見出し画像

ポリゴン(Polygon)入門、イールドファーミングの始め方

本記事は、CoinGeckoが公開した「Yield Farming on Polygon」の翻訳です。

EIP-1559の導入が近づくにつれ、Ethereum上ではいくつものプロジェクトがレイヤー2技術を採用し始めています。しかし、安くて超高速な取引へ需要は収まらず、旧Matic「ポリゴン(Polygon)」のようなオルタナティブプラットフォームの利用が急増しています。

現時点は、ポリゴンに接続しているEthereumアドレスは多くありません。Nansen社のデータによると、Ethereumメインネット上のアドレスのうちポリゴンにも接続しているアドレスはわずか0.1%未満です。つまりポリゴンは未開発のフロンティアであり、イールドファーミング分野において今後爆発的な成長をもたらす可能性を秘めています。

本記事は、ポリゴンブロックチェーンに参入するための入門ガイドです。ウォレットの設定から資金の移行、既に稼働しているいくつかのプロトコルについて解説・紹介します。

始め方

まず、資金を保管するためのウォレットが必要になります。その他多くのEVM互換ブロックチェーンと同様に、chainlist.orgにアクセスしMatic Mainnetを選択することで、既存のメタマスクウォレットにポリゴンネットワークを簡単に追加することができます。

メタマスクにポリゴンを追加する方法

ステップ1https://chainlist.org/ でウォレットを接続します

画像1

ステップ2:Maticを検索し、メタマスクへの追加をクリックします。

画像2

ステップ3:メタマスク上で、ネットワーク追加の許可を問うプロンプトが表示されます。「Confirm」をクリックします。

画像3

完了です!メタマスクウォレットにポリゴンネットワークを追加することができました。

これは、効率的なネットワーク移行方法の一手段に過ぎません。手動で行いたい場合は、ドキュメントに記載されているネットワークの仕様に従って、メタマスクにカスタムRPCを追加することが可能です。必須ではありませんが、万が一取引が成立しない場合に備えて、バックアップRPCを備えた第2のネットワークを用意しておくことを強くお勧めします。

ウォレットの設定が完了したら、資金を移行していきましょう。資産を送金する方法としては、AscendEx(旧 BitMax)からポリゴンネットワークに直接出金する方法や、Matic PoS Bridge を通じて送金する方法、Xpollinateを利用する方法などがあります。

1.AscendExからの送金

ステップ1:AscendExに資金がある場合は、アカウントにログインして、アセットに移動して残高を確認します。利用可能な資金がない場合は、「Deposit」をクリックしてトークンを選択し、資金を預け入れることができます。

画像4

ステップ2:出金をクリックした後、出金するアセットを選択します。なお、ポリゴンネットワークに出金できるのは、MATIC、USDC、ROUTEのみとなります。

画像5

ステップ3: 資産を選択したら、Maticネットワークを希望する出金ネットワークとして選択します。次に引き出しアドレスと引き出し額を入力します。完了したら、「Confirm」をクリックします。出金依頼が完了したら、資金が指定したアドレスに安全に届いていることを確認してください。

以上のプロセスを経ることで、すぐにでもイールドファーミングを始めることができるはずです。しかし、中央集権的な取引所を経由せず、自分で資金の動きをコントロールしたいという方もいるでしょう。そんな方のために、いくつか分散型ブリッジを紹介します。

2.Matic Bridgeを介したEthereumからの送金

ステップ1:Ethereumから入金するには、https://wallet.matic.network/bridge/ にてポリゴンネットワークに接続することができます。

画像6

なお、移行する資産の種類によって使用できるブリッジが異なります。ブリッジを切り替えるには、スワップインターフェースの下にある送金モードの横にある「Switch Bridge」をクリックしてください。

以下のようにブリッジタイプによって、出金時間や対応資産が異なります。

画像7


ステップ2: 転送したいアセットを選択し、「Transfer」をクリックします。ブリッジでサポートされているものとサポートされていないものを示すプロンプトが表示されます。「Continue」をクリックすると、取引を完了するために必要なガス料金の見積もりが表示されます。

画像8

ステップ3: ‘Continue’をクリックすると、取引の概要が表示されます。詳細が正しいことを確認し、次に進みます。その後、取引を確認するためのメタマスクのプロンプトが表示されます。確認後、取引の進捗状況を確認することができます。資金は、取引を開始したときに使用したアドレスと全く同じポリゴンネットワーク上のアドレスに送られます。

画像9

3. XDAIからXpollinateを経由して移行する場合

ステップ1: あるいは、Xpollinateを介してxDaiから資金を移行することもできます。https://www.xpollinate.io/ にアクセスして、ネットワークを切り替えてください。

