思い付きSS BAD/HAPPY分岐あり

自分に見合わない美青年から熱烈な告白を受けて、からかわれてたり罰ゲームだったりするのかなぁ、って最初は警戒して断ってたけど、
何回も何回も当たって砕けてくる美青年に折れて付き合うことになって、でもやっぱり不安なこともあって、いつ振られても良いっていう気でつきあってた。
けど、半年経っても一年経っても、美青年の愛情は変わらなくて、反対にぐずぐずに融かされて、美青年がいないと生きていけないぐらい、心も体もベッタリ惚れてしまった平凡な青年。
その平凡な青年は、抑えきれずに自分から初めて「好きだ」と想いを伝えてしまう。
美青年は涙を零すぐらい喜んで、これ以上ないぐらい喜んで、平凡な青年を抱きしめた。「俺も愛してるよ」と美青年は微笑む。二人は同棲を始めて、幸せの絶頂へ。

平凡な青年の誕生日、美青年は言う。
たまには外で待ち合わせして、恋人気分を味わおう、と。
2つ返事で答えた平凡な青年は、美青年よりも先に部屋を出る。

「じゃあ、先行くね。また後で」

待ち合わせ時間ぴったりに待ち合わせ場所に立つ平凡な青年。待てども待てども美青年は来ない。事故にでもあったのかと心配し、何度も電話を掛けるが、電源が入っていない。
遅れたことのない彼。忘れ物でもしたのかもしれない。例えようのない不安を感じながら平凡な青年は急いで自宅に帰った。

鍵を開け扉を開く。部屋を間違えた?平凡な青年は愕然とした。そこにはゴミひとつ落ちていない空間が広がっていた。

どうしてどうしてどうして?

頭の中は混乱し、その言葉で埋め尽くされる。膝から力が抜け、崩れ落ちた。
何分何十分、呆然としていたのか。
その平凡な青年の肩を誰かが叩いた。

※分岐

BAD

「一緒に来てもらおうか」

平凡な青年は引きずられるように連れて行かれる。
着いた先で聞かされたのは借金の額。平凡な青年の貯金は底を突き、物は全て売り払われていた。
「さぁ、おまえには何をしてもらおうか」
平凡な青年の幸せな日々はそこで終わりを告げた。


HAPPY

「おいで」
それは美青年だった。放心状態の平凡な青年は彼に手を取られ引かれるままについていく。
車の助手席に乗せられ、無言のままに街中を駆け抜ける。着いたのは、どこかのマンションの地下駐車場。エレベーターに乗り、手を繋いだままフロアに足を踏み入れた。
一番近いドアの鍵穴に美青年は鍵を挿し込んだ。

「さぁ、入って」

背中を柔らかく押され、平凡な青年は前に進む。そこには暖かい光がたった。
廊下を抜け、リビングへの扉を開ける。
途端に目に入ってくるちょっとした飾り付けとテーブルに並べられたご馳走。
平凡な青年はただただ美青年を振り返った。そして、ゆっくりと首を傾げた。何が起きたかわからないという表情をして。

「お誕生日おめでとう」

美青年が優しく目を細めて言えば、平凡な青年の目尻からホロリ、と雫がこぼれ落ちた。
それを皮切りに、平凡な青年は顔をクシャッとして声をあげて泣き始めた。

「…こんなの…っ」
「ごめん。ちょっと張り切りすぎたみたいだ…。不安にさせちゃったね」
もう一度ごめんね、と美青年は平凡な青年を胸に引き寄せ、力いっぱい抱きしめた。
「愛してる」
そこは共に過ごすための新居。そう聞かされ、平凡な青年はまた涙を流した。
「君のかわいい喘ぎ声を隣の住人に聞かせたくなくて防音設備つきにしたんだよ」

と美青年はウインクし、そっと平凡な青年の額にキスを落とした。平凡な青年の顔はみるみるうちに赤くなり、その顔を隠すように胸に埋めた。

END

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