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実写デビルマンを見たぞ!実況振り返り&感想レポ

おはよう!朝4時に、何してるんだい?
はじめまして&お久しぶりです、シーラカンスというしがない妖怪にてございます。
噂の耐えない最凶映画、実写デビルマンを、GYAOの無料配信(5/31まで)で最初から最後まで視聴したぞ!
ネタバレ嫌な方はここで記事をブクマに放り込んでから回れ右なさって、作品視聴後にご覧になるとよろしくてよ。
絶対見ないと確信していらっしゃる方は、go for it.

ヘッダー画像は「天国への階段」「天使の梯子」等と言われる、厳密に言えば薄明光線という気象現象だ。正確な理由はネタバレになるので言えないが、海と天国への階段の組み合わせは、この記事にふさわしいと思う。
提供ありがとう!

実写デビルマンって何?

デビルマンってご存知?

永井豪によるホラーテイストの漫画作品!
というのは半分だけ正解で、ヒーロー系のアニメ版もある。どっちも長く愛される名作。
この2つは「同一の基本設定を使用して描かれた2つの作品」という関係にあります。ってWikipediaが言ってた。
ちなみに永井豪作品にはキューティーハニーとかマジンガーZとかもあるよ。聞いたことない?この頃はやりの女の子〜とか(小声)

そんな名作の実写が名作でないわけがない!

ここで実写デビルマンの評価を調べてみましょう。

1,352件の平均が1.6だなんて!!

なにこれ!!!!ひどい!!!!!こんな数字滅多に見ないよ!!!!!
クリックする気持ちすら起きないのでGoogleのスクショで失礼。
まさに暗澹たる怨嗟の声。レビューと書いて愚痴と読む。

あのCATS(キャッツ)ですら星3なんですよ!!
死霊の盆踊りと互角…いや負けてる??評価サイトによっては勝ってる。

死霊の盆踊りと互角みたいですね。見たことないですけど。
ちなみに「死霊の盆踊り」と入力すると「つまらない」が最初にサジェストされてきます。
見るには相当な覚悟が必要そうだ。

というわけで見ました

見ることを表明したところ、
どうしてそんなことするんですか(現場猫)
という反応がありましたが、そんなことではへこたれないのです。

ちょっとだけ注意

この映画、かなりのグロ要素が含まれています。PG-12です。
人によってはきついだろうと思います。無理しないでくださいね。

また、僕はDEVILMAN crybabyが一番好きなタイプのデビルマン好きです。原作至上主義とはちょっと違う視点かもしれません。ご了承ください。

実況風振り返り

これを全部読んだら大体わかります。
まどろっこしい!暴力で決めようぜ!と思っている人は目次から好きなように飛んでね。

はじまり

最初の始まり方はほとんどハリーポッターだ。暖炉があって、西洋風の絵本があって。子役がコナンの映画並みに棒読みなことを除けば。
……正直コレがきつくて離脱する人多いのでは?

子供のうち髪が黒いほうが不動明、白いほうが飛鳥了です。
飛鳥了は高校生になると金髪にイメチェンします。
この時点で了が「怪獣はお友達」と言っていることは特筆に値すると思います。

ファンタジーあるある・謎のトンネルくぐりを経てタイトル!
……子役ゾーンを通過しないとタイトルにすらたどり着けない。

平和?な学校生活

トンネルを抜けたら、そこには明によるモノローグの嵐が待っていた。
シーンとしては3人の平和な学校生活です。
あまりにもモノローグが多い。滑舌が良くないのが、かえって高校生のリアリティを高めている。

ここらへんで頭を切り替えます。
この便利な対処法だけでも覚えて帰ってください。あなたの映画鑑賞人生を救います。
簡単です。あることを思うだけ。

これはトンデモ系AVなんだ、って。

そう思った瞬間モノローグがストンと腑に落ちました。あと、ヒロインの牧村美樹がちょっと大人っぽくて高校生には見えなかった(調べてみたところ当時の年齢は18から19とのことで、単に大人っぽいだけでした)し、2004年の映画なのにブルマ履いてるし。