画像10

ステップ2: 移行したい資産を選択し、受け取りアドレスを入力します。それが済んだら、「Swap」をクリックします。なお、このブリッジは現在DAI、USDC、USDTのみをサポートしています。

ステップ3: その後、ブリッジが送金を実行するためのチャンネルを設定している間に、Connextへのログインを促すプロンプトが表示されます。次に、スワップインターフェースが表示されますので、送金したい金額を入力します。入力が終わったら、「Swap」をクリックしてください。

画像11

ステップ4: 送金完了を待っていると、ポリゴン上にあなたの資産が表示されます。なお、両サイドの既存の流動性次第で、ブリッジが利用できないケースもあります。メインサイトのインターフェースの下に、送金を許容可能な出口流動性の量が表示されています。

画像12

これで全てが揃いました。これで、ポリゴン上のイールドファーミングを開始するための準備が整いました。しかし、その前にいくつか注意すべき点があります。

他のブロックチェーン上の多くのdAppsと同様に、トランザクションはネットワークのネイティブトークンを使って支払われます。そのため、ユーザーはMATICを保有している必要があります。ただし、手数量が非常に安いため1MATICでも数千件の取引に対応できます。

例えば、現在MATICは約1ドルですが、ほとんどの取引に必要なガス価格はわずか1gweiで済みます。ポリゴン上での資産承認、移転、交換のための合計手数料は、イーサリアムの10分の1以下であり、イーサリアムのように取引手数料が参入障壁となりません。資本金の少ない小口ユーザーにとっては大きなメリットだといえます。

イールドファーミング

基礎の解説が終わったところで、ここからはポリゴンエコシステムの現況についてお話します。既にAaveやCurve、SushiSwapなどのビッグネームがエコシステムに参入していますが、その他にもユニークで多種多様なプラットフォームが次々と登場し、絶え間ないチャンスが生まれています。

プロジェクトの数はEtheruemやBinance Smart Chainに比べて多くはありませんが、決して少なくもありません。分類するのであれば、レンディングプラットフォーム、分散型取引所(DEX)、イールドアグリゲーターなど複数のカテゴリーに分けることができます。本記事で紹介する事例は全てを網羅しているわけではありませんが、ポリゴンに参入したばかりの方には良いスタート地点になると思います。

レンディングプラットフォーム

Ethereum上で最大のレンディングプラットフォームの一つであるAaveは、ポリゴンへ参入してから、既に30億ドル以上のTVL(合計ロック資産額)を記録しています。Aaveでは、ユーザーが資産を預けてamTokens(Aave Matic Marketトークン)を受け取り、これを担保に他の資産を借りたり、Aavegotchisを召喚したりすることができます。(Aavegotchisの詳細は後述)

Aaveは、金利スイッチやフラッシュローンなどの新しいレンディング機能を先駆けて次々とローンチし、資金の柔軟な活用を可能にしています。変動金利と固定金利の両方を提供しており、それらを切り替えることも可能です。

貸し出し利息率は、借入の需要と供給に応じて変動することがあります。一般的に、借り入れの需要が高ければ、あるいは貸し出しの供給が少なければ、利息率は高くなり、貸し手はより高いAPYを得ることができます。現在、貸し手及び借り手は追加でMATICリワードを受け取ることができるため、リターンがより一層高まっています。ベースの報酬はユーザーのウォレットに直接入金されますが、MATIC報酬はユーザーダッシュボードからクレームする必要があります。

記事執筆時点では、Aaveは7種類のアセットのみをサポートしています。USDTなどのステーブルコインではAPYが最大25%であり、比較的大きなリワードを獲得可能です。

DEX(分散型取引所)

QuickswapComethSwapなどのポリゴン上のネイティブDEXのほとんどは、手数料や補助機能などの点で若干の違いはあるものの、基本的にはUniswapのフォークです。Quickswapでは0.25%の取引手数料が流動性プロバイダーに分配されますが、Comethswapでは0.5%と手数料が非常に高く設定されています。しかし、その手数料のうち90%だけが流動性提供者に支払われ、残りはブロックチェーンゲーム「Cometh」のプレイヤーに送られます。

画像13

両プラットフォームは、インセンティブ付きの流動性マイニング・プールを備えており、流動性提供者はLPトークンをステークすることでQUICKまたはMUSTを獲得することができます。Quickswapの流動性マイニングプログラムの利回りは現在、ステーブルコインの30%からQUICKペアの200%までと様々です。なお、インパーマネントロスには注意が必要です。

