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ストーリーテラー脳の上で上手に踊る

毎朝、自宅近くの神社で手を合わせる。
これだけで生きやすくなるかもしれない。

脳はストーリーテラーだ。何か情報を仕入れると、もっともらしいストーリーをつくりあげ、私という主体を納得させてくる。
情報の質や量はどうでもいい。

リンダは31歳の独身女性。外交的で大変聡明である。専攻は哲学だった。学生時代には、差別や社会正義の問題に強い関心を持っていた。また、反核運動に参加したこともある。

リンダは、次のうち、どちらの可能性が高いと思いますか?
1)リンダは銀行員である。
2)リンダは銀行員で、フェミニスト運動の活動家でもある。

ファスト&スロー(上) ダニエル・カーネマン (著)
より

私たちの脳は直感的に2番を選択する傾向にある。
確率論的には、1番を選ぶのが正しいのにも関わらずだ。
(「銀行員かつフェミニスト運動家」である確率よりも「銀行員」である確率のほうが高い。)
しかし、正解がわかっていても2番のほうが魅力的に見えてしまう。

このように、皿の上に情報が載っているとき、脳はもっともらしいシナリオを頭に浮かべてくる。ここで、このストーリーテラー脳を逆手にとって、自分を生きやすくする方法は無いか考えた。

毎朝、自宅近くの神社で手を合わせる。 これによって、運というものに対して自分の努力のおかげだと勘違いできるのではないか。
明らかに運で良いことが起こった時でも、脳は「毎朝、自宅近くの神社で手を合わせている」という情報を因果関係として物語を成り立たせる。 毎朝かかさず手を合わせていたおかげで良いことが起こったのだ。この結果は自分のおかげなのだと。
このように、神社で手を合わせることにより、運による恩恵を自分の努力の成果と捉えることができる。良いことが起こると、脳は手を合わせる行為と因果関係を結びつけ、自分の行動が良い結果をもたらしたと考える。これにより、自己肯定感が高まる。
また、悪いことが起こった場合でも、脳は手を合わせる人間に悪い結果が続くはずがないという物語を作り出す。これにより、落ち込みにくくなる。

以上の心理的ハックは、意識的に運や不運と神社が関係ないと思っていても機能する。ストーリーテラー脳は、意志とは無関係に物語を創造する。

与えられた脳の上で、うまく生きていきたい。

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