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ハチ公物語

何度観ても毎回滝のように涙を流す映画。
他のハチ公関連ではそんなに泣かないのにこれだけは何度観ても泣く。
この映画が公開されたとき丁度高校生になりたてで毎日渋谷駅経由で学校に通っていた。連絡口がちょうどハチ公口だったので「ここでハチ公が待っていたのか」と思いながら通っていた。実際は諸説あるらしいが僕にとってはここがハチ公が待っていた場所なのだ。映画を観たのはビデオソフト化された後だったが公開当時も結構そこかしこでこのポスターを見た。
ラストの渋谷駅前で雪に埋もれてゆくハチの横を路面電車が行き過ぎる。「この電車に毎日乗っているんだなぁ」とか「なんとなく今のハチ公口に似ているなぁ」なんて思っていたらグッと感情移入してしまったのかもしれない。そこへ被さるように流れる主題歌、林哲司が歌う「ガラスの観覧車」。普段歌わない林哲司が歌うのも珍しかったが意外にも温かなその歌声に胸がギュッと締め付けられる。ハチが忠心を誓う先生役が仲代達矢だったのも今にして思えば適役だったと思う。振り返るとこの映画が公開された1987年は僕にとってのエバーグリーンな年として刻まれている。心に残る作品もこの「ハチ公物語」を筆頭に、松本隆の「微熱少年」松田聖子の「strawberry time」松任谷由実の「ダイアモンドダストが消えぬ間に」などこの年のものが多い。一番多感な時だったのだろう。そこに縛られるのは嫌だがそこを開けないと思い出せない感覚なども多い。
僕の中の辞書のような年なのかもしれない。

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