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初めてのゲムマ出展で、100万円売り上げた話〜ざっくり編〜

初めまして、大納言製作所にてゲームデザイナーをやっているヲクヤマと言います。

なんの気なしにつぶやいた↑のツイートがかなりの反響をいただいたので、(ほんとうは自分の記録用も兼ねてこそっと書くつもりだったんですが…)今後誰かの助けになることを願って、ぼくの所属する大納言製作所が何をしてきたか、つらつらと書いていこうと思います。

はじめに

まず言っておきたいのは、初出展でここまでの売上を達成できたのは、ぼく一人の力ではなく、他のメンバーをはじめ、協力して頂いた皆さんのおかげであるということ。

だから、ぼくが書いていることがすべてじゃないし、ぼくの知らないところで行われていた何かが功を奏している可能性だってもちろんある。

その上でぼく自身が今回のゲムマを通して感じたこと、考えたことをまとめていきます。

売上の内訳

結果はこんな感じでした。

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作品ごとに見ていくと、新作のHerbariumは243個、準新作のPASAは50個、同じく準新作のペルタは51個。   注目頂いていたこともあり、Herbariumが売上のおよそ80%をしめる結果となりました。

曜日ごとに見ていくと、土曜日は¥719,000、日曜日は¥384,000。日曜日の売上は土曜日の約半分ですね。

合計売上は¥1,103,000で、2日間通しての客単価はおよそ¥4,000でした。

ビギナーズラックにしては出来過ぎだと思うので、売上を伸ばすために行ってきたいくつかのことを紹介していきたいと思います。

SNSの活用

どんな商品を買うにしても、その商品自体やメーカーを知らなければ当然購入にはいきつきませんよね。そこでぼくたちはSNS(主にTwitter)での活動を活発に行いました。

・自発フォロー

 発信した内容が届く範囲に人がいなければ意味がありません。まずはフォロワーを増やす必要があったので自発フォローを行いました。これ、かなり嫌がる人も多いと思うんですが、「嫌われたらしょうがない」と割り切って、ゲムマ関連やボドゲ関連でつぶやいてる人を片っ端からフォローしまくりました。(フォロー返してくれた皆さん、本当にありがとうございました、、)

また、フォローされた側は「誰ぞ?」となってプロフィールを見にきてくれるので、その時々で自分たちの魅力が伝わるツイートを固定していました。

・RTキャンペーンの実施

 春ゲムマ開催の2ヶ月ほど前にフォロー&リツイートキャンペーンを行いました。結果的に春ゲムマは無くなってしまいましたが、これのおかげで100人以上フォロワーが増えたことを考えると、やってよかったです。

「リツイート」「プレゼント」「キャンペーン」の単語だけで反応してくれる方もたくさんいて、ありがたいことに100以上のRTを頂きました。反省点としては、リプライなどで詳しいルールがすぐわかるような環境を作るべきだったと思います。

・可能な限り毎日ツイートする

 "単純接触効果"というものがあります。これは高い頻度で見かけるものに対して人は無意識的に好印象を抱きやすくなる、というものなんですが、その効果を最大限引き出すために、ゲムマが近くなったタイミングから可能な限り毎日ツイートするようにしました。(1週間くらいツイートできない時もありましたが…)

・その他

 SNS上で開催された #ゲムマ新作トーナメント に参加したり、盟友デバッグモンキーズさんのラジオに出演させて頂いたり、YouTuberの方にコンタクトをとってご紹介頂いたり、Herbarium関連のツイートをリツイートしたり、定期的に商品の魅力を伝えたり…キリがありませんが、特にゲムマ開催の2週間前からはなるたけ話題を絶やさないように、注目が集まるように、期待を抱いてもらえるように動きました。

感想ツイートのリツイートは反応が良く、後述のクラウドファンディングのリターンをゲムマ直前の週末にお届けできたことが大きかったと思います。 

ちなみに、ゲムマ直前のツイートで一番ファボが多かったのはこのツイートでした。(大納言製作所公式ではなく、メンバー垢ですが)

クラウドファンディング

秋ゲムマでの大きな勝因の一つは、間違いなくこのクラファンだと思ってます。

今年の8〜9月にかけて行ったんですが、ありがたいことに84名、¥714,000ものご支援を頂きました。(ご支援いただいた皆様、改めてありがとうございますm(_ _)m)