両親を失った明(原作では海外勤務になっています)は牧村家に住んでいるのですが、牧村美樹の両親の演技は普通にうまいですね。ハリーポッターと同じで、主役級が素人や子供のとき、周りの大人に演技の上手い人を起用して全体の完成度を高める手法です。

ここで3人の関係を洗い出してみましょう。
明は美樹のことが好きみたいですね。無邪気に笑って手を振っています。
了はあからさまに美樹に嫉妬しています。明が自分じゃなくて美樹に笑いかけるのが気に食わない様子。
美樹は明と同居している上に、最初から「明くんかっこいい」を連呼しています。了のことは好きではない様子。
助けてくれ、早くも人間関係がこじれている。

ここでいじめのシーンが入ります。陸上でトラックを走りきれないほど体力がない明と、なんとなく垢抜けていない川本さん(ミーコ)が、それぞれ同性の同級生にいじめられています。結構解像度が高い。とくにいじめっ子の話し方。

しかし、この明、相当闘争心があります。
モノローグのぶっきらぼうな喋り方や一人称「俺」からずっと感じていた疑問ですが、本当にアモンの意識に負けないくらい優しい子なんですか?この条件では該当者が刀剣乱舞の大倶利伽羅しか思い浮かばないんだけど……
この時点の明はまだデビルマンではないので、碇シンジ的な気弱で内向的、そして優しい様子がほしい。肌もすでに相当焼けているのは違和感がある。

それはそれとして、明の顔の日焼け感やくせっ毛の感じが(デビルマンになったあとの)原作の姿によく似ていたのは大幅加点要素です。

川本さんはだいぶ碇シンジのようなところがありました。ボールを投げつけられているところを美樹(原作では平手美樹と呼ばれるくらい勝ち気)に助けられています。

高校教師は普通に演技がうまい。ハリポタ式大人俳優騎馬戦論が通じる。

飛鳥了が昔からサイコな性格である説明として、因縁をつけてきた相手の指を植木鋏で切り落としたエピソードが出てきます。冒頭で美樹に「あいつは絶対に笑わない」と言われていたこと、いじめられて出血している明を見て「誰にやられた」と詰め寄るところも相まって非常にサイコ。
明が止めないと了は暴走してしまうようで、明も大変ですね。

指を切り落とされた(当時中学生の)高校生の名前が「牛久」なのですが明の滑舌の都合「うしくん」に聞こえていた僕はずっと混乱していました。パペットマペットかよ。

デビルマン誕生

毎度おなじみ地下から発見された未知のエネルギー体さん。永久凍土や南極の地層、中米の壁画や箱根の地下で眠っているものは、十中八九ろくなものではない。
研究員だった了の親父がすぐさま研究所を閉鎖するが、当然そんなことでは終わらない。ビデオレターを送ってくれたはいいが親父本人も手遅れの様子。

ここでデーモンが初登場します。見た目のグロさがバイオハザードレベルなんだけど……最も近い概念はFGOのグールのエネミーです。クトゥルフTRPGに出てきそう。1/1D6のSANチェックです。

次なるSANチェックです!了の親父が肉の塊になっているのを直接見た明と視聴者の皆さんには1/1D10でSANチェックをしていただきます。
了が「俺もデーモンになっちまった」と告白、「殺してくれ」と明に詰め寄ります。他人の指を植木鋏で切り落とすのは平気なのにどうして自分のことは刺せないのか。

了が暴れてすったもんだしている間に明もデーモンに憑依されてしまいます。デビルマン誕生!おめでとう!
デビルマンの3D表現はすばらしいので是非見てください。ここだけでもいいです。デビルマンの3Dは本当に素晴らしいです。何度でもいいますがデビルマンの3Dは手放しで褒められます。

ついでにデーモンに意識を乗っ取られた親父(肉塊)をぶちのめす!カメラスピードやコマの欠落などがあり、非常にアニメ的な表現になっています。この表現手法は監督の推しポイントらしい。

相手は肉塊に近い存在でしたが、それでも初めての人殺しです。
水面に写った自分の姿を見て、「あ〜俺デーモンになっちゃったよ(棒)」と「あ〜家にペン忘れた」レベルのなんとも呑気な感想を述べていますが、本人からしたら現実感がないでしょうし、見た目の変化よりも人を殺したことで精神的に悪魔に堕ちてしまったことのほうが一大事ですからね。

後で夢オチとわかりますが、了がサタンとしての神々しい姿でデビルマンの誕生を祝ってくれます。おめでとう!
このあと本当の誕生日だということで現実世界で牧村家からはバイクをもらっています。2つの誕生日がダブることある?

