見出し画像

【小説⑨】神さまと我が子のおしゃべり聞いちゃった。〜おかあさんが笑顔になる10の法則〜〈第三夜〉

第1話はこちら。


親の本当の役割。

神さま「子育ての何に悩んでおるんじゃ?」

きょきょさんは
質問するのに少し躊躇した。
しかし思い切って言葉を発した。

「結局親は子どもに何を教えたらいいのでしょうか?」

ドキドキした。
親がこんな質問していいのかと。

親として頼りないことを
自分で認めるような気がして。

でも次の神さまの言葉で
涙が溢れた。

神さま「ほっほっ。それでずっと悩んでいたんじゃな。よく言葉にした。頑張ったな」

親になったから今まで
ずっと切れなかった緊張の糸が
プツンと切れたような気がした。

神さま「親はもっと子育てのハードルを下げてええんじゃよ。

子育てはもっと頑張らなくてもええ。
子育てはいっぱいサボってもええ。
子育てはもっと楽しんでええ。
子育てはもっと自由でええ。
子育てはもっと笑顔が多くてええ。

みんないい子育てのハードルが高すぎる。
今日も無事ただ一日過ごせたらそれだけで
最高の子育てじゃ。

アナタはここまでも、素晴らしい子育てをしておるよ」

フッと体と心が軽くなった。
神さまはやっぱり魔法が使えるんだ。
すごいな。


幸せの土壌を耕す。

神さま「まずそれが大前提じゃ。その上で親がやることはな...

きょきょさん「親がやることは...?」

神さま「子どもの幸せの土壌を耕すだけじゃ」

幸せの土壌?

神さま「この世界に、“世界にひとつだけの花”という曲があるじゃろ。あの歌の通り、子どもたちは一人ひとり違う花を心に咲かす。

それはそれは自由に、それぞれオリジナルの花を子どもたちが自由に咲かせすんじゃ。

でもな、

多くの親は、“子どもを幸せにするのは親の役目”だと思い込んで、子どもの心に勝手に入り込んで、“私が立派な花を咲かせなくちゃ”と勘違いしておる。

でもそんなことしないで
親は花を咲かすための土壌作りだけすれば
親も子どもも笑顔になれるんじゃがな」

あ、そうかも。
勉強しないと幸せになれないと勝手に思って
無理やり勉強させたり、

いや、もっと昔からだ。

ご飯中歩き回ってるとき
このままだと将来こんなんじゃきっと困ると
叱って泣いてでも座らせた。

「抱っこ」と言われても
抱っこ癖がついたり、甘えん坊になると思って
泣いて言われても抱っこしなかった。

でもそれは
私が勝手にむむさんの心に入って
花を咲かそうしてたんだ。

神さま「それも愛情なんだが、お互い苦しくなることが多い。子どもは親の想像以上に立派な花を勝手に自由に咲かすんじゃ。

この数ヶ月でそれを感じたんじゃないかな?」

きょきょさん「あ、確かに」

むむさんが私の笑顔を願ってること。
神さまの話を一生懸命聞いてること。
聞いたあとしっかり実践していること。

むむさんはすごかった。
想像以上に成長していた。

すでに立派な花を咲かせようとしてる。

むむさんはちゃんと自分で
花を咲かせることができる。

そう信じることがこれから
私には必要なんだ。


子どもは親の鏡。

きょきょさん「すごく神さまの言ってること分かりました。私の役割は、むむさんを信じて見守ることだったんですね」

神さま「素晴らしい。それが一番難しいかもしれんが、アナタならきっと出来るよ」

きょきょさん「あとひとついいですか?」

神さま「幸せの土壌のことかな?」

きょきょさん「はい。幸せの土壌を耕すって具体的にどういうことなんでしょうか?」

親が花を咲かせようとしないということは
理解できた。

幸せの土壌ってなんなんだろう?

神さま「それはもうすでに教えてある。お母さん自身が幸せで笑顔であることじゃ」

あ、今までの授業...。

神さま「子どもは親にとって鏡じゃ。子どもの生き方は親の生き方に本当によく似る。

アメリカにそれを表す有名な詩がある」

黒板を出し、その詩を浮かび上がらせた。

批判ばかり受けて育った子は非難ばかりします

敵意に満ちたなかで育った子は誰とでも戦います

ひやかしを受けて育った子ははにかみ屋になります

ねたみを受けて育った子は、いつも悪いことをしているような気持ちになります

心が寛大な人のなかで育った子はがまん強くなります

子どもたちはこうして生き方を学びます

励ましを受けて育った子は自信を持ちます

ほめられるなかで育った子はいつも感謝することを知ります

公明正大ななかで育った子は正義心を持ちます

思いやりのあるなかで育った子は信仰心を持ちます

人に認めてもらえるなかで育った子は自分を大事にします

仲間の愛のなかで育った子は世界に愛をみつけます

「CHILDRENLEARN WHAT THEY LIVE」/ドロシー・ロー・ノルト


神さま「まさに鏡の法則じゃ。鏡の法則が一番強く働くのが親子関係じゃ。

ということは、アナタが幸せで、笑顔になれば
それが自然とむむくんの幸せの土壌となるんじゃ」

私が笑顔になったらむむさんは笑顔になる。
私が幸せだったらむむさんも幸せになる。

なんとも分かりやすい。

逆に私がいつも不安がってたら
むむさんも不安がるようになるし

人にイライラしていたら
むむさんもいつか人にイライラするようになる。

ということは
私たち親の役割は...



信頼。

きょきょさん「となると、もしかして私たち親の役割って...」

神さま「そうじゃ。これじゃ」

神さまはパッと
黒板の文字を変えた。

【親の本当の役割】
①自分自身を幸せにすること。
②子どもを信頼すること。

きょきょさん「たったこれだけ...」

神さま「そうじゃ。最初に言ったがみんな子育てのハードルを上げすぎておる。それも先月言った荷物の話じゃな。そんな荷物下ろしてええ。やることはこれだけでええんじゃ」


子育てって、
むむさんの将来のことを考えて
いろいろ準備することだと思ってた。

神さま「自分自身を幸せにする方法は今まで伝えてきた。それを実践して、子どもの幸せよ土壌を整える。

あとは、子どもが自分自身で、幸せの花を咲かすことを信じるだけじゃ」

きょきょさんは一気に
子育てがシンプルに感じられた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?