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セルフライナーノーツ / 【初音ミク】リッカとイヴと懐古の灯り


昨日「リッカとイヴと懐古の灯り」を投稿しました。

ご覧くださった方、コメントなど全部読んでいます。ありがとうございます。

雪ミクのCD収録の楽曲として書き上げた1曲。「雪と郷愁」というテーマから描いていった冬の唄です。


ここではnoteを使ってライナーノーツを書いていきたいのですが、今少し、一気に書く気力がなくて…。なので作曲編と歌詞編で分けていこうかなって思います。


今日(3/8)は作曲編から。


雪ミクコンピお話をいただいたときに「冬」という大きな要素ができあがっていたので、季節感からグロッケン(鉄琴)とスレイベル(クリスマスのシャンシャンという鈴の音)は使いたいなぁと考えていました。

使いたい楽器は一度置いておいて、その時、アイディアが枯渇していた時期だったので曲の構成どころかフレーズもリズムも取っ掛かりが何もなかったのですが、たまたま5年位前にワンコーラスだけ作られていた音源を見つけて聴いてみたら3拍子+4拍子で構成された7拍子のコードルーティンがあって「あぁ、これは面白いなぁ」って思って採用しました(イントロ、Aメロ、アウトロですね)。人間の耳は引き算する方が耳なじみが良い傾向があるので、4+3の7拍子なら聴きやすくしやすいのですが、3+4の7拍子は3拍子が基軸となり、かつ2周終えたら1拍余る(足す)という聴こえ方になるので少しエグみが出やすくどう料理するか楽しいところだったと記憶しています。(最終的に拍子をちょろまかすのですが)

コードはギターで考えていったのですが、何をどうしてこういう進行になったのかはいつものことながら過程を覚えていなくて。ただ、基本的には鍵盤的な思考回路で一番上の音と一番下の音について考えます(結果的に間も考えることになる)。テンションを考えるのと近いことだと思いますが、テンションをもう少しかみ砕いたような感覚です。これ以上踏み込むと沼。コードは考えるな。感じろ。ということにいたしましょう。

今回はドラム、ベース、ギターだけ録ってから(とはいってもドラムは打ち込み)冒頭のグロッケンなど他の楽器をどう盛り込んでいくかという流れで制作しました。メインのウワモノには「シンセ使うぞ!」と意気込んでいたのですが、理由があって「森」をイメージするサウンドにしていきたかったので「木」を感じられるストリングスで制作してしまいました。シンセは効果音的に散らばって入るのですが。

メロディーは毎度のことながらオケがすべて完成してから入れてます。ここも気づいたら出来上がっています。メロディーに関しては、直感で入れていってコードのあやで適さないところを帳尻合わせるくらいでファーストインプレッションが良いと感じたらそれをばーんと入れてしまいます。

こうやって出来上がっていきます。感覚を積み上げていくことなので、感覚的な話が多く、なんだかスピリチュアルなのですが…こんな感じです。

ポストロック、シューゲイザー、プログレ的な要素が出てしまうのはもう病気なので許してください。


作曲編はここまでにいたします。明日書けるかはわかりませんが、次回は歌詞編。また書きます。この記事に更新して書いていきますので、よろしければまたのぞいてみてくださいな。


3/19更新

随分時間が空いてしまいました。noteの中でも度々書いてはいるのですが、去年の秋から毎月のように高熱で寝込んでしまうことが多く、例によってまた熱に浮かされておりました。うーん…原因も分からずで…厳しい…。

歌詞編と題しまして綴っていこうと思います。

楽曲から連想される風景感に森と冬を感じたところから何となくこの曲は「微睡みの森は祈り溢れて」の延長線上に位置するような歌詞を書きたいと思いました。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm33010290

以下は動画を制作してくださったかかTさんに制作に関しての解釈をお送りする際に伝えたことを少し書き変えたものなのですが、新しく1から歌詞解釈を書くよりもずっと簡潔かなと思ったので載せておきます。

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微睡みの時は春から初夏、緑が覆い茂りだす季節、日が差せばそこが若草色に染まるような。そんな季節の話から季節を3つ越え、そこはそんな微睡みの森の冬。

アリスと呼ばれていた少女はまだ森の中にいます。「微睡みの森は祈り溢れて」で自分に対する葛藤の象徴が「影」であり、そして「微睡みの森」そのものでした。そして影という自分の葛藤を受け入れることでまだしがらみが残りつつも「生きていくわ!」というメッセージがありました。

でも、以前のような葛藤があるかといえばそうではなく。「リッカとイヴと懐古の灯り」ではワルツを踊るような軽快さもあるようです。

冬の森の中、遠くから聞こえる虚しい遠吠えはまるで葛藤にとらわれてばかりいた自分のようで、そんな遠吠えの主に対して「そんな弱くないんだから」と叱咤とも慰めともとれる言葉が出てきます。これも余裕がなかったころと違って、1つ俯瞰して自分を見ることができている証として綴りました。

葛藤を飲み込んで自分の弱さを受け入れた果て、つまり微睡みの森を受け入れること。そうして自分が存在していること。微睡みの森は実は女の子にとって帰る場所だった。

(「この手に取れない月(ひかり)が照らしてくれたこと」というのが月にフォーカスを当てているようで実はその月が照らす微睡みの森の描写だったりもします。)

心の帰る場所を知った冬。それ故の一番、印象に残したいところで「世界って冷たいくせに優しい」というメッセージを書きました。

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すごくあっけない言葉で書くならば「どこまでいってもまるっと自分は自分」ということだと思います。帰る場所も自分の中に持っているものなのだろうなぁ。と思ってこの言葉たちを綴りました。歌詞の感じ方はそれくらあっけらかんとしていていいと思っていますし、それでも知りたいという方は、上記の簡潔解釈文から「それは呪いのような「透き通る冬を射抜く月だ」と」という言葉の呪いじみた部分もわかってくるんじゃないかなと思います。

あまり書き過ぎると歌詞の旨みも消えそうなので解釈的な部分はこの辺で。

言葉そのものとしては個人的にはやっぱり冒頭の「気づけば落葉樹が冬を着込むような夜だった」という言葉はすごく発音数の何倍も雰囲気を作ってくれたと思っていて気に入っていますし、「きっと誰しもが春をもって生きるわけじゃないのよ」って言葉は言いたかったことそのものだとも思います。

昨年の半ばから割と、虚しい気持ちになったり少しばかり思うところもあったりします。

でも、少しでも自分の「らしさ」を示す曲を聴いてみていただけてよかったなって。心の底から思いました。

本当にありがとうございました。

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