プロジェクトをローンチする前に、他のボドゲ系のクラファンをいくつかリサーチしたんですが、成功しているプロジェクトの多くに共通しているのは「ビジュアルがしっかりしていること」「SNSで拡散されていること」「支援したくなること」だったんです。

・ビジュアルの洗練

本来、クラファンはビジュアルにこだわる余裕が無いひとが自分のアイデアを形にすべく資金を集めるための場所だと思うんですが、ことボドゲシーンにおいては「気になる作品を、誰よりも早く手に入れることができ、かつ製作者を応援できるツール」として機能しているように思います。つまり、支援の動機として「応援」より先に「遊んでみたい」が先にきてる人が多い印象。

なのでビジュアルにはこだわり、少しでも興味を持ってもらえるようにしました。今回アートワークを担当頂いたのは別府さいさんという、この業界ではかなりご高名な方(東京行くよってツイートするだけで200ファボくらいいく人)なんですが、今回のゲムマ通しての成功はひとえに別府さんのおかげと言っても過言では無いくらい助けて頂きました。

ちなみに参考にしたのは下記のプロジェクト。こちらも別府さんが関わっていらっしゃるプロジェクトだったので、イメージの共有がしやすかったです。

・支援したくなるプロジェクトづくり

いくらビジュアルで興味をそそっても「応援したい」と思える部分が1ミリも無ければ支援には至らないはずです。そこで「通常より安く買えます!」とか「限定のコンポーネントがつきます!」とか「誰よりも早く遊べます!」とか、この辺がいわゆる正攻法になってくるとは思うんですが、それ以上に大切なのはプロジェクトを立ち上げた理由と今後の展望をしっかりと伝えることだと思っています。

ぼくたちの場合は初出展予定だったゲムマ春2020が開催中止となり、思うように資金繰りできない中でもクオリティを落とさずにボドゲの制作がしたい、というのが第一目的でした。

しかし、業界全体が大打撃をくらっているのは火を見るより明らか。ぼくたちも貢献できないかと考え、「ボドゲへの認知度を高めること」と、「新しい層に向けてアプローチすること」を第二、第三目的として加えました。

自分たちが何のために資金を集めるのか、またそれによって支援者にはどんな未来が待っているのか、を伝えられたからこそ357%の達成率に至ったんじゃないかと考えています。

・目標額の設定

目標額は20万円に設定したんですが、実はこれ、達成しても大赤字なんです。(ページ内、「資金の使い道」というところにも書いてあります)

にも関わらず20万円を目標額に設定したのは、とにかくソッコーで100%を迎えたかったからです。何故なら、100%に到達していないプロジェクトはそれだけで「支援者が少ない」=「商品としての魅力が薄い」という悪印象を抱かせかねないので(もちろんプロジェクト内容によりますが)。とは言え¥100,000だと、そもそも額として少なすぎるような気がしたので、最悪自分たちでも工面できる最大額の20万円としました。

・総括

以上のような取り組みにより、クラファンは大成功を迎えることができました。また、クラファンの成功のおかげでゲムマの前評判が上がったり、ゲムマ直前の土日にリターンが届いた支援者の方々がツイートしてくれたおかげで生の感想を届ける機会にも恵まれたので、やって良かったです。

客単価を上げる

・商品価格を上げる

今回の新作Herbariumは¥3,500で販売しています。周りのサークルと比べるとやや高めかと思いますが、「まじかる☆ベーカリー 今日から財閥っ!!」が同じようなサイズ感で¥3,500だったので、価値を見出してさえくれれば買ってもらえるだろうと思い、この価格設定にしました。

(そもそも同人サークルの作るボードゲームの価格は良心的過ぎると考えていたので、僕の中では適正価格でした。)

ちなみにHerbariumは500個製造して原価率は59%、つまり製造に100万円近くかかっています。

・同時購入キャンペーン

キャンペーン_アートボード 1

今回のゲムマ、目標の売上金額は¥600,000だったんですが、それを達成するには新作だけでも150個以上売らなければいけない。今までよりも参加者が少ない今回に、これだけの個数を販売するのはめちゃくちゃ大変だと思ったんです。そこで、準新作の2作品と一緒に買ってもらう積極的な理由を作ろうと考えた結果がこのキャンペーンです。

