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2020年上半期マイベストBL小説 5選

6月半ばにTwitterに画像投稿した”マイベストBL”をネタバレしない程度の感想を交えてまとめました。まずは小説5選。選考基準としては
①2020年1月~6月に発売された作品
②シリーズものの続編ではない(シリーズ1巻目、スピンオフなどCP違いならOK)
③過去作品の新装版や文庫版ではない(同人誌や電子配信の書籍化ならOK)
といった感じです。

最後に続編や新装版なども含めた総合トップ10もタイトルだけ紹介しています。

『片想いの相手と駆け落ちしました』

原作:海野幸 イラスト:大橋キッカ /クロスノベルス(笠倉出版社)

BL史上に残ると言っても過言ではない最高の告白シーンに悶えまくりました😍

◆あらすじ◆
「だったら駆け落ちでもなんでもしてみろ! 」
華道の家元の次男・晴臣は初恋を忘れられずにいた。兄から持ちかけられた縁談を断り、家を飛び出た晴臣の目の前に現れたのはその初恋の相手・大我。数年ぶりに会った彼は、事情を聞くとなぜか恋人のふりをしてやると晴臣の家までやってきた。
だが、大我と犬猿の仲の兄はふたりの仲を猛反対。そして晴臣の手を引いた大我との駆け落ち生活がはじまって!?
庶民派包容力攻め×天然健気受け。ドタバタ新婚ラブコメ♡

2020年1発目に読んだBL小説がコレでした。おみくじなら大吉ですよ!大吉!!

気づけば私の1軍本棚のシャレードコーナー(今回はクロスですが)には海野幸さんのご本がズラリ…。無意識でしたがもうコレは作家買いと言ってよいのでは?と思う今日このごろ。海野さんの作品は設定やストーリーは王道だけど、そこにクスッと笑えるエピソードだったり、キュンキュンするようなセリフが盛り込まれてぐっと引き込まれるんですよね!そしてタイトルがいつも分かりやすい。今回の作品も例に漏れず小林製薬的な直球タイトルです。

今作は華道家元の箱入り次男坊とその初恋相手である同級生との再会偽装駆け落ちもの。受けはとにかく世間離れしていてほっとけない子。偽装恋人を引き受けた攻めもやたら包容力があって甘やかそうとするんですが、この坊っちゃん、好きな相手の重荷にはなりたくない、偽装とは言え初恋相手との新婚生活を少しでも長引かせたい一心でとにかく頑張る!そこが微笑ましいやら可愛いやらで…💕そんな受けの変化を応援する攻めもまたイイ男なんですよ🎵私、こういうただ甘やかされて守られるだけじゃない、自分で頑張れる子が大好きなんですよね~💖

そんな二人の甘々新婚生活に、こじらせ長男の弟愛が絡むとなればもう私のツボです!本当ならこのお兄ちゃんのスピンオフを期待したいところなんですが、どうやら無理そう…💧残念過ぎる!!なんとかなりませんかねぇ…先生!

さらに和服ですよ!わ・ふ・く!!攻めも着物を汚さないように気を配りながらもしどけない襦袢姿にはたまらないご様子でした(*´Д`)

何より前述した告白がもう!!本当にステキ過ぎ✨大橋キッカさんのクロスフェードするような挿絵がさらにこのシーンを盛り上げてくれてます!こんな美しい告白シーンを読むことが出来て本当に幸せでした😍



『海辺のリゾートで殺人を』

原作:楠田雅紀 イラスト:夏河シオリ /キャラ文庫(徳間書店)

BLの枠を超えたミステリーにドキドキ!最後の見事な伏線回収に思わず「やられた!」

◆あらすじ◆
無人島の豪華リゾートホテルで夢のようなバカンスを――
そんな体験ツアーの抽選に当たった会社員の瑞樹。けれど、一人参加で心細くなっていた時、声をかけてきたのは旅の同行取材をするフリーライターの阿久津。人懐こい阿久津とは逆に、他は元官僚や大手銀行の子息と横柄でセレブな客ばかり。
内心辟易としつつ島に着いたその二日後、ツアー客がプールで溺死!!殺人の疑いがあると言われ!?

ストーリーの面白さもさることながら、ひと捻りある展開構成力に思わず「巧い!」と唸ってしまうストーリーテラー楠田雅紀さん。去年発売されたタイムリープものも素晴らしかったですが、今回は初の本格ミステリーです!

