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文豪とアルケミストとエリック・サティ

挨拶

特務司書業に励んでいる皆さんも、励んでいない皆さんもこんにちは。謎生物の水槽は手に入れましたか?

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「装飾」じゃなくて「家具」って時点で嫌な予感はしていたんだ。それでも、敢えて言わせて欲しい。

でかい。

……違う、この話をする為に筆を執った訳じゃないんだ。

文アルBGMの怪

オープニングで流れる方じゃなくて、文豪メニュー(結成とか、補修とか)の画面で流れる方の曲、そう言われてピンとくるだろうか。

時間としては間違いなく多く聞いてる方の、ちょっとズレたピアノとバイオリンの、そう、あの曲。わからないなら今すぐ聴いてくると良いでしょう。この記事は足が生えて逃げたりしませんから。

サントラを調べたら、「廻覧」という曲らしい。

ところでこの曲は不思議なコード進行をしている。そのために、聴けば聴くほど僕に「ある曲」を思い出させるのだ……。

闖入者 エリック・サティ

エリック・サティを知っているだろうか。新しい文豪ではない。ドビュッシーやラヴェルに影響を与えた、端的に言えば変わった音階を使う作曲家だ。彼らの音楽にはそれ以前のクラシック音楽とはちょっと違う不協和的な風味があるが、その端緒はサティだと言われている。

言っていることが難しい?ならさっさと作品を紹介してしまおう。

「ジムノペディ 第1番」という名前だ、ってことは、情けないことに今回調べるまで僕も知らなかった。ジムノペディどころかサティの名を知らずとも、この曲は聞いたことがある、そんな人は多いだろう。

この曲の第一の特徴はそのコード進行にある。イントロの響きが固有なのだ。

これがその楽譜である(Wikipediaコモンズより。ファイル名の文字化けを気にしてはいけない)。最初の2小節から途中で変化するまで続いていく、これらのコードの繰り返しが、この曲の鍵だ。

楽譜が読めない?大丈夫。僕もあまり読めないから、音名でも書いておこう。「ソ・シ・レ・ファ♯」と「レ・ラ・ド♯・ファ♯」だ。ソとレはそれぞれベースの音(ルート音)になっている。

1番高い音のファ♯は変化せず、ベースとそれにくっついている音が反復している構成だ。

で、今の話が文アルに関係あるんですか?

あります。なかったらこんなに書かないよ。

なんでか知らないけど、補修画面に行くたびに、サティを思い出す……ので、コードを調べてみたよ。

Am, Gadd9/A, F/A, Gadd9/A, F/A, Gadd9/A(, Fmaj7, Em)

まあこう書かれてもわかりにくいだろう(そもそも僕が聞いただけだから、間違っているかもしれないし)。大事なのは、2つのコードがセットになっていて、それが繰り返されている点だ。

常にルート音は曲の主音であるA=ラなのだ(F/AってのはFのコードだけどベースはAを弾いているよ、という意味、つまりは「ラ・ド・ファ」だ)が、Gadd9/A(ラ・シ・レ・ソ)の方にはシの音があって、これがなんとも言えない雰囲気を足している。隣り合ったラとシを同時に弾いただけでは少し不協和に思えるが、他の音を足すとなんとなくいい感じに聞こえる。

サティのようにベースの音が反復するのではなく、ベースの上に乗せられた音どもが反復している。

結局どういうことだよ

「廻覧」の2小節を一塊として、コードを反復させる構成。それが僕にサティの「ジムノペディ 第1番」を思い出させた。

これでようやく、心の中の島崎藤村的側面が「どうしてだろう」を垂れ流さなくなったのだ。

蛇足(この方が面白い人もいるかもしれない)

廻覧というのは、今の字で書くと回覧になり、いつものようにGoogleの便利な検索結果によると、

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ということだそうだ。この時代に使うとしたら回覧文書、回覧板という言葉くらいだろうか(そもそも回覧板はこのご時世でもみんな知っているのだろうか)。

名著が人々の手に渡って回し読みされる状態と、図書館の本棚の森を人間がぐるぐると彷徨う様のどちらの意味にも取ることができよう。

同人誌の概念に明るい人は、回覧雑誌を思い起こすかもしれない。

回るという漢字がある言葉をタイトルにして、二つのコードが派生しながらぐるぐるとループしていく曲にしたら、それはピッタリではないか。

僕はそう思うのだけれども、最近のポップスは大抵どこかしらでループ構造を持っているので、そちらにも目を向けた方がいいかもしれない。

そもそもゲームのBGMというものそれ自体がループするものだったなあ、などとも、思う。

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