ポリゴンのネイティブAMM以外にも、SushiswapやCurveといったEthereumで始まったプロジェクトが、マルチチェーン化の未来に向けてポリゴンへの参入を始めています。Sushiswapは、同社の分散型アプリケーション一式をマイグレートし、ユーザーはSushiSwap AMMだけでなく、同社のKashiレンディングやレバレッジサービスも利用できるようになりました。

ポリゴンとのコラボレーションにより、Sushiswapでは、WETH-DAIとWETH-AAVEを含む6つの主要ペアのいずれかに流動性を提供することで、SUSHIとMATICの報酬を提供することになっています。これらの報酬を得るためには、受け取ったSushi LPトークンをプラットフォーム上でステークする必要があります。

画像14

同様に、Curveもステーブルコインの基本利回りに加えて、MATICリワードを提供しています。ただし、Yプールや3プールなど複数のプールが選べるイーサリアム上のバージョンとは異なり、現在ポリゴン上にはDAI、USDC、USDTの入金に対応したAaveプールしかありません。

画像15

3つのステーブルコインのいずれかを入金すると、ユーザーはプールのシェアを表すam3CRVトークンを受け取ることができます。また、Curveのダッシュボードを使って、毎日、毎週、毎月の利益の合計と、クレーム可能なトークンを確認することができます。

イールドアグリゲーター

Yearn FinancePancake Bunny と同様に、ポリゴンにも独自のイールドアグリゲーターが存在します。アグリゲーターとは、ユーザーからの入金を自動で運用しリターンを最大化するアプリケーションです。アグリゲーターの例としては、Adamant FinanceStake DaoBeefy Financeなどがあります。

画像16

これらのプラットフォームは、手数料やその他の追加メカニズムなどに関してそれぞれ違いを持っています。例えば、Adamantは30%のパフォーマンス手数料を徴収しますが、ユーザーは支払う手数料1ETHにつき500ADDYトークンを受け取ることができます。一方、Beefy Financeの手数料はわずか4.5%で、出金手数料は0.05%から0.1%と変動します。

AdamantとBeefyがLPトークンの複利運用に重点を置いているのに対し、StakeDaoは単一アセットのステークに向いています。ただし同アグリゲーターは現在、Curve上のAaveステーブルコインプールのレバレッジ1つの戦略しか利用していません。

画像17

その他の注目すべき農場

・Aavegotchi(アベゴッチ)
Aavegotchiは、従来の農場とは異なり、GHSTまたはGHST LPトークンをステークしてFRENを獲得することができます。FRENは取引できませんが、ある抽選チケットに変換することができます。このチケットを使うと、貴重な賞品が当たるくじ引きイベントに参加することができます。これは、収益率が大きく変動するイールドファームであり、当たれば大きく儲けることができます。

画像18

・Mai Finance
Mai Financeは、MakerDaiを開発する際に使用した過剰担保を模倣しMATICトークンを担保にしたステーブルコイン発行プラットフォームです。ユーザーは、最大150%の最低担保比率を持つ債務ポジションを持つことで、miMATICトークンを発行することができます。その後、miMATICトークンをステークしたり、流動性提供を行うことで、Qiトークン(Qi Daoのガバナンストークン)を獲得することができます。

画像19

・Poly Farms
Polygon上には、PolywhaleやPolyfoxなどのように動物の名前の前に「Poly」という言葉が付いているのが特徴の、イールドアグリゲーター・プロジェクトが複数存在します。どのプロジェクトも、単一のアセットプールからのデポジット手数料をを基にネイティブトークンを買い戻す、「買い戻し&バーン」メカニズムを実装しています。

入金手数料はプールによって異なりますが、トークンのやりとりごとに特定の割合をバーンするデフレメカニズムを追加しているものもあります。例えば、Polyfoxでは売買及びファーミングなどの各取引に対して1%の手数料を課しています。

画像20

考察

AaveCurveのような大規模なプレイヤーが次々と参入し始め、確立した地位を築こうと多くのリソースを投下しています。ポリゴン上でもますます多くのネイティブ・プロジェクトが立ち上がっており、ユーザーも小口・大口問わず凄まじい勢いでイールドファーミングに参加しています。

しかし、未開の領域を開拓する際は当たり前のことですが、あらゆる場所に危険が潜んでいます。低コストで大勢の人が利用できることから、悪意のあるプロジェクトが油断したユーザーを食い物にしようとしています。常に注意深い調査を行い、失ってもよい資産だけを投資するようにしてください。以上、本レポートでは、ポリゴン上でのイールドファーミングに関する基本的な知識をご紹介しました。安全で豊かなイールドファーミングライフを楽しんでください!

原文執筆者:Khor Win Win

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?