ここで美樹覗きマンが出てきます。望遠鏡に録画までしている。暇なんですか???怖いね。

平和な学校生活とシレーヌ襲来

明はデビルマンの運動神経を手に入れいじめっ子をワイヤーアクションで返り討ちにできるまで成長しました。強くなれてよかったね。

以前了に指を切断され明の適切な対処により助かった牛久は、リハビリのために絵を描いています。その絵がどう見てもピカソ風キュビズム。たった数年でここまで絵がうまくなったのか、すごすぎる。牛久は了の中の異常な凶暴性を実感しているため「飛鳥了には気をつけろ」と明に忠告します。
どう考えてもお前は正しい。他の人ももっと言ってやってください。

謎のハーピー女が明の部屋にやってきて「アモン」と呼びかけますが、アモンの意識が明のものに負けたことを悟ると「滅びろ」と襲ってきます。このハーピー女はシレーヌといい、アモンの恋人だったデーモンであることが了の口からわかります。なんで知ってるんだお前。デビルマンを知らない視聴者はシレーヌが登場した理由含めて疑問を抱く。そしてデーモンだって恋をすることがわかる。

デビルマンとシレーヌの戦いは空中戦をやりたかっただけなんだなってことがはっきりわかりますが、デビルマンの声がしょぼい。「うぁぁ〜」
空中で回転することで街の見え方が変わる演出は非常にいいのに……!

明は了の親父を殺したことを思い出して泣き、デーモンになってしまったから殺せと言いますが、了は「お前は人間だ、デーモンは泣かない」と明を肯定します。このテーマは原作同様一本の筋として通っていくことになります。

デーモン狩りがはじまる

ボブ・サップ演じるニュースキャスターが視聴者と明にとって唯一のまともな情報源になっていきます。

町中に人食いデーモンが溢れていく中、牛久もデーモンに食われてしまう。そのデーモンをぶちのめしたときに初めてサタンの名前が明の耳に入ります。でもどうして牛久の顔を殴りつけちゃうのさ。わざわざそこを殴らなくても倒せたじゃないか。

このデーモンの言っていることは「人間だって食べ物食うだろ」「デーモン同士なのにどうして殴るの」などまともに近いのに、見た目と行動がひどいので1/1D8のSANチェックになります。

ここでずっとログアウトしていた川本さん(ミーコ)が再登場します。彼女もデーモンに憑依されていますが、明と同じ優しい心の持ち主故デビルマンとして自我を保っています。感情的に不安定になると腕から怪光線がでてしまう程度。ミーコも泣けるので、デーモンではないのです。

ミーコはこのあと両親がデーモンになってしまった人間の少年ススムくんと行動をともにすることになります。デーモン収容所に拘束されたり脱獄したりする。この2人のコンビは演技的に非常に良いです。とくにミーコの演技が素晴らしい。もうミーコ主役でいいんじゃないかな。
後半はミーコの好演に精神が浄化されていく。ここまできたらあとはきっと耐えられるでしょう。ある1点を除いて……

このあたりから街が阿鼻叫喚になり学校もミーコの騒動で閉鎖。学校の名前が名門学院ですが気にしてはいけない。デーモンの容疑をかけられたら即拘束、抵抗したら射殺される特別法が施行され、戦争に向かっている様子がボブ・サップのニュースで語られていきます。なぜ日本の商業施設なのに英語のニュースが流れているのかはちょっとわからない。

ミーコの家を訪ねた明と美樹ですが、すっかり刃牙ハウス状態になっています。隣家の中年女(Wikipediaより役名ママ)が話しかけてくるのですがこれが怪演。マジでこの挙動の人いるよ。誰だと思う?小林幸子です。隣家の中年女の演技がうますぎるし、孔雀並みのド派手な衣装じゃないと名前が思い出せない。市井に溶け込みすぎている。パンピーに擬態したラスボス。

明と美樹はそのまま教会に行き、美樹は教会で祈り始めます。あなたクリスチャンだったの??そして何を祈ったかを問われて「明くんとここでと結婚式できますように」ちょっとまって教会は神社じゃないんだよ。
このイベントは明にとって大事です、覚えておこうね。
ちなみにここの神父役は永井豪ご本人様です。

悪魔はお前ら人間だ!

