してイベントに参加したい場合は、何かしらの修正依頼や、対応をお願いすることになるかもしれません。
※余談です。
ここまで書いてて思ったんですが、イラストのルール(トレースや参照など)部分を知らない人が、生成AIでイラストを生成した際、それらのルールを改めて知る必要があるんですね。ちょっと大変そう。
同人だから知らなくていいんだ、にはならないので、その辺にも注意かも。完全トレースを自身の作品だと同人で出したら、めちゃめちゃたたかれますから……(実際の話として
また、別の話として、生成AIを記載せずに販売する場合については、正直見分けがつきません。
※Webを見ている限り、無理っぽい話ばかり出てきます。
そのため、それに対しては、各自での判断が最終になると思っています。
さらに、ディープフェイクに代表されるように、犯罪臭のするものもあります。(個人のNoteなので割とラフに書いてしまっていること、すみません)
例えば、特定のイラストレーターを想起させるようなイラストを生成AIを使って作ったゲームに付いては、場合によっては販売を止めさせていただくことはあるでしょうし。
余談ですが、これまであまり言われていない(存在しないかも)ボドゲにおける、イラストのトレス問題みたいなのも指摘されて出てくることになるんかな。同人誌の方はたまーに見かけるから。(言いがかり含めるとめっちゃあるみたいだけど。言いがかりは言いがかりなので、別問題ですけども)
8.まとめ
友人ズや周りに聞いた話、レスで頂いた話などから書いたつもりです。
また、今のタイミングでこんな話をしているのは、ゲムマ2023秋で割と生成AIを使ったイラストを見たからです。幸い、各自自己申告で記載いただいていたため、分かりやすかった、というのはあります。
そのため、すでに生成AIを使用した作品は増え続けており、今のうちに書いておこうと思いました。それに対するガイドラインも法整備もない状態で話を進めるにも問題があると考える人もいるかもしれませんが、だからといって放置というのは良いとは考えていません。
後、海外での反応が主に国内の「許容」よりも「批判」が強いことも知っておいてほしいかなと思っています。
海外販売を期待しているゲームデザイナーで、生成AI使用によって断られるとか、ばからしすぎるしで。そんな事例があるか知らんけど。
作者の言動によって、不買運動が出たボドゲなら見たことあるんですが。ゲーム自体は面白いらしいので、それはそれでばからしいし。
今年には世界中で法令含めていろいろ出るんじゃないかなぁ。雰囲気的に。
※アメリカを代表する海外だと、すでに法案が出てたりするっぽいです。準備だけかな。日本でも政府による意見交換や公開みたいな話も出てるみたい。(議事録はあった
9.追記
なんか、2024年2月に政府から著作権とAIって感じのパブリックコメントがあるみたいです。
創作者からはいろんな話が出そう。
逆に、ここが有用とか言う話は出るんだろうか。(皮肉とかじゃなく、読みたい。相対的に記事が足りない。)
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