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なぜ脊柱管狭窄症に陰部神経刺鍼が有効なのか?その2

体に影響を与える「刺激」にはありがたい刺激と、ありがたくない刺激があります。例えば、脊柱管狭窄症を引き起こす椎間板ヘルニア、変形した骨、肥厚した靭帯など、はありがたくありません。ありがたくないどころか非常に迷惑なものです。逆にこのありがたくない刺激を打ち消してくれる「鍼刺激」はありがたい刺激です。

脊柱管狭窄症とは、椎間板ヘルニア、骨の変形、横靭帯の肥厚などが刺激となり、下肢のしびれ、間欠性跛行などの症状を呈する疾患です。しかし脊柱管を狭窄させているこれらの刺激を取り除かなければ、症状が治まらないかといえば、必ずしもそうではありません。

椎間板ヘルニアは腰痛や坐骨神経痛などの要因ともなりますが、椎間板ヘルニアがあっても、腰痛も坐骨神経痛もない人は珍しくありません。

なぜ椎間板ヘルニアがあっても腰痛や坐骨神経痛がないのか?考えられることはおおよそ次の二つです。

①椎間板ヘルニアを回避するように神経が走行を変える          ②椎間板ヘルニアによる刺激に対して耐性ができる


①は結果として刺激が取り除かれたということで、そこに至るまでの過程に違いはあっても、手術したのと意味合いとしては同じです。

②は、神経が刺激を刺激として感じなくなったわけです。これは置き鍼はときどき貼り替えなければ効果がなくなるのと同様です。

置き鍼とは、体の局所(つぼ)に貼る、極短い(0.3~0.8ミリ程度)鍼のことです。例えば肩こりに対して、こっている部分にしばらくの間(数日)貼った(刺した)ままにします。

しばらくすると段々と鍼の効果が薄れてくるのは、貼りっぱなしにすると、刺激に体が慣れてしまい、刺激が刺激でなくなってしまうからです。ですから、置き鍼は、しばらく行ったら(貼ったら)しばらく休む(剥がす)、という使い方をしなければなりません。

このように良くも悪くも人の体は刺激に慣れてしまいます。しかし慣れるためには少なからず多からず時間がかかります。人によってはいつまでたっても慣れないこともあります。「脊柱管狭窄症における陰部神経刺鍼」とは、ありがたくない刺激があっても、その刺激に過剰に反応してしまわないようにして、かつ、そのための時間を短縮させようというものです。

読んでくれてありがとうございます。

ストレッチなど自分でできることは自分でやり、自分でできない鍼治療を受けるためには、鍼灸院に行きましょう。


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