デーモンを駆除するためなら無辜の民すら手にかける、手段を選ばなくなってきた人間たち。了からしてみればこのような人間のあさましい本性が大嫌いなんですよね。その勢いで人間を銃殺しに行くわけですが、そこで悪魔に「サタンさま」と声をかけられているところを明に見られてしまいます。あーあ。バレちゃった。
このシーンで、了がデーモン特捜隊の背後を狙えるのにも関わらずわざわざ前に出て撃ちまくる場面があります。悪魔のほうが卑怯じゃないってこと?

日本がデーモン国家と国際的に認定されてミサイルを撃ち込まれたり、それに反撃して戦争が始まっちゃったりということが説明されます。ボブ・サップが優秀すぎる。実質後半のモノローグかTRPGのKP(GM)だよ。

ミクロなところでいうと明がデーモンだと知っても受け入れる美樹の親父の心が清らかです。牧村ファミリーは全員メンタルが安定していて、明が優しい子に育った理由の半分は牧村家にいたことにあるかもしれないと思える。

衝撃的なお知らせですが、実はここまでで映画の半分くらいでしかない。
ですがご心配なく。ここからは事件が立て続けに起きますから大丈夫です。

デーモン収容所から脱走してきたミーコとススムを匿っている牧村家は自警団(という名前の地域密着型暴力組織)に入ることを拒否した結果通報されてしまいます。一家をかばうためミーコたちは逃走、明はデーモンであると名乗り出て連行されます。牧村家のみなさんは明の正体を知ってもかばい続けました、優しいね。

ミーコたちは追いかけられますがミーコの奮戦によって助かります。このときの覚醒形態が実質ヤモト・コキ=サン。リボンの付いたピンクの服黒髪日本人少女が刀を振り回している。背中にはオーロラのような羽。刀どこから出てきたの?そもそも必要?はい、必要なのでしょう。

そんな彼女の「悪魔はお前ら人間だ!」は迫力がありますね。感情がしっかりと載せられている。ミーコが言ってくれて本当に良かった。

そして原作トラウマシーンである牧村家襲撃事件が起こります。明が出ていっても、地元住民の「彼奴等はデーモンじゃないか」という疑いは消えなかったんですね。
ここで牧村家を通報したのは美樹覗きマンだと明らかになります。暴徒を前に明が邪魔くさかったという動機を白状し「このままじゃ美樹ちゃんも殺されちゃう」と慌てますが、100人規模の暴徒はもう止まれない。なんという動機。そしてどこから来たんだこの人数。

ボブ・サップがデーモンになってしまう頃には、戦争は世界規模に発展していました。ボブ・サップがケルベロス状態になっているのを見たあなたはKPが永続狂気に入ってしまったことを認識し、久々に1/1D3のSANチェックです。残念ながら明はこれを見ていません。

そんな中、特捜隊による処刑から生還した明が牧村家に戻ってきます。

当然、誰も助かってはいません。
適当なタイミングで爆発を背景としたキスシーンを使ってまで俺が守ると宣言した美樹も含めてです。
美樹はちゃんと晒し首になっていますが、原作のように家は燃えていませんし、首自体は家の中で静かに残っていますので、まだマシと言えるのではないでしょうか。
刃についた血の色が不自然に赤すぎますがひどい光景には変わりありません、明はSANを減らしました。視聴者のあなたもです。

完膚なきまでに空爆を受けたのだろう、灰色の瓦礫が積み上がっている中で、ぽつんと残っている白い教会。やったのはクリスチャンだったのかもしれない。世界戦争に発展しているのにプーチンよりマシな所業。やっぱり現実の人間が一番怖いっすよ。
明は、そこに美樹の首を運びます。

最終対決

明が教会で結婚式願望の思い出に浸って泣いていると了がやってきます。
神はいたか。人間は守る価値があったか。
恋をして、同士討ちをしないデーモンたち vs 恋はするけど同士討ちもする人間たち
明らかに人間のほうの旗色が悪い!けど明はスポットライトの力も借りて顔色を赤に青にと変えながら激昂します。だって騙されてデーモンにさせられたんですもの。本人の自白もあるんだ、信じてくれ。

大変遺憾なことに飛鳥了はたった一人だけ片思いした人間の不動明に嫌われてしまったんですね。……デーモンにも片思いをしたことがないのに。

人間の自滅がサタンの想定外だったのは面白いな。どうして考えつかなかったんですか?

