見出し画像

DynamiteとButterとPermission To Dance


「Dynamiteまでは自分の手の上にあったのに、Butterから方向性が分からなくなった」と防弾会食で名指しされてしまったButter。
実は私の本格的な沼落ちはこのButterだった。
あの紫長髪のジョングクさんの魅力に一瞬でコロリ。(本日のTMI)
でもあのMV視聴5回目位で推しが変わったのだけど。(更にTMI)
Dynamite、Butter、Permission To Danceは紛れもなくBTSがトップスターの座を不動のものとした大ヒット曲だ。
今回はすごく売れたのに継子扱いされがちなこの英語曲3曲について思うところを書きたい。


英語曲3曲が問題なのか

コロナ以前、BTSは既にトップアイドルだったけれど
Dynamite以降、それまでK-popに馴染みがなかった層にまで彼等の音楽が届き、爆発的に人気が拡大したのは事実だ。
続くButterもPTDも私は大好きなのに、これらの曲が彼等を苦しめていたの?って思うと悲しい。
あんなに笑顔でパフォーマンスしてくれたのは嘘だったの?
上へ上へと押し上げるARMYの過度な期待が大切な彼等を追い詰めていたの?って。
会食の彼等の涙を見て胸を痛めないARMYはいないし、
自分のせいだったのではと苦しんでいる人たちは沢山いると思う。
私だってド新規なりに、こんな界隈に勝手に踏み込んだこと自体が重荷だったのではと思うと辛くなる。

でも、そんなことないと思う。
ナムジュンさんが発言した真意は、これらの曲に納得が出来なかったとか、やりたくなかったということではないと私は思っている。


考えられる問題点とは

この英語曲3曲が一般の評価と裏腹にARMYの中ではあまり評価されていない理由はこんなところだろうか。
①彼等自身が作っていない(部分が多い)から。
②彼等の母語である韓国語ではないから。
③メッセージ性がないから

では①について。
特にDynamiteでは曲作りを完全に外注している。
Butterはラップの部分にナムジュンさんが参加したが、概ね外注だ。
BTSは自身の言葉を歌にして伝える活動で人気を得てきた訳だから、内容に物足りなさを感じる人が多いのは想像に難くない。

作詞作曲はアーティストとして本当に素晴らしい能力だと思うけれど、歌い、踊り、表現することはそこまで評価されないことなのだろうか。
バッハやモーツァルトは素晴らしいけれど、それ以降のマエストロや演奏家はそうでもないだろうか。
ラップラインは作詞作曲にクレジットされることが多いけれど、それほど多くは参加していないボーカルラインはあまり評価されないのが妥当だろうか。

ナムジュンさんはかつて「Dynamiteは新たな可能性への道標になってくれた」と語っている。
この新たな可能性の一つは、パフォーマンスに特化するという、普通のアイドルには当然でもBTSとしてはやってこなかった試みが彼等のアイドルとしての明るく華やかな魅力を更に大きく開花させたことではないかと思う。

次に②
新たな可能性のもう一つは完全英語曲を採用したことだ。
アメリカに本格的に進出し始めた頃のインタビューで「英語のみの曲を歌うことはないと思う。それでは歌詞が書けないから」と言っていた。
防弾少年団の矜持を示す、とてもカッコいい言葉だ。
その時の言葉に嘘はなかったと思うけれど、Dynamiteは当時のARMYにとって突然の翻意のように感じられただろう。

私も彼等の韓国語で歌う曲が大好きだけれど、
英語曲はNOというのはイルアミとしては言えないかなぁと思っている。
日本でだけリリースされている日本語曲はKPOPとしての彼等の曲調とは違い、かなりJPOPに寄せた雰囲気で、これらの曲が大好きなイルアミは多い。
日本語だから歌いやすい、歌詞に込められた感情が分かりやすい、もっと言えば日本語で歌ってくれるのが嬉しいという気持ちもよく分かる。
だから英語曲はグローバルPOPというべき新しいスタイルとして受け入れれば良いと思う。
世界には英語を理解する人が多くて、その人達が歌いやすい、分かりやすい、嬉しい曲なのだ。
英語は1人でも多くの人に届けるために必要なツールとして、最適な時期に採用された。

