『カワラナイモノ』から続く日々

『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn』両日公演が終わった。二日目にて、田中琴葉(CV;種田梨沙)/島原エレナ(CV:角元明日香)/所恵美(CV;藤井ゆきよ)の三者による『カワラナイモノ』が披露された。
 自分は、この三人を一つのユニット――トライスタービジョンというユニットとして、幾つかの小説を描いてきた。

 上記のリンクの通り、元々の歌唱メンバーではない三人だったので、イントロが鳴って、演者の名前が画面に出ても、なにもわからなかった。ただ、めのまえでおきていることが、2015年の夏、「トライスタービジョンの同人誌を作ろう!」と決めた時から、ずっとずっと、見たかったものなのだと、聞きたかった声なのだと、わかった途端に声を上げてしまった。現地でもLVでもなくてほんとうに良かった。それほどまでに感情を吐露し、号泣してしまっていた。
『カワラナイモノ』は、卒業という別れを契機とした思い出の振り返りと、これからの日々でも育んできたものは変わらないと、信じる歌である。
『輝く瞬間』から始めた田中琴葉・島原エレナ・所恵美の物語は、一つの時系列を持ち、最新作『falling dawn』にて、田中琴葉は大学受験を経験するまでに至った。時はこれからも進み、彼女たちを変えていく。
 その日々のどこかに、『カワラナイモノ』があってほしいと思う。

いつも心の真ん中 いろんな気持ちをくれる
出会えた奇跡に ありがとう
ずっと大人になっても一緒にいられますように

 いつかの彼女たちがこの曲を歌う。大人になった頃か、アイドルを辞める頃か、はたまた賑やかな日々の中か。時を重ねながらも、失われないものはあるんだと、心の真ん中にあるものを抱いてもいいのだと、教えてくれた。
 三人が歌っていた四角のステージは、観客が全体を囲んでいるから、センターが三つある。それぞれが観客へと向き合い、そして中央を向けば互いに見合うことも出来る。『カワラナイモノ』を歌うには、『カワラナイモノ』を互いに確かめ合うには、これ以上ない配置だったと思う。

何気ない思い出たちが また背中を押してくれた
もしもキミが迷ってるなら どうか思い出してみて

 ライブが終わった日々の中で、『カワラナイモノ』を口ずさむことがある。あの日まで聞くことのなかった――物語の中だけで聞こえていた――三人の声が、確かに胸の内から響いている。それだけのことで、涙が出そうになる。そんなふうに喜べることが、他にどれだけあるだろうか。
 この声が聞こえている間は――この喜びは変わらないんだと信じていられる間は、新しい物語に向かっていきたいと思う。今年に入ってから遅めのペースではあるものの、前に進んでいこうと思う。
『トラビのウワサ』を書きつつ、『星追い』を書きつつ、その先の、もう少し先の、一番最後に書く物語のことを思いつつ、『カワラナイモノ』から続く日々を、生きている。