明を手に入れるために原作の了=サタンは色々なことをやるのですが、右腕的存在のサイコジェニーが出てきていませんね。どこにいったんだあの心臓に毛と顔が生えたようなデーモン。

明が人間が一人では生きられないことを説きますが、サタンは「わからないなぁ〜」の一点張り。サタンにとってデーモンとの関係は主従でしかないのでしょう、それ以外の関係性含めた心の機微を感じ取れない。
こいつ、自分が明を好きだってことに気がついていない!

いくら怒鳴り合っても埒が明かない。ふたりとも本気モードに。サタンの完全形態は初めて見ますね。明も人間、半デーモン、デーモンの3形態があります。フリーザかブウかセルなのか?しかし3Dの出来が良くてどうでもよくなってきます。ほんとうにデビルマンとサタンの3Dがいいんだ。もちろんデーモンの出来もいいんだけどあいつらはSANチェックが入る気持ち悪さがあるから残念ながら除外させてもらうとしてこの二人の最終形態の出来はほんとうにいいんだ!!

そして教会は光り輝いて爆発しました!爆発オチなんてサイテー!ニコニコ本社!あとに残ったのはフロムゲーばりの廃墟!

そして二人の声が改善されています。デビルマンよ、どうしてその低音を最初から出さなかったのか。エフェクトが足りなかったのか。でもやっぱり少しだけしょぼい。
この時点ではサタンが強すぎてデビルマンは手も足も出ません。

そして地面は割れちゃったし、世界はイチローのレーザービームで滅びちゃったし、背景音楽にドリフの幻聴が聞こえてきたし。猿の惑星のネタバレが後乗せでついてくる。不自然に残った先端の曲がった東京タワーが実質DOD(ドラッグオンドラグーン)。

完璧。

このスピード感はどこから湧いてきたんだ。赤くないのに通常の三倍早くなってしまったのか。それとも人が塊になってる地獄絵図の赤さが速さを招いたのか。どこに隠し持っていたのだ。ダメ押しSANチェックが入ります。不定の狂気に入ったら忘れずダイスを振ってくださいね。

原作では重要な立ち位置であったデビルマン軍団はこの作品には一切登場しませんが、デーモン軍団はちゃんと存在します。
つまり、サタン含むデーモン軍団 vs 明
卑怯か!

あまりにも卑怯な戦力差なので、明は巨大化したオーラを纏います。色からして須佐能乎。きっと輪廻眼を持っている。

そしてデビルマンの腹にはサタンの蹴りが、サタンの心臓にはデビルパンチが決まる。ワザマエ!二人のカラテは互角になったのだ!

エンディング

文明は滅びちゃいました。人間も滅びちゃいました。こちらはマグマの海の代役の海さん、こちらは真っ二つになった特殊メイクの月さんです。

ここでまさかまさかの棒読み子役による回想が入りました!!うわなにをするやめr【検閲済】

サタンキックで腹から裂かれて上半身だけになってしまった明の最後の言葉は「了が生き残ればそれでいい」だった。……いつの間に和解したの????

そして了も致命傷。血を吐きながら俺もすぐ行くからと言う。それを聞いた明は、最後の力で(のようには見えないんだけど)微笑んだ。

了「明が笑った!!!!」ここで了も初めて笑うんですね。明が美樹ちゃんに微笑んでいたときはしかめっ面だったけど、その笑顔を向けてもらったらきっと笑えたはずです。明……お前了にどれだけひどい態度とってたんだよ???園児くらいの年齢から遊んでいるのに一度も笑いかけないってお前お前!!!!そのせいで文明滅んだんだぞ!!!!

