見出し画像

「わさび」飛騨市先行上映会

飛騨市を舞台にした外山文治監督の「わさび」の飛騨市先行上映会があるというので見に行って来た。
この映画館のない街で、いくら舞台だからといって全国に先駆けて先行上映をしてくれる…というのは、なかなかレアケースなのかもしれない。ちょうど昨年の今頃「君の名は。」の時に全国ネットで広まった「映画館のない飛騨高山」は盛り上がりから1年が経って、ロケツーリズムの聖地のような状態になっている。

映画を見るとわかるのだけれど、プロのカメラマンが撮っているのを差し引いてもあり余るくらいの飛騨市の街や自然の美しさ、その町が持つヒトのチカラや雰囲気は、やはりこの町の人々が長い時間をかけて育て繋いで来た「エネルギー」なんだろうと思う。

たった30分のショートムービーだからこそ難しいし、だからこそ意味がある。しかも、その映像のほとんどがすべて日々の生活で見たことのある風景の中で進んでいくというのは、なんだパラレルな世界にトリップしていくような感覚。見た後は短距離走を走った後のような疲れがおそってきて、呼吸を整える間も無く同時上映の映画が始まる感じだった。

役者さんもスゴイ。とくに主演の芳根京子さんは「べっぴんさん」の時も素晴らしいと思ったけれど、この30分の中で演技がぐんぐん迫ってくる。監督の話によるとクランクインが2年前で「べっぴんさん」よりも前だというのだから驚きだ。当時まだ18歳。
女優さんの凄さを飛騨が舞台ってだけでとても身近に感じる事が出来る。

同時上映の映画「春なれや」も良かった。
物語の舞台であゆ熊本はクランクアップの10日後に大きな地震に襲われ、ロケ地は今も立ち入り禁止との事。

映像が記録する町や人の活気や元気さは、時に残酷に現在との差を示すけれど、一方ではその活気や活力を僕らに与えてくれる。

この映画が熊本の被災者の方々のモチベーションや復興の活性化に繋がってくれたら良いな…と思うと同時に、「わさび」も間違いなく2年前の飛騨市を切り取っているとても貴重な映画なんだと気づかされる。

生きている限りどこかで誰もが直面する普遍的な問題を真正面から撮った映画は、自分のライフスタイルや生き方を考えさせられる。
特に主演の芳根京子さんには、二度もココロにズシーンと響くパンチをもらっている。

一度はこの映画、もう一度は「べっぴんさん」である。ちなみに、今日の午後「べっぴんさん」の総集編を見返してしまいました…

この1〜2年の間に色んなコトが変わっていくかもしれない…と思うと、気を引き締めて生きていこうと思うのです。

そんな外山文治監督の「わさび」「春なれや」の公開は8月26日から、渋谷ユーロスペースにて2週間限定の公開。

飛騨市の美しさや人々がココロ、活気、街の雰囲気がしっかり映っています。ぜひご覧になって下さい。そして、その風景を探しに飛騨古川や高山に来ていただければ幸いです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?