『動物農場』

最近読んで一番引き込まれた本。
何が怖いって、もちろんナポレオンを筆頭とする暴力的閉鎖社会のトップ層もそうだけど、一番怖かったのは過去を忘れていく動物たち。
全ての前の時代に起きたことを、上にうまいこと言いくるめられていくうちに「そうだったっけ?」という意識にまで落ちている状況。
もちろん、口八丁で他の動物を洗脳する豚たちは悪だ。
けれど他の動物たちの、「思い起こそうとしない行為」も十分それ相応の結果を生んでいるのではないだろうか?
そしてロバのベンジャミンのように、全てを冷静に見ながらも積極的に行動しない姿勢もまた然り。
上からの権力によって、知らないうちに、まだ大丈夫、これはきっと正しいことなんだ、このように思っているうちに、いつの間にか私たちの社会もまた緑の旗の帝国になっているのではないだろうか。
第二次世界大戦後に共産主義批判として書かれた『動物農場』ではあるが、今の私たちの日本社会にも重なる部分を感じてしまうのは、ただの一院生の杞憂なのだろうか。

(ちなみに、ナポレオンたちをナチを見ることもできるなーとは一瞬思ったが、この物語の場合、アーリア系という特権階級もいなく、排斥対象は「政治犯」のみなのでそんなことは言えないなとも思いました)

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