最後はミーコがススムと再会して「(もう何も残っていないけど)それでも生き続けるのよ」と説いて終わります。サタンがすでに死んでいるためか天使軍団は来ません。原作トラウマエンドは回避です。

トリがミーコの時点で救われる視聴者が居る。いい感じのエンディングテーマもついてきて、イイハナシダッタナー。おわり。

実況から省いたもの

体感5〜10分に一回挟まる広告

途中から飛ばせる広告と飛ばせない広告があるのですが、飛ばせる広告を敢えて最後まで見ると画面が灰色になってバグるのはスポンサーに対して良くないと思うから早くなんとかしたほうがいいよGYAOさん。広告を最後まで見るユーザーがいなくなるよ。

特例的なことではありますが、デビルマンという映画においては、広告は一種の清涼剤になりうるので、広告が挟まっていることを最大限利用することは有効だと思いますよ。逆ボブネミミッミ。

実況に伴う画面注視時間の減少

流石にこればかりは仕方ない。晒し首シーンで一旦止めたため数十分間画面に美樹の首が表示されていたことをもちまして許していただきたい。

結論

面白かった!楽しめました。十分に楽しめる映画です。
ただし、休日を割き行き帰りに数時間費やしてそこそこの金額を支払い映画館で見るとなると……(咳払い)
ポジティブ
に言いましょう、配信&ウォッチパーティー向きです。

無料公開で見られるものとしてはかなり良かったです。星3.5はあげたい。

以下は詳細なレビューになります。

良かったところ

デビルマンとサタンの3DCG

文句なしに良かった。指輪物語レベルを期待しても大丈夫です。

ミーコと脇役の演技

ミーコは明の失ったあらゆる内気さや優しさを背負った影の主人公で、明&美樹ペア、明&了ペアとは違う道をススムとともに歩んだ真のヒロインです。そんな彼女が「悪魔はお前ら人間だ」「生き続けるのよ」を言ったことで憑依前から好戦的だった本作の明に足りなかった優しさをしっかりと補ってくれた。もしかして明とミーコの対比がやりたかったんですか!監督!

ススムも非常に覚悟の決まった目をしていてよかった。美樹覗きマンに通報されて逃げることになり、世話になった牧村一家に礼を言うときの瞳はいっとうガンギマリであった。黄金の精神の持ち主である。ただし怪我をしているはずの足を普通に使って座っていたのは痛恨のミスだった。

大人の脇役はハリポタ式大人俳優騎馬戦の馬の方ですからね。牧村の両親役や高校教師役、隣家の中年女役が特に良かった。ススムの両親役も結構怖かったよ。ススムの母親なんて目が笑ってないんだよ。

明と了の役者がガチの双子

白状しますが、見ている間は全然気が付かなかった。
が、その心意気は大いに評価できます。

潔い爆発

た〜まや〜
規模がでかすぎて、いかなるスポンサーでも止められまい。

ポスター

これはかっこいいよ普通に。検索してくれ。

期待を上回って楽しめた

星1.6に対するそこそこの礼儀、心構えで挑んだが、それが心理的なハードルを下げることに繋がり、却って期待以上に楽しめるという現象を生んだ。
ツッコミどころのある映画は幸いであるって、キリストも言うと思う。

良くなかったところ

どんな映画でも粗探しをしたらきりがないから、いいところと同じ6点だけ話すぞ。

スローモーションを多用しすぎている

なんで????というくらいにスローモーションが多い。戦っているときにスローになるのはとっても「わかる」のだけど、そうじゃないところでスローになる回数が普通の映画の比ではない。しかもハイスピードカメラを使っているわけでもなく、被写体にブレが生じている。困ったら使ってるんじゃあないか?
結果的に、カラオケによくある謎MVと雰囲気が酷似している。

特に意味のない手ブレカメラ

町中を歩いている感じを出したいから手ブレを意図的に出したことはわかる。しかしわざわざデーモンの傍を通る通行人がどこにいる?カメラの視点の主に説得力がない。
あと、下手にこれをやるとAVフレーバーや学芸会テイストが出てくる。

