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春はゆるやかに

目覚ましより15分も早く起きた新学期の朝。
まだ少し冷たい風を切って自転車を漕いでゆく。

まっすぐに伸びている道の先には抜けるような青空とピンクの桜。
さらに遠くには菜の花の黄色がまだ白い冠をかぶっている山々をバックに揺れている。

去年まであんなに遠かった君。

席が隣になったんだ。
少し話すようになったね。

日ごと新しい君を知っていった。
根雪が溶けるように春は静かにゆるやかにやってくる。
心の中で君がどんどん大きくなった春休み。

新しい季節が始まる。
          早く会いたい。
ペダルを回す足に力を込めた。

                              

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