オープン前の高級リゾートの体験モニターとしてツアーに参加する主人公は天涯孤独引っ込み思案な青年。ツアーに同行している気さく快活なライターと行動を共にするうち、お互い惹かれ合っていくのですが、次々と参加者が不審な死を遂げ、これが事故なのか殺人なのかわからないまま、通信手段も絶たれ疑心暗鬼になっていく…というストーリー。

この作品、本当に綿密に練られていてミステリーとしても完成度が高いです。最初の1文からラスト直前まで巧妙に伏線が張り巡らされているんです。はじめからぼんやりとした違和感があり、ところどころ登場人物の行動やセリフにミスリードされながら終盤へ。ここにきても被害者には殺されるべくして殺されたとわかる描写はあるのに、犯人の実態は見えてこない…。そして犯人が明かされてなお、ここからどうなるの~😱とハラハラしていると、最後の最後キレイにすべての伏線が回収される爽快感❗❗これが初のミステリーとは楠田さん恐るべし!

これだけ作り込まれたミステリーをしっかりBLに落とし込んでいるところがさらに素晴らしくて、しっかり萌えどころは押さえているんですよね💕正直、犯人の処遇についてモヤっとする部分はあるのですが、それを差し引いても読み応え十分!何度も読み返したくなる良質のミステリーBLでした!


『竜騎士は最愛を捧げる』

原作:佐竹笙 イラスト:八千代ハル /角川ルビー文庫(KADOKAWA)

ファンタジーは溺愛メロメロであって欲しい私の欲求を最大限に満たしてくれる甘々ストーリーにニヤニヤが止まりませんでした😚

◆あらすじ◆
竜を惹きつける匂いを持つために「竜殺し」と呼ばれる一族に生まれたリクは、病に倒れた母親を助けるために「竜狩り」に加担する。だが竜の傷つく姿を目の当たりにし罪悪感にかられたリクは、竜の国に助けを呼びに行くことを決め、そこで騎士団隊長のアルヴィンに出会う。母を看取れなかった後悔や孤独感から涙が溢れるリクに「自分を否定して、傷ついて泣くな」とアルヴィンは優しく受け止めてくれるが、アルヴィンに自身の出自を告白できないまま故郷に戻ることになり…?

この作品で初めて知った佐竹笙さん。これが2作目なんですね!しっかり作り込まれた世界観にびっくりしました。慌てて商業デビュー作も読みましたが、そちらもまぁ素晴らしく切なくて健気で感動的なお話でした。

竜殺しと呼ばれる特殊体質を持つユニノの民のリクと、誇り高き最強の竜騎士アルヴィン。本来ならばスパダリ攻めのはずなんですが、竜を惹きつける香りを放つ上、人慣れないせいでたどたどしくもド直球に好意を口にするリクに骨抜き状態のアルヴィンが可愛い💕せめて部下のいるところでは威厳を保とうと仏頂面を決め込むものの、天然リクが無自覚に煽ること煽ること😚八千代さんのイラストも相まってこちらまでデレデレしちゃいます😍隊長型なし💧ウブって最強!!!

前半は溺愛あまあまで進んでいくのですが、リクが竜殺しの一族であり、母を助けるためとは言え竜狩りに加担したことが明るみとなり、すれ違う二人。ここから竜とユニノ2つの種族の運命を巻き込みながら物語は壮大なラストを迎えます。

本質的にはオメガバースの系譜なんですが、テンポもよく、騎士様の言動がいちいち残念でクスっと笑えるので苦手な人でもきっと楽しく読めると思います!個人的にはいかつい騎士様がリクの匂いに当てられて、颯爽と処理して涼しい顔で戻ってくるシーンがお気に入りです(笑)


『ひとつ屋根の下、きみと幸せビストロごはん』

原作:淡路水 イラスト:白崎小夜 /ラルーナ文庫(三交社)

私、頑張る子(受け)が大好きなんです!!(2回目)

◆あらすじ◆
恋人に会うため上京してきたが、どうやら騙されていたことがわかり途方に暮れていた青年・芽。無一文で住むところもない、そんな茅をビストロHANAのイケメンシェフ・一虎は住み込みのバイトとして雇ってくれた。
銀座木挽町の路地裏――知る人ぞ知る本格フレンチの名店、HANA。謎めいた過去をもつ、無愛想だが根はやさしい一虎と人情味あふれる常連さんたちに支えられ、茅は見習いギャルソンとして生まれ変わっていき…。

ラブコメからシリアス、ファンタジーと幅広いジャンルの作品をコンスタントに発表している淡路水さん。ジャンルは違えど、登場人物を取り巻く環境心の機微の描写がいつも丁寧でわかりやすく、大人の純愛を時に切なく、時に優しく、時に笑いを交えながら描いてくれる大好きな作家さん。特に職業ものの考証が見事だなぁと常々感心しています。

舞台は路地裏にひっそり佇む小さなビストロ。音信不通の恋人を探しに北海道から身一つで上京した青年が、無愛想な雇われシェフ”一虎”と出会い、見習いとして働く中で新しい幸せと本当に大切な人を見つけるというストーリー。