ちょっと雑な3DCG背景

あれだけ「デビルマンとサタン(そしてデーモン)の」3DCGと言い続けていたのには当然理由があって、それがこちらになります。アニメの手法を取り入れたのはいいんだけど、なんだかサブリミナルされたような違和感が消えないんですよ。映像が売りなのにこれでいいんですか??
僕も視聴から時間が経っているせいでちょっとよくわかんなくなってきていて、いくつかの仮説を挙げるにとどめますね。

  • 遠くの物体まで精細に描写しすぎている / 近くの物体の精細さが足りない

  • カメラから等距離の物体において書き込みの多い部分と少ない部分の差が顕著

  • 手書きのカットとCGのカットがあまりにも違いすぎる(この映画は格闘シーンに一瞬だけ手書きカットを入れるような演出が売りです)

  • デビルマンとサタンに予算を使いすぎた

話の筋が見えない

原作を知らない人に大変不親切な設計であることは間違いない。
例えばシレーヌが謎のハーピー女X扱いになってしまったところや、牛久を食べたジンメンの変身シーンを相当取り上げたこと。原作の筋をなぞりすぎたが故削ぎ落としきれなかったものがあり、削ぎ落としすぎたものがあり。

垂れ流した血の量で全部ごまかせると思うなよ。話の本筋に関係ない流血が多すぎて、血の河がストーリーを洗い流していく。

そしてなにより、なぜ/いつから/どのような経緯があって/親父とはどんな関係があって/了がサタンなのか、明とうり二つなのか、どうして明に執着しているのか。それらの説明がない。

種明かしは悪役にとって半ば義務のようなものだ。すべてを明かせる探偵がいないなら、悪役が自らの努力を語るしかない。
犯人の動機が不明瞭なミステリーは、不条理文学になっちゃうぞ!

主演の演技が上手でない

あらゆる実写デビルマン否定派personにとって一番のポイントはここではないでしょうか!!
あーそこそこ、もうちょっと強く言って……いいえ、これでもクソデカ主語でございますよ、お客様。

明について主な問題点を挙げると

  • 前半で長いお付き合いになる明のモノローグの滑舌が悪い

  • セリフが平板

  • 表情に怒り以外の感情がこもっていない

  • デビルマンの声がしょぼい

と、声に関する問題が多い印象を受けます。単に僕が曲を作るからそういうことには耳聡い(とかいてうるさいと読む)んだ!と言われたら、それまでですが。
表情についても怒りしか表現できないならミーコに優しさ要素をぶん投げてしまうのも頷けます。

了について

  • 表情がいつも同じで怒っている

  • 得体のしれない雰囲気がなく、小物感がある

  • 葛藤を抱えていることが伝わらない

  • 人外感が小さい

と、表情が固定故か感情をなかなか変えられず、怒りひとつをとっても同じものが2つと存在しないこと、同じ感情や名無しの感情の中にもミクロな差異があることを表現しきれていなかった気がします。小物感は発声や立ち居振る舞いを改善するとなんとかなりそう。全体的に身体言語に関する問題が多そうです。

この稚拙さは子役にも及んでいます。どうして!フェリーニ的に役者と声優が別じゃだめだったのか!あとから声を当ててはいけなかったのか!おしえてくれジェルソミーナ……

監督は何を伝えたいのかが見えてこない

やりたかったことは、アニメとCGの融合だけなのか。
敢えて明を凶暴にして、本来明の側近だったミーコに別の旅をさせた意図は何だったのか。これは最初から意図した作為なのか、役者故にこうせざるを得なかったのか。

何が言いたいんだ。どうしたかったんだ。本当はどんな映画にしたかったんだ。作っているものをずっと見ているといいのか悪いのかわからなくなってくるのは創作者の性だ。当初の目標から大幅に離れているけれどそれはそれで満足できる作品になることばっかりだ。僕にもその苦悩はわかる。

僕は誠実に好意的に解釈して、なんとか汲み取ろうとしてこの巨大記事を書いた。もう11,000文字になるんだ。

そこにあるのはただの原作崇拝なのか、それとも練りに練られた再解釈で、リミックスで、新時代に合わせた新しいデビルマンの物語なのか。

実写デビルマンは、限りなく虚無に近いアビスだ。

真の結論

DEVILMAN crybabyを見ろ。


おしまい。


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