妖怪メクソクイ

「あれ?今日は起きてすぐなのに目糞がついてない!」

「ほっほっ、そりゃお前が寝とる間にメクソクイが食うていったんじゃ」

「メクソクイ?」

「おお、一人に一匹、専門のメクソクイがついておる」

「へぇ」

「メクソクイは目糞を食えば食うほど大きくなる、そんでその人間が死ぬ時に現れるのじゃ。

『ワシの大きさがお前の一生の目糞の量じゃ!』

と言って両手を拡げて体の大きさを死ぬものに見せてくるんじゃよ」

「どんぐらいの大きさなの?」

「メクソクイがどこでどうやって生まれるのかを知っとるものはおらん、故に最初の大きさは分からん。最後の大きさはさっきも言うたように食った目糞の量次第でまちまちじゃ。まあしかし人の目糞を寝とる間に食うようなもんじゃからそれなりの大きさじゃろ。まあ象ほどでもないわい。狸ぐらいなもんかのぉ」

「ほー、ばぁちゃんのメクソクイはばあちゃんのだから結構育ってる?」

「多分そうじゃろうがそれは分からん。あれは死ぬ時にならんと見えんのじゃからの」

「そうか。見てみたいような見てみたくないような。そういえば今日は鼻の穴がすっきりしてる」

「ほっほっ、それはハナクソヒキが引き抜いていったんじゃろ」

以下略長介。

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