見出し画像

妖怪を飼う私たち

触れないで
いやいやそっちこそ
だからこっちだって余裕がないんだって
あなたの隣、隙間あるじゃない、詰めなさいよ
だから、触れるなっていってるだろ
じゃあ押してくるなよ

必ずしも彼らに悪気があったわけではない
ただ、群として映ったそれらの様相は、まるで悪気の温床であった

お互い様であるはずなのに、
みんな妖怪になってしまう
どんなに群での生活に慣れ、それを時には
心の底から感嘆してしまう私たちであっても、
群でいることに大いに哀れむことがある

そこには、
睨みの妖怪、
ため息の妖怪、
カバン押しの妖怪、
腕組みの妖怪、
バンザイの妖怪



などなど、たくさんの妖怪を目撃できる

なんでこんなところに居るんだろ
みんな妖怪へ変身する前に、誰しもがそんなことを思っている

みんなの中に飼われている妖怪は、いつ退治されるのだろう
いい妖怪もいるが、これらは悪い妖怪だろう

教えてくれ、だれか
世界のどこかに妖怪のいない街はないのか
もし知っている者がいたら、
まず日本を訪れ、妖怪を目の当たりにし、
もしあなたのアドバイスを生かせると感じたならば、恐れず
教えてくれ

いつかこのままでは、
飼っていた妖怪に私たちそれぞれが知らぬ間に、
飲み込まれていってしまう

もうすでに警鐘はならされている


よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!