私は頑張る受けが大好きなんです!(3回目)この豆柴ちゃんも不器用ながら本当に素直健気ないい子。ただ不憫なだけじゃなくて周りの人に感謝しながらひたむきに前を向こうと努力出来る子!はじめは一虎の作る美味しい料理に癒やされて、今自分に出来ることを精一杯頑張る。そして一虎と助け合って自分達の居場所を守ろうと奔走する。さらには自分自身の過去と決別するために…とその頑張りの意味や目的が変わっていく過程が様々な事件や出会いを通して丁寧に描かれることで、思わず応援したくなる!そんな愛しい子です💕

この作品、4章立てで構成されているのですが、キーとなる料理と絡めた各章のタイトルがとっても素敵なんです❗❗水さんのセンスが光る演出、さすがです👏まだラブラブとまではいかないかもですが、今後の番外編などでオニオングラタンスープのようにトロっトロに溶かされちゃう豆柴ちゃんを見せてくれると期待してます🎵

完全に余談ですが、淡路水さんの兄弟ものが同人誌時代から大好きなんですよ!!!商業誌でももっとあんな執着ドロドロ背徳感ヒャッハー!なお話が読めたら幸せです(笑) 



『ふわふわ花神様、炎の皇帝に娶られる』

原作:鹿嶋アクタ イラスト:kivvi /ショコラ文庫(心交社)

中華風主従花嫁敬語攻め無自覚天然誘い受けetc…私の好きが詰まった良質なファンタジー!

◆あらすじ◆
美しいが花を咲かせるくらいしか能がない名もなき神は、天界で沐浴中、全裸で現世に召喚された。喚んだのは炎帝国の皇帝・緋皇。戦神を喚びたかった緋皇は落胆したものの、何故か「妃になってください」と懇願してくる。彼の気概と精悍な姿が気に入った神は加護を与えるつもりで承知するが、男同士だし形ばかりの結婚だろうという予想を裏切り、緋皇は初夜の床で狂おしく神を求めてくる。童貞処女の神は困惑し逃げるが――。

鹿嶋アクタさんは、失礼ながらタイトルのラノベっぽさから初めはちょっと敬遠していた作家さんです(スイマセン💧)でも実際手にとってみると軽妙で読みやすい文章で描かれるストーリーは、絶妙にギャグとシリアスとエロのバランスが取れていてとても面白い!食わず嫌いは良くないなぁと思わされた今では大好きな作家さんです。

今作の主人公は突然現世に召喚されたポンコツ神様と、そんな神にひと目で魅了され一途に愛と従順を貫く皇帝・緋皇。鹿嶋さんお得意のファンタジーではありますが、受けはいつもの強気でけんか腰なイメージではなく、本当にふわふわと掴みどころがなく浮世離れ(神様だから当然ですが)した可愛いキャラなのが新鮮です。

狂おしいほどに求める攻めを煽るだけ煽ってお預け食らわせる気まぐれな花神様と、手酷い仕打ちを耐えて耐えて一途に慕い続ける緋皇。ツッコミ役の神使シエンもスパイスが効いていて、この関係性がとっても楽しい😆「生命あるものすべて愛でる」神様が如何にして緋皇ただ一人を愛するようになるか…これがこの物語のクライマックスに向けた大事な要素になっていきます。

私頑張る受けも大好きですが、待ての出来る犬も大好きです🐶寧ろ散々焦らされお預けされた後にお許しを頂いて、しつこくねちっこく舐め尽くす系エロを期待しての”待て”大好物です❗❗❗花神様も可愛くて好きですが、私は俄然敬語攻め様推しです!!

コミカルな掛け合いで進む前半と、軍神擁する敵国との闘いや花神様の真の力が描かれる中で徐々に重厚感が増していく後半。変わりつつある二人の関係。ラストは本当に感動的です!そして期待してた通りの”許されて暴走するエロ敬語攻め”最高…!ご馳走様でした😋


総合トップ10(続編・新装版含む)

『片想いの相手と駆け落ちしました』 海野幸/大橋キッカ
『海辺のリゾートで殺人を』 楠田雅紀/夏河シオリ
『竜騎士は最愛を捧げる 』 佐竹笙/八千代ハル
『ひとつ屋根の下、きみと幸せビストロごはん』 淡路水/白崎小夜 
 『ふわふわ花神様、炎の皇帝に娶られる』 鹿嶋アクタ/kivvi
『さよならのない国で』 高遠琉加/葛西リカコ
『パブリックスクール-ロンドンの蜜月-』 樋口美沙緒/yoco
『式神の名は、鬼』2・3 夜光花/笠井あゆみ
『竜王子の天翔ける花』 戸田環紀/小山田あみ
『刑事にキケンな横恋慕』 高月紅葉/小山田あみ


次回はマイベストBLコミック5選をUPする予定です!ありがとうございました👋

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