最後に③
防弾少年団の当初のコンセプトは「10代、20代に向けられる社会的抑圧や偏見を防ぎ、自分たちの音楽を守り抜く」だ。
コロナ禍で世界中が同時に出口の見えない暗闇に沈んだとき、彼等は自分たちが世界を明るく照らすDynamiteとなることを選んだ。
10代、20代のみならず、全ての人に対して不安や閉塞感から人々の心と自分たちの音楽を守るために。
これが彼等からのメッセージだと思う。
Butterはリリースの時「ただサマーソングとして楽しんで」なんて言っていたが、自分達がYellowの人種であることをスムーズにコンセプトに入れ込みつつ、
差別や偏見をぶっ飛ばし、アジアから世界のトップに立ってやるという意気込みに溢れていた。
PTDは「踊ろう!誰の許可もいらない」と人々を束縛から解放し、励まし、コロナの消息を願う明るく元気がでる曲だ。
私はこれらの曲から実に彼等らしい成熟した陽のメッセージを感じる。

これらの理由で、私はBTSにとって英語曲3曲それ自体が彼等の方向性を見失わせたり、苦しめたりした訳ではないと考えている。
尤も私自身コロナ以降の流れがなければ彼等に出会うことすら出来なかった新規の1人なのでこれらの曲を否定しきれない面があるのは確かだ。
だとしても、彼等が意に沿わない楽曲をリリースしたと考えるのは音楽家としての彼等にとても失礼だと思う。


方向性を見失うとは

ではナムジュンさんが言及したButter以降方向性を見失った、とはどういうことなこか。
私はこれらの楽曲そのものではなく、その評価についてきてしまった決して彼等が望んだ訳ではない大きすぎる肩書やそれによる束縛だと思う。
音楽性も人間性も全てひっくるめた、見えない力による束縛。

2018年に国連でスピーチをした際は、「LOVE YOURSELF」という彼等とユニセフの共通の方向性があった。だから彼等の筋はぶれることなく、相互に大きな効果を得ることができた。
だが、昨年の韓国大統領特別使節、国連でのSDGsのスピーチ、ホワイトハウス訪問など、
彼等にしてみれば、確かに善い行いで、力になりたいと思うだろうけれど、グループの活動の方向性とは明らかにずれていた。
そのずれを修正することが最早不可能な程猛烈なスピードで、国家やら世論が強い圧力をかけて彼等を飲み込んでいった。
世界一人気を得た韓国のボーイズバンド、若きセレブリティー、国連やホワイトハウスでの活動を行う政治的なアイコンとしてますます一挙手一投足が衆目を集め、いつの間にか常に「最高であること」「正しいこと」を求められすぎていた。
自分の心の中で疼いて暴れ出す自分自身の声とは違っても、想いをそのまま口に出すのが躊躇われるような毎日。
だからといって We ain't about it と言って放り出してしまうには、彼等はあまりに善人すぎた。



手を繋いだ人と手を放してしまった人

一方で彼等が発信する正しくて明るい陽のメッセージは多くのマジョリティーの心を掴むのには成功したけれど、それによって振り落とされてしまった人もきっと沢山いたと思う。
それまで防弾少年団の音楽を愛してきたARMYの中にはSave MeやI'm Fine、ON等の楽曲を通じて陽の当たらない場所で人知れずもがき苦しんでいる人々に自分を重ね、その心に寄り添う姿を愛していた人が多かっただろう。それこそが防弾少年団のアイデンティティーだからだ。
踊ろう、と陽気に手を差し伸べられても踊れない、踊りたくない人だっている。
「なぁんだ、あなたもそっち側の人だったの」とため息をついて手を放してしまった人が沢山いただろう。

あのタイミングで英語曲で勝負に出たことは彼等にとって最適解であったことは間違いない。
実際拡大したファンダムの中には彼等に救われた新規のファンが大勢いる。私もその中の1人だ。
けれどもきっと、彼等の目には手を放してしまう人たちの姿も見えていて、自分たちをアンダードッグと呼ぶ彼等と心情的には近いはずの人々の後姿を、どんなにもどかしく感じていただろうと思う。


