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犬と私の生活

うちに犬のトイプードルがやってきて6年になる。
最初は、躾やなんだかんだ大変な思いをした。
それは犬のせいじゃなくて、自分がどうしたら良いのか手探りだったからだ。

つい最近になって、生活環境を変えたら色々な発見がある。

それは犬の方が私より、オトナとい点だ。
今までは、私が『面倒をみている』感覚が強かった。
けれど、私が犬の気持ちやして欲しいコト、今は必要じゃないコト、そんな事が分かるようになったからか、とても落ち着いた関係を持っている。

昨日のこと。
いつも私の行く先々に家の中でも着いてきて、何でも観ているのは分かっていた。
どちらかと言えば、以前は分離不安からの後追いみたいな感じで着いて来てた。
この頃は、私を見守る感じが伝わる。

どうにも考え事で眠れずに、寝支度もせずに居て、何度も『もう夜も遅いし寝る時間だよ、寝ようよ』と前の手でちょいちょいと私をつついていた。
私は「ウンウン分かったよ」と言いつつも中々寝ようとしなかった。

ふと、うーん確かにもう朝方だから寝なきゃなあ~と思って、一旦はベッドに入った。
考え事をしている時は、目を閉じると尚更、次々に浮かんで来て余計に冴えてしまうもの。

犬が寝てるのを起こさないように、そお~っとベッドを抜け出して、また机の前に向かった。
気が済むまで書き物をして、ふっと後ろのベッドを見ると、犬がこっちを伏せをしながら見ていた。
私が寝付くまで、じーっと見守って居たんだ。

「あれ~起きて見てたの?ゴメンねぇ」
そう言って私がベッドに入ると、犬が私の懐に丸まって寝てきた。
しばらくして「大丈夫だよ、もうちゃんと寝るから。心配掛けて起こしちゃっててゴメンねぇ」と私が言うと、ふむ、そっか、という感じで今度は懐から出て、デン!と羽毛布団の上の私の足元に乗っかって、ベッドの先方を塞ぐように伸び伸びと寝てしまった。

嗚呼、私を出させず寝かせるために、わざと通せんぼをしてるんだなあ~と察して、私はウトウトといつの間にか、モーションセンサーのテレビを着けたまま寝ていた。

朝9時過ぎにやっと寝付いたから、目が覚めたのは昼下がりだった。
まだ眠かったが、日課のように観ている大相撲中継が観たくて起き上がった。
「ああ、ぐっすり眠れた!」
犬も遅くまで起こされてしまったから、それまで寝ていた。

「おはようさん」
ゴロゴロ~☺
私の枕元が本来の寝床になっているので、いつも通り安心して、そこで寝ていたようで、フフーン♪とご機嫌に起きたみたいだ。


流石に、いつもよりありがとうと思ったのと、この犬の私に対する想いがよーく解った出来事だった。

感受性や洞察力の鋭い犬は、飼い主の状態や具合に敏感だ。
とは言え、持病でほとんど具合の良い事がない私を本当によく観察していて、ここまで見守り、体調が悪くならないように誘導までしてくれるのは、スゴいなあと感心する。

私がトイレに行けば、傍で見守る時もあれば、遠巻きに様子を伺っている時もあるし、お風呂に入ってるのを風呂場の中で観ている日もあれば、脱衣場で伏せをして出てくるまで待っている時もある。

犬自身が不安だったり甘えん坊で、私の傍に居た訳じゃなかった。

よく突然の目眩や失神で転倒したり、全身激痛でいきなり倒れ込むことがあり、救急車で運ばれる事も多かったから、自然と私の行動を見守ってくれるようになったんだと思う。


元々、介助犬になってくれたら助かるし、そういった能力のある犬種だから、と遊びを通して小さい時から色んな事を試して教えて育てた。
犬の中でも利口だと言われるトイプードル。
言葉をよく理解し、日常会話の中から察する、理解する能力は確かに高いと思う。
私が幼い子供に話すように、伝えると一回で理解する。

例えば来客があった時に、
「いま、お客さんと大事なお話してるから静かにここで伏せしててね」
と言えば、はしゃがずに言われた通り待っててくれる。

お互いに助け合って、お互いの足りない所を補いあって生きているような気がする。
人間の家族よりも、コミュニケーションは親密で、互いの信頼関係や愛情は比べ物にならない。
思いやって、毎日を二人で生活しているなあと感じる。

口が利けず、人間用語の会話でのコミュニケーションは出来ずとも、心を感じ取り合っている。
時々、ケンカもするけれど、それも話し合って仲直りをきちんとする。

それでも人間社会では、”ペット”にされてしまう。
家族よりも家族。
人間同士よりも、言葉を使わない分、感受性をフルに活用して通じ合う心の繋がり。

こういう体験をしている、盲目の障害者や身体障害者なら理解出来る感覚ではないだろうか。
もっと、このような犬と人間の繋がりを世間に理解して欲しい。
可愛いというだけで一緒に居る訳じゃない。
共に生きている。
一方的なエゴで飼われている、単なる”ペット”ではない、介助犬認定を受けていない、生活の中の介助をしている犬もこうして実際に居ます。

私の犬がしているのは、精神的介助と生活の見守りです。


これが、私と犬の生活。
ありがとう

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