『小説が書けない!』と思った時に読む記事

0.概要
 趣味で小説を書いていると、時折『小説が書けない!』と思うことがあります。この記事では『何故書けないと思うのか』という問題整理を行い、『どうすれば書けるようになるのか』という解決策を提案する記事です。
 ひとまずは未来の自分に、そして同じように趣味で小説を書いている方にとっての助けになれば幸いです。


1.自己紹介

 サイトロといいます。
『アイドルマスターミリオンライブ!』というコンテンツで同人誌を七年ほど書いています。最近では約40日で50,000字の小説同人誌『choose me, choose you!』を執筆しました。

 本作の執筆中に、度々『小説が書けない!』と思ったので、その時の自分を分析し、今後の助けにしようと思ったのが、本記事の動機です。

2.小説が、書けない!!!! と思ったら、まず落ち着いて確かめよう。

 書き始めが、上手くいかない!!!!!!!!
 情景描写が、綺麗に描けない!!!!!!!!
 心情表現が、正しく出来ない!!!!!!!!
 そう思ったら、まず落ち着きましょう。一度手を止めて、深呼吸しましょう。落ち着いたら、最初に二つのことを確かめましょう。

①体の調子が悪いかを確認する
②心の調子が悪いかを確認する

 書けないということは、書くための体・或いは書こうと思う心に原因があるかもしれません。寒暖差で調子が悪いとか、頭痛がするとか、筋肉痛とか、最初に体の調子を確かめましょう。それが治せるもの、軽減出来るものなら、対処してから原稿に臨みましょう。不調で進める一時間よりも、健康で進める三十分の方に意義があります。もしも対処出来ないほどに大きなものの場合は、潔く休むのも大事です。明日頑張ろうと考えるとプレッシャーを感じてしまうので、『今日は不調を直すための行動が出来た』と、とりあえず今の自分を肯定する方が良いように思います。
 体は大丈夫だったのなら、次は心です。原稿が終わるのか不安に思ってしまう、仕事で嫌なことを言われたのが忘れられない、何だかソワソワしてしまう……不調になる原因は色々あると思いますが、大事なのは『何が自分を不調にしているのか』を把握して、それが『今取り除けるもの』なのかを判断することです(これは体の方にも当てはまります)。取り除けるなら、多少時間を掛けてでもそうした方が良いです。それから原稿に挑みましょう。
 自分の場合、『書けない!』と思った時は大概この二つが原因でした。最初は『書けない! 困った!』と慌てるばかりでしたが、『焦っても仕方ないから、先ずは何が悪いのかを考えよう』と思えるようになってからは、落ち着いて対処出来るようになってきました。

3.体と心が大丈夫なら、原稿に問題がある。

 体と心に問題がなくても、原稿が書けない時はあります。ここからはそんな時の対処方を書いていきます。上から順番に試してほしい、というよりは、簡単なことを上から並べてみました。
③今書くべきことを箇条書きにする
『キャラAがライブ前に緊張している』『キャラBが登場、明るく声をかける』『BのアドバイスでAが立ち上がる』『Aがステージに向かう』といったように、書くべきことを端的に書いてみると、始まり方がイメージ出来たり、間を何で埋めれば良いか分かったりすると思います。
④適当に書いてみる
 全部消すつもりで、失敗するつもりで、とにかく頭に浮かんだことを書いてみても良いと思います。それの何がダメなのかが分かれば、どう改善すれば良いか、分かることもあります。正解のために、敢えて失敗しても良いと思います。100回失敗しても、1回正解を書ければそれで良いのですから。
⑤前のシーンを見直す
 前のシーンとのかみ合わせが悪くて書けないということもままあります。それまでに何を書いていたのかを把握し、より次のシーンに繋げやすい形に書き直すことも時には必要です。
⑥潔く削る
 前の項目とやや被りますが、時には今書くべきことのために、過去に書いたものを削らないといけない場合もあります。書いたものを削るのは心が痛みますが、大事なのは最後まで書き上げること。吟味を重ねて、削る必要がある時は思い切ってやりましょう(自分の場合、削った内容を保存しておくようにしています。こうしておくと、後で必要だったと思えた時に使えます……が、保存したものを使ったことは、今まで一度もありません。精神衛生のためにやっている節があります)。
⑦一旦他の作業をする
 文字ばかり見つめても解決しない時には一切しません。短時間で出来る作業や休憩を行って、気持ちをリセットしてみると、案外すらっと書けることもあります。ただし、他の作業に注力しすぎないよう、時間を区切ってやることが大事です。

4.それでもダメな時は……

 体と心は大丈夫、原稿も散々見直した。それでも書くことが出来ない……その時はもう、書くのやめちゃいましょう!!!! 一旦きっぱり諦めて、原稿以外の楽しいことをしてみたり、外に出掛けてみたりしましょう!!!! 或いは、その原稿を書くために準備した資料を見直したり、どうしてその話を書きたかったのかを思い出してみましょう。
 個人的には、『書く手が止まるのなら、いっそ別のことをした方が効率的』だと思っています。勿論、あれこれと頭を悩ませた末に出てくる文字がある、というのも分かりますし、そうすることもあります。ただ、『書けない!』と思った時、色々試してもダメだった時に、『離れる』という選択肢を持てるということ自体が、心の余裕を作り出してくれます。
『小説が書けない! でも書くしかない!』
『小説が書けない! だから一旦休んで気持ちを落ち着けよう』
 どちらが良い小説を書けるのか、それは実際やってみないと分かりません。ただ、落ち着いていて、視野が広いのは、後者の方ではないでしょうか。どちらの状態で原稿を書きたいのか、今書いている原稿はどんな状態で書くべきなのか。そう考えてから挑んでみても、遅くはないと思います。

5.終わりに

 これまで書き連ねてきたことは、『趣味で小説を書いてきた人間』の『経験則を言語化したもの』であるため、何かの理論や体系に基づいたものではありません。加えて、自分自身書いてきたことを実践出来ているかというと、時には『書けねぇ~~~~!』と声を出したり、無意味に踊ったり、『この原稿、終わらないんじゃないか……』と不安になりすぎてTwitterで助けを求めたりしています。そういう時だって、あっていいんです。
 ただ、そういう時が10回あったとして、たとえばその内1回でも改善出来れば儲けものです。或いは、書かれたことのうち1つでも自分の肌に合ったものあれば、後のことは忘れたっていいんです。
 大事なのは、問題が発生した時に、解決の選択肢を一つでも多く持てることです。多くの選択肢を持つことで、解決する確率を少しでも上げていければ、原稿をより早く、確実に書き上げることが出来るようになります。

 この記事は趣味で小説を書いている方に、そして未来の自分――これまで以上に難しい原稿に挑む予定の自分のために書きました。
 我々の『書けない!』という悩みが、少しでも解消されることを願っています。