どうしてバンドを好きになったきっかけを知れるのがバンドメンバーが死んでからなのだろう
想像以上にダメージを受けている。
「赤い公園」の重鎮、ギター津野米咲さんの急死。報道では自殺と推測されているが、ほぼ確定らしい。
29歳という若さでなくなった。女性ということもあり、コロナ禍で生きづらさが浮き出てしまったのだろうか。
「赤い公園」というバンドはインストでも魅せれるパワフルな演奏力と、雑多なジャンルを混沌させた作曲能力でフェスに引っ張りだこのライブバンド。バンド界隈では知名度もある上に、同業ミュージシャンからも高い評価を得ていて実力も十二分、伸び代しかなかった。
私はもともと「tricot」という変拍子バンドが好きで、「赤い公園」とはガールズバンド仲間ということでお互いとても仲が良くよく、一緒にフェスを見て回ったり、しょっちゅう対バンしたり、もちろん私も「赤い公園」のライブは見たことある。
私の友達は「赤い公園」というバンドが好きだ。飲みに行けばはじめてライブに行った日のことや、送ったメールをラジオで読んでくれたのを嬉しそうに話したり、次はなんのライブ行く?なんて今じゃ考えられない話で盛り上がっていた
だけど、私は知らない。
彼ら彼女らは何がきっかけで「赤い公園」を好きになったのか。
「赤い公園」の何の曲を聴いて好きになったのか。
そういえば、聞こうともしなかった、一番大事な、好きになったきっかけを。
どうして他界してから、知らなかった個人的なたくさんの素敵なエピソードがわんさか出てくるのだろう。
あのときああしてくれたこと、あのとき話してくれたことを覚えている、なんて思い出すのだろう、話すのだろう。
彼女が生きてるときに、その話を聞きたかったし、聞けばよかった。
生きているとき、バンドが活動しているとき、新曲やライブの話しかしない。そりゃそうだ、生きているなら、バンドが活動しているなら、前進するしかないんだもの。
自身のバンド活動の他、SMAPやハロプロへの楽曲提供も行っていた、類まれなる才能が呆気なく摘まれてしまった。ただただ悔しい。
他のジャンルのオタクさんたちがね、特にバンドとはかけ離れたジャニーズやハロプロのようなアイドルのなかでも歴史ある最高峰のアイドルグループを応援するひとたちが「素敵な曲を作ってくれてありがとう」って言ってくれるのはね、音楽を繋ぐ架け橋を担ったということと、ジャンルは違えど音楽が好きだという事実を証明したんだよ、とても素晴らしいことなんだよ。
私たちファンは、リスナーは、音楽を生み出すミュージシャンに、苦しむ人に、命を絶とうとしているひとたちをどうやって止められただろうか、どうやって寄り添えるだろうか、何が出来るだろうか。
彼女の苦しみも、彼女のことは何も知らないのに、ただただ失ったことが悔しくて、彼女を失った今、彼女の遺した音楽を聴くこと以外、私は何もできない。
R.I.P
https://open.spotify.com/artist/5ztM0WRyJguGFiLusqTBKs?si=KDvMQZYkSBSj1v5itUURCw
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