かがやき🌟🚅ツアー（顔面蒼白編）

10月に金沢〜佐久を旅行した、かがやき🌟🚅ツアーの記事を書いてからしばらく経ってしまいました。
これまでの記事はこちら。

《ここからつづきです》

わたしはその朝、顔面蒼白で何件も電話をかけまくっていた。
致命的なミスをおかしてしまった。

「すみません、今日佐久平でレンタカーを1台借りたいのですけれど、、、無理そうですかね、、、」

そう、レンタカーの手配を忘れたのだ。
これから、佐久の宿に1泊して、明日は“とうめい“というところで“えみおわす“のお洋服の展示会を見にいく予定だった。
宿も、とうめいも、レンタカーがないと大変不便なところにある。
いや、行けないわけでもないけれど、タクシー代で往復１万以上かかってしまう。
絶対出せない金額ではないかもしれない。でも、タクシー代を出したら、たのしみにしていた服の展示会に行っても、服を買うことはできないだろう。
それでは本末転倒だ。
宿がある集落へのバスも調べたけれども、なんと土日休み！今日は走ってない！

おそるおそる宿にも電話をかけてみた。
「すみません、これから大変無理なお願いをするのですけれども、佐久平の駅まで迎えにきていただくことはできますでしょうか、、、」
『いや〜、、、難しいですね。望月までバスで来てくれればなんとかなるんですけど、、、』
「それが調べてみたら、バスは土日しかやっていないようです。明日イベントの方に行きたくて、また移動をしないといけないので、行ったところで、足がないと難しいんですよね、、、」
『そうですか、、、こちらもちょっと調べてみます。また電話をします。』

そんなやりとりをした。
その後も、なんとかたどり着く方法はないか調べてみたが、無理そうだった。タクシーでどうにかこうにか宿に辿り着いたらなんとかなるかもとは思ったけれど、いろんな人を巻き込んでご迷惑をかけてしまうだろうなあ。

しばらく何も考えられなくて、ぼーっとしてしまった。。。

でも、ずっとぼーっとしてはいられない。新幹線の時間だって徐々に迫ってきている。
これだけはしたくなかったけど・・・当日キャンセルという苦渋の選択をした。
この日のために、お部屋を準備して、食材を用意してくれたであろう宿の方には、ほんとうに申し訳ない。
キャンセル料という“お金“だけで済まされるような単純なことではないのは重々承知なのだけれど、もう致し方なかった。

宿に連絡を入れて、どうにも手段が見つからず当日キャンセルをすることを伝えた。
電話は、音声だけでなく、おたがいの超絶残念な気持ちも一緒に電波に乗せていた。
なんて残酷な時間なのだろう。

それから、こんな気持ちもわいてきた。
きっと、今ちゃんと働いていない自分にとっては、宿に泊まって、お洋服を買ってというのは、背伸びしすぎたんだ。
きっと、自分の身の丈にあったように調整されたんだ。
そう思うことで、なんとか自分をなだめて諦めをつけた。

そんなことをしていたら、もう結構な時間になっていた。
残念な気持ちを引きずっている暇はない。それくらい、時間が差し迫っていた。
ひえ〜！！！
ゲストハウスのオーナーさんに教えてもらった、金沢のおすすめスポットを散歩しないと！
パン屋さんの美味しそうなモーニングを堪能しないと！
このまま、佐久平を通過して家に帰るのなら、せめて金沢だけでもたのしまないと！
ただでさえ歩くのが速いわたしが、もっと速足になっていた。

パン屋さんのモーニングは、ものすごい行列ができていた。
せめてパンだけでも買って、どこかで食べようかとも思ったけれど、パンを購入だけの人も行列に並ばないと行けないらしく、時間が迫っていたわたしは諦めて速足で通り過ぎて行った。

それから、オーナーさんおすすめの、武家屋敷エリアに行ってみた。
リサイタルを観に行くためにホールまで歩いていた時は、現代的なビルばかりでわたしの思い描いていた金沢の街とはだいぶかけ離れていたけれど、武家屋敷のエリアで、やっとやっと思い描いていた金沢の街をみることができた！
水路が流れ、昔ながらの建物が並ぶ街。
金沢って、水の街なんだなって思った。

水音と、伝統的な建物と。すごくすてきでした！

古いお屋敷を店舗にしているカフェに入って、朝食がわりにほうじ茶ラテをいただいた。
時間もなくて、あまり味わっている余裕はなかったけれど、朝の大変な出来事にどっと疲れたわたしを十分になぐさめてくれた。

帰りは、犀川のほとりを足速に歩き、ゲストハウスに向かう。
ゲストハウスのオーナーさんに、犀川沿いの散歩をすすめられたのだ。
犀川のほとりは、遊歩道になっていて、たくさんの人が歩いていた。
きっと、金沢の街の水路は犀川から引かれているのだろう。
人々のこころと、生活を潤す、街のシンボル。
犀川を見られてよかったなあと思った。

オーナーさんにお礼を言って、最寄りのバス停に向かった。
バス停の名前は「幸町（さいわいちょう）」。
いい名前。

ベンチに座ってバスを待つ間、携帯電話をいじっていると、1件のメールがきていることに気がついた。

《つづく》