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2杯目 名古屋にいてもやること変わらない人たち

今日も、お酒にまつわるくだらないけど愛しいよもやま話をぽつりぽつりと書いていきます。
今日は、ボンベイサファイアの話。

時どき思い出して会いたくなる友だちっていませんか?
定期的に会うわけではないけれど、こころのどこかにいてくれて、ふとした時に思い出す、そんな友だち。

タイトルにある名古屋で、会うことになったSちゃんは高校の友だちです。
Sちゃんは隣町の中学校で、バレー部の練習試合や大会で対戦していたので、知ってはいたのですが、中学生の当時は話すことはありませんでした。
同じ高校の同じクラスになって、お互いに「あっ!」となり、結局3年間一緒のクラス。
大学生になっても時々仲のよいメンバーで一緒に飲んだり、お互いのアパートに泊まったりしていました。

Sちゃんという人は、ほんとうに素敵な人なのです。
まずは見た目。
出会った時から変わらず、腰までのロングヘア。
校則違反のピアス。
通学の時には親指にゴツいシルバーリング。(怒られるのは面倒だから学校では外してる)
切長の目のクールビューティーで彼女の周りはなんだか涼しい空気が漂ってる。
でも、友情には熱いし、すきなことはとことんハマっていく。
やるとなったらとにかく徹底的なのです。
そういうギャップやぶれない芯の強さもたまらない。
高校はバイト禁止だったのですが、密かに寿司屋でバイトをしていたようです。
べつに反抗したいわけではなく、サラッと自分のやりたいことをやっている彼女は、見ていてなんだか爽快でした。

こんなことがありました。
同じく高校のなかよしの友だちがキャンプウエディングをするということで、
Sちゃんを含む仲のよい4人で、山深い、沢が流れるキャンプ場におよばれしました。
Sちゃん以外の3人は先に待ち合わせることができました。
ウエディングとはいえキャンプ場の足場が悪いところだったので、全員スニーカーにパンツにといったラフな格好。
しばらくすると、Sちゃんからも到着したとメールが入り、来るのを待っていると、会場が少しどよめきました。
道路から、沢のキャンプ場までは急な階段を降りてこないといけないのですが、相変わらずのロングヘアをなびかせて、ミニスカートとヒールで降りてくるSちゃん。
その場にいる人の多くがSちゃんに目を奪われたのです。
「さすが!ねえさま!(Sちゃんの呼び名)期待を裏切らないわ!」と、仲間うちは大ウケでしたが、内心「ぶれないSちゃんかっこいい!」と、思わず感嘆のため息を漏らすのでした。

そんなSちゃんも、結婚して遠くに引っ越してしまうのですが、ひょんなことから久しぶりに会うことになりました。
待ち合わせは名古屋。
夜行バスでの0泊2日の旅。

ひんやりとした空気と、初めて名古屋に降り立った興奮が混じり合う、朝の5時半。
待ち合わせまでしばらくあるので、デニーズでモーニングを食べ、銭湯でバキバキになったからだを癒し、お土産に買った名古屋名物をロッカーにしまい、あてもなくデパートをふらつきました。
それでも時間があったのでスタバでコーヒーを飲んでSちゃんを待ちました。

「着いたよ」
待っていたメールが入ります。
名鉄の駅の近くで待ち合わせ。
向こうからぜんっぜん変わらないSちゃんが歩いてくる。
一発で見つけることができました。
少し変わったところはさらに伸びた髪と、甘い憂いをおびた表情。
会っていない間に重ねた年月が、Sちゃんを確実に色っぽくしていました。(もともと色っぽい子なんだけどね)

お昼も近かったので、近くのランチもやってる居酒屋に入ります。
せっかくだからと、手羽先やひつまぶしなども頼んでみますが、そこは居酒屋メニューだから「まぁこんなもんかな」って感じのクオリティ。
ランチの時間いっぱいまで居て、店を後にしました。

2軒目。
名古屋に来たからといって、観光しようという気持ちがあまりないわたしたち。
Sちゃんもそれほど名古屋に詳しいわけでも無いよう。
とにかく落ち着けるところを探して、その辺にあった「HUB 」に吸い込まれるように入っていきました。
「ほんとによかった?HUB なんてどこにでもあるよ?」と気を遣ってくれたけど、名古屋に来てまでもどこにでもあるお店に入っちゃうわたしたちがおかしかったし、何よりSちゃんとお喋りしたかったので「ここがいい!」と返事しました。

そこで飲んだのが、ボンベイサファイヤだったのでした。
帰りの夜行バスまではずいぶん時間があったから、ビールやハイボールではあっという間に飲みほしてしまうんですよね。
喋りながらちびちび飲むなら、ジンのロックがちょうどいい。
舌や喉を刺すアルコールの刺激と、見たこともないどこかの遠い異国を感じさせる強烈な香りが、氷がとけていくのにしたがってふわっとやさしい飲み心地に変わっていく。(この頃にはだいぶとけてますね)
それは、会っていなかった時間がゆっくりと解けて、また以前のようななんでもないやりとりに戻っていくわたしたちみたい。
お酒がすきなSちゃんも、アブサンというお酒を飲んでたのしんでいました。
そういえば、いつも友だちと一緒にということが多かったから、2人だけで話すってあまりなかったかも。
初めは最近どうしてる?とか、高校の思い出話だったのが、徐々にわたしたちが出会う以前の話に遡っていく。

詳しくは書けないけれど、子ども時代って守られている一方で、大人の都合に振り回されて不自由というか…けっこう生きづらいところありますよね。
なんで?って疑問を大人に突きつけると、一方的に抑え込まれる。
だからこころはかたく閉ざされていってしまう。
話していると、わたしも、Sちゃんも、そんな悲しさ、怒り、諦めを抱えて子ども時代を送っていたことがわかります。
わたしたちの間で、それをはっきりと言語化することはないし、お互いに「大変だったよね」ってこころの中でなぐさめあうだけ。
でも、かたくかたく凍りついていたこころが、全部ではないにしてもゆっくりととけていくのを感じました。
これはわたしたちが、少しは大人になれたからできたことなんじゃないかな。

この後わたしたちは、またまたどこにでもある鳥貴族へ行きました。
ほんと、どこにいてもやることは変わらない。
さすがに名古屋に来たのに名古屋名物を食べずに帰すのはまずいと思ったSちゃんが、閉店間際の味噌煮込みうどん屋に連れて行ってくれて、最後に一杯の味噌煮込みうどんを一緒にすすり、お互いの家路につくのでした。


いつか名古屋名物をちゃんと食べようと思います!


今回のお話に出てきた、ボンベイサファイヤ

Sちゃんが飲んでいたアブサン


名古屋でなくてもあります。


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