「正直不動産」と考える:離婚したら自宅のペアローンはどうなる?
『正直不動産』という漫画はご存知ですか?
『千の言葉のうち真実は三つしかない』という意味で、千三つといわれる不動産業界で、嘘をつけなくなってしまった営業マン永瀬財地が正直営業で様々なトラブルに立ち向かうお話です。
2022年4月からNHKで山下智久さん主演でドラマ化され、話題になっています。
4月19日放送のお話はこちら
ということで、本日はHowMa編集部が教える、離婚した際のマイホームについて。漫画のエピソード紹介ではないので悪しからず。
結婚を機にマイホームを購入!とってもワクワクしますよね。
しかし、購入時には考えられないことですが、離婚する可能性は大いにあります。
日本ではいま結婚したカップルの3組に1組が離婚をしているというデータもあるので、決して珍しいことではありません。
大きなお金が関わることなので、幸せいっぱいな時でも、頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう。
離婚する場合、財産分与は必須です。では購入した家はどうやって財産分与をしたほうが良いのでしょうか。
住宅ローンが残っていない場合
もっとも財産分与しやすいのは、すでに住宅ローンが残っておらず自分たちの財産になっている場合。
その時には、
・財産分与の際に家を売って、そのお金を二人で分ける
・どちらかが住宅を購入できない、賃貸することもできない経済状況であれば、片側に家を分与し、その他の財産をもう片方が全て受け取る
といったことが可能です。
ここで注意したいのが贈与税です。
例えば夫名義の家を妻に財産分与する際には、金額に応じて贈与税が課税されます。家の売却額や評価額が大きい場合には譲渡税がどれほどになるか確認しておきましょう。
住宅ローンが残っているが、家を売却すれば完済できる場合
住宅ローンが残っているけれども、家を売却すればローンが完済できるというケースはローンの名義人によって対応が変わります。
片方の名義でローンを支払っている場合
夫もしくは妻、どちらか片方がローンの名義人となりローンの返済を行っている場合は、アンダーローンと呼ばれる状況なので、家を売却してその財産を夫婦で分割するのがトラブルを避けやすい対応と言えるでしょう。この場合は金融機関から売却の許可もおりやすいので、特に問題は発生しないと思われます。
財産分与の一環で名義人を変更し、片方に家を譲渡することも可能ですが、住んでいない人間はローンの返済を滞らせてしまうケースも多いです。例えば妻がローンの返済をしていて夫が家に引き続き住むことになったとします。そこで妻が返済を滞らせてしまった場合、夫が連帯保証人になっていれば、残りのローンの返済義務は夫に降りかかることになります。
考えただけでゾッとしますね。
何かとトラブルが発生しやすいので、家に住み続けるのは住宅ローンを返済する人間にした方が良いでしょう。
共同名義でローンを支払っている場合(ペアローン)
共働きの夫婦の場合、共同名義でローンの融資を受けている場合もあります。この場合はたとえ離婚が成立したとしても、互いにローンの返済義務は残ります。
例えば妻が家に住み続けた場合は、住んでいない夫も引き続いてローンを支払わなければいけません。もし、住んでいない夫がローンの返済を滞らせてしまったら、妻に二人分のローン返済義務がのしかかってきます。
離婚した夫の返済をするのは気持ち的に進みませんね。共同名義の場合、片方が引っ越した後、住宅ローンの返済義務に関して二人の間で引き続いてトラブルが発生するケースが非常に多いです。片方に十分な支払い能力があれば、名義人を一人に変更することができます。
しかしこれも労力がかかるのでアンダーローンの状態であるならば、物件を売って財産分与をした方が無難かもしれません。
住宅ローンが残っており、家を売却しても完済できない場合
住宅ローンの返済が残っていて、家を売却しても住宅ローンを完済できない、いわゆる「オーバーローン」の状態には、基本的に抵当権を持っている金融機関が売却を許可してくれません。
ガーン。
するとどうなるか。
住宅ローンの名義人がその後も住宅ローンを毎月返済し続けることになります。住宅ローンの名義変更は可能ですが、名義を変更する先の人に、ローンをきちんと返済できる定期的な収入がない場合は、金融機関も名義人の変更を認めてくれないでしょう。
例えば、
夫が住宅ローンを組んでいる場合は、その家に妻が住み続けることになっても、夫は支払いを続けなければいけません。
しかし、このケースで起こりやすいのが、やはり、住宅ローン返済の延滞です。
こういったことを考慮すると、オーバーローンの場合は名義人本人が住み続けていく、あるいは、任意売却で自宅を整理し、名義人が残債を処理していくといった選択が良いでしょう。
賃貸に出すという選択肢
もう一つの選択肢として二人とも家から退去し、もともと住んでいた家やマンションを賃貸に出すという選択肢もあります。不動産を売却せずに家賃収入を二人で公平に分割していきます。
基本的には名義人の元に家賃が振り込まれることになるので、家賃を受け取ったのに離婚した元パートナーに振込をしない、というトラブルも発生しています。
財産を処分せずに分割がしやすいというメリットはありますが、離婚前の入念な話し合いが必要になりますし、名義人側は賃貸に出すのをやめて、自分が住むという行動に移ることも。そうすると元パートナーが収入が入らなくなるなど、またまたトラブルの元になりかねません。
まとめ
離婚をする際は財産分与の話し合いがスムーズに進まないことも多いです。また、住宅ローンの返済も、「住んでいないのになぜ自分が支払わなければいけないのか」と、途中でやめてしまう人も多いようです。財産分与代わりに家をもらっても、結局住み続ける方に支払い義務が降りかかり、支払えずに家を競売にかけることになった・・という人も。
こういったトラブルを防ぐには、やはり離婚時にマンションや戸建てを売却し、現金にしてから分けるのが適当と言えるでしょう。
家の購入時には、将来の色々な可能性を考えてローンを組んでくださいね。
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