読書感想:太宰治『女生徒』

 旅する喫茶さんの丸善コラボシリーズにあったので、図書館で借りてきました。
私にとって太宰治は芥川龍之介と並ぶトラウマ文豪です(苦笑)なぜならば、学生の頃に教科書で読んだときの印象がとにかく一文が長い、くどい、後味悪いという印象でまったく好きになれなかったので。
ただ、丸善のクリームソーダの色がとても美しいのでどんなシーンを表したのか興味があり、たまたま手に取った、くまおり純さんの描かれた女子学生のイラストに惹かれて角川文庫にしました。

 角川文庫は女性視点のお話を集めたのが面白くて、『女生徒』の他にも十三のお話がございます。
しかしまあ、主人公がみんながみんなネガティブなところから始まり、一喜一憂してぷつんと終わる。女って駄目ねとか、なになにはいやらしいとか潔癖な人ばかり。
一見すると地味で慎ましいのに、パッションが爆発するととんでもないことを口走ったりするので、太宰先生から見た女性の印象なのか、或いは女性という設定を着ているだけで太宰先生ご本人なのかしらとも思ったり…。『恥』に至っては今風に言うと、主人公が妄想と現実のギャップにひとりで大炎上してますしね(SNSにいそうだな…と思わせるあたりが妙にリアル)

 一方で、『女生徒』は女の子のとある一日を、一喜一憂しながらもいい子で生きようとする姿がいじらしくも感じました。昔、共通テストに一部が出た時はあんなに読みづらくて嫌だったのに、やはり全文で読むと印象が変わるものです。
あとは、映像か舞台で見てみたいのが『葉桜と魔笛』。姉と妹の虚実を小舞台か、30分くらいの短編ドラマとかで見てみたい。
というわけで、最後はまた印象に残った文を引用します。もう、ふたたび…いやいつかまた、お目にかかりましょう。この本と。

『女生徒』より。
「そうして、夕靄は、ピンク色(略)
美しく生きたいと思います。」

『葉桜と魔笛』より。
「姉さん、あたし知っているのよ。」

『貨幣』より。
「私が自身に幸福を感じたのは、この時でございました。」

引用元:角川文庫た1-2

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