今回のゲムマではこれが刺さったように思います。売り子をやってくれた友達がめちゃくちゃセールス上手だったのもあり、Herbarium購入者の30%ほどがキャンペーンを利用して購入してくださいました。ありがてぇ、、。

予約者を増やす

僕のゲムマに関する多くの戦略はこちらの記事から着想を得ています。

予約者数に関してもそうで、ゲムマ当日は予約数の約3倍商品が売れるというデータを上のnoteで示されていて。なればこそ予約数は多いに越したことは無いと思いました。

宣伝を重ね、最終的な予約数は80ほど(実際に受け取りにこられたのは70人ちょっと)でした。ほとんどの方が土曜日の午前受け取りだったんですが、そのおかげでブースの前に人だかりができ、道ゆく人も興味を持ってくれる方が多かったです。

反省点としては、これほどまでに反響を頂けると思っておらず、人だかりによって通行人の妨げになってしまった可能性があること。次回は予約数に応じて列整理スタッフを増員して臨みたいと思います。

ブースの位置

今回、ぼくたちのブースは「テ11」でした。

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ここ、実は大通り沿いの角地にあたる部分で、人通りがかなり多いんです。

ただ単に運が良かった、で済ませてしまえばそれまでなんですが、クラファンでの成功やSNSで見かける頻度、ゲムマECやその他通販での売上などから、運営の方々の期待を頂けたのかなと思っています。

ただ、こればっかりは自分たちではどうしようも無い部分なので、次回以降もし人通りの少ない場所になったらそれに応じて戦略を立てる必要がありますね。(それはそれで燃えますが)

ゲームマーケット考察

以上、ざっくりですが、ゲムマに向けて大納言製作所が行ってきた施策を書いてきました!しかし、自分たちの臨み方とは別に、ゲームマーケット自体のあり方も、今回の売上に深く関係していると考えています。つまり、withコロナにおけるゲームマーケットのあり方と、サークルとしての動き方。

いままでと今回のゲムマで違うところは何箇所でもありますが、一番の違いは試遊ブースの有無です。その場で遊んで購入を決めることができなくなってしまったので、当然購入する側のハードルは別の方向にシフトします。

「面白いから買う」ができないのであれば、他にある選択肢としては「ビジュアルが好みだから買う」/「SNSでよく見るから買う」/「買う人が多いから買う」/「賞を受賞していたから買う」あたりでしょうか。でもこれ、実を言うと全部同じことを言っているんです。つまり、「自分が面白いと思える期待値が高いから買う」ということ。

大勢並んでるラーメン屋を見かけたら、「さぞかし美味いんだろうなぁ」と思いますよね。今回のゲムマはラーメンの試食ができないラーメン博のような環境でした。美味いラーメンを探す時に頼りになるのはメニューに載ってるラーメンの見た目だったり、SNSでの評判だったり、食べログの評価だったり、ラーメンアワードの受賞歴だったり、並ぶ人の多さだったりするわけです。

だからこそHerbariumはこれほどまでに買ってもらえたし、「遊んでもらえれば楽しさが分かる」はずのボードゲームたちが日の目を見なかったんだと考えています。

恐らく今後もしばらくは試遊卓無しの形式でゲームマーケットは開催されていくでしょう。今回思うような結果を出せず、次回以降の出展を悩んでいるサークルもたくさんあると思います。僕たちも今回は運良く良い結果が残せましたが次回以降も成功するとは限りません。でも今回の成功には必ず理由があるはずなので、この記事が少しでも皆さんの助けになれば嬉しいです。(たぶん僕もこの記事を見返して助けてもらうと思います)

今後の展望

ここまでそれらしいことを言ってきましたが、まだまだ僕も分からないことだらけです。でも、この業界に大いなる可能性と魅力を感じているので、なんとか食らいついていきたいと思っています。

とりあえず、まずはHerbariumを500個売り切れるよう頑張ります。あと、来年に大河ドラマとのタイアップボードゲームを出版予定なので、そちらも頑張っていきたいと思います。間に合えば大阪ゲムマでお目見えできるかと。

これからも時世を見据えつつボードゲーム文化が発展できるよう、みなさまに"いとをかし"をお届けできるよう、精進してまいりますので、今後とも大納言製作所をよろしくお願いします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


…あ、そうそう。

Herbariumの通販が今日から始まりました!

もし良かったら、自信作なので買ってもらえたら嬉しいです。

では、また!

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