アンパンマンのように

彼等には苦しい所にこそその身を投じるような、まさに「痛みを持ってこい」と叫ぶONの世界観そのままのところがあって、それこそがヒーローである所以なのだけれど、投げ出された身体は既にボロボロだ。
まるでアンパンマンが自分の顔を弱った人に分け与えるように。
しかし、ジャムおじさんが代わりのパンを焼くための時間、彼等が人間として成長し、内面を磨き、創作をするための時間は確保されなかった。
アイドルとしての多忙な活動自体がそれを許さないからだ。
BTSとして誰かの癒しとなり、希望となり、明るく輝く為には絶えず自己犠牲が強いられた。
あの時点での最適解と、コロナがなかった場合の2020年に予定されていたツアーを完走してチャプター2に進めていたかもしれない未来とで、どちらが彼等にとって幸せだったかは私達には知る術がない。


「重い」と感じるものの正体

防弾会食での発表に、当初色々足りない部分があったかもしれないけれど、どんな風に説明したって理解してぐれる人、理解してくれない人に大きな違いはなかったと思う。
そこに彼等が「重い」と感じるものの正体が見え隠れしている。

ARMYだとかファンだとか、マスコミだとか世間だとか色々な架空の名前を名乗って近づき、自分の理想や正義を押し付けて彼等を縛り付け、傷付けようとする人々だ。
中にはただ外野で騒ぐだけの人や、アンチもいるだろうし、或いは過去の彼等が好きだったから(というのも本当かどうか疑わしいけれど)変化が許せないという利己的な理由もあるのだろう。飛び立とうとする彼等の翼をへし折り、足枷となって妨害しようとする人がいる。
興味がなければ放っておけば良い。
留まりたい人は留まれば良い。
光が強い程真っ暗な影を作ることも分かっている。
でも私は、彼等の成長を、勇気を、自由を望み、讃えたい。
そう思う私も利己的なのだろうか。


チャプター2

寄せては返す感情の波にのまれてまだ完全に抜け出せないでいる私のもとにもチャプター2の動きが届き始めている。

ジョングクさんのコラボ曲や
  BTSとは違う表現が素敵 流石黄金マンネ
ホソクさんのソロ曲MOREとアルバムの予告
  ロックな闇ホソクさん最高!
ジミンさんはインスタやweverseに沢山投稿してくれる
  いつも丁寧で心のこもった言葉
ナムジュンさんの素敵なヨーロッパ旅行写真や
  彼氏感強すぎ
ソクジンさんのタトゥー報告の背中に仰天
  美しい逆三角形 惚れ惚れ
ユンギさんはあまり浮上しないのが通常運行で
  でも長男の上裸には反応してる
腰を抜かす程美しいテヒョンさん in Paris
  写真集熱烈希望!!
キラキラした宝物が波に紛れて沢山打ち寄せられてくる。
私はこの宝物たちを一生懸命拾い集めて
「アミは元気だよ。宝物をありがとう。」って笑っていたいと思っている。


無条件で

彼等が最も恐れたのは株価ではなくてARMYを傷つけることだったと思う。
私が一番怖いことは彼等が傷つくことだ。
私達ファンは勝手だから離れたくなったら心のままに離れれば良いけれど、彼等はそういう訳にはいかない。

休んだっていい。離れたっていい。僕らはここにいるよ。
彼等がくれた言葉をそっくり返したい。
休んだっていい。離れたっていい。私達はここにいるよ。

馬鹿でも、都合が良くても、お花畑でも、(大して貢いでいないけど)ATMでもなんでも構わない。
彼等は名前も顔も知らなくてもARMYというだけで私達を無条件に愛してくれているし、
私は彼等を無条件で愛している。
話してくれたことで、少しでも彼等の荷物が軽くなっていると良いのだけれど。

理解しない人もいるだろう。
ただ、私のような人もいる。
ARMYの良いところは個ではなく、多様な属性を持つ巨大な集合体だというところだ。だからこそ様々な形の愛や知恵や行動がそれぞれに彼等を愛し、護り、共に歩いて行くことができる。
自分がそのひとかけらであれたらいいと思う。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?