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高段位を目指す上で知っておくべきネット麻雀のゲーム性3選

麻雀が強くなるためには、技術を磨くことが重要ですが、特にネット麻雀では、ゲーム性の理解を深めることも大切です。
なぜなら、その理解が戦術の指針となるだけでなく、メンタルの強化にもつながるからです
今回は、広く天鳳や雀魂といったネット麻雀において、「知っているだけで強くなるかもしれない」知見を、3つ選んで紹介します。




1. 昇段確率は安定段位にのみ依存する

今回の記事でもっとも伝えたいのはこれです。

より詳細かつ実践的に言えば、
昇段確率は安定段位にのみ依存し、着順分布のしかたによっては変わらない。ゆえに実戦では安定段位を最大化する選択だけを意識するべき
ということになります。

イメージ的には、同じ安定段位の条件のもとで、「トップラス型のプレイヤーは段位変動が大きく、3着量産のラス回避型プレイヤーは段位変動が少ない」気がするのではないでしょうか。
しかし、これは限りなく気のせいです。

この研究の初出は、おそらく「ぐっさんの麻雀研究日誌(2012)」になるかと思いますが、ここでは改めてシミュレーションしました。
また、シミュレーションに関しては、なめとんさんの「天鳳の昇段シミュレーター」を使用させていただきました。

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シミュレーション

シミュレーションの設定は、

  • 天鳳安定9段の「1>2>3>4型」着順分布と「3>2>1>4型」着順分布で、十段坂(十段→天鳳位)の踏破率を比較

  • 1>2>3>4型として「.278-.259-.241-.222」を、3>2>1>4型として「.250-.263-.279-.208」を想定

  • シミュレーション回数:30万回

としました。

結果は以下の図のようになりました。

安定9段の実力における十段坂のシミュレーション結果:(左)1>2>3>4型  (右)3>2>1>4型

まず、1>2>3>4型の昇段確率は19.9%、3>2>1>4型の昇段確率は20.0%となり、これは誤差レベルと言えるため、昇段確率は着順分布に依存しないことが分かりました。

また、昇段にかかる試合数に関しては、1>2>3>4型で平均384半荘、3>2>1>4型で平均412半荘でした。
1>2>3>4型の方が平均して30半荘程度「早く到達」することが分かりますが、30半荘は我々"打ち手"の感覚からすれば"微差"でしょう

目標の段位までの最速記録を目指しているなら別ですが、昇段自体が目標であれば、自身の得意とするスタイルで最良の選択を続けることが重要です。

高段位になり、自身の実力が段位に見合っていないと感じる場合には、上振れに期待してブレ幅の大きい選択を選びたくなるかもしれませんが、これは選択の根拠として悪手であることを認識しておくことが重要と言えます。


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なお、ここまで「昇段確率を最大化するために安定段位の最大化を図るべき」と論じていますが、アンモナイト鈴木さんのnoteによると、実際には「昇段確率の最大化と安定段位の最大化は異なる」ようです。

とはいえ、これは非常にミクロな(厳密な)解釈であり、実践的に人間が「安定段位最大ではなく昇段確率最大の選択をする」ことはかなり難しいのではないか、と私自身は考えています。

(少なくとも、打牌選択によって操作できるのは着順分布のみであると考えた場合には、上記で実施したシミュレーションで見たように、限りなく安定段位最大化≒昇段確率最大化であると考えられます)

恥ずかしながら私は上記noteの内容を完全に理解できているとは言い難いので、間違いがあるかもしれません。
念の為紹介させていただきました。

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ちなみに、安定段位最大化と昇段確率最大化が異なるとすれば、
七段配分では押しだが、十段配分では降り
聖1配分では押しだが、聖3配分では降り
といった稀に見る言説が有り得ることになります。

私としては、仮にそのような段位による最適解の違いが存在するとしても、それを人間が反映することはほとんど無理であると考えます
少なくとも実践的には「安定段位最大化」を意識すべきであるというのが、私の主張です。
(その場合、段位によって押し引きが変わるということはありません)




2. 長期間、昇段も降段もしないのは"偶然"

これは、上記の「1.昇段確率は安定段位にのみ依存する」につながる事実でもありますが、敢えて紹介します。

歴戦のネット麻雀戦士であれば、段位変遷は水物であることが体感的にも理解できると思います。

しかし、それほどネット麻雀の試行回数を積めていない人が、
数百戦〜数千戦、同じ段位に滞在していて、昇段できる気がしなくて萎えている…
と言っているのを見たことがあります。

長期間同じ段位にいると、全然昇段できる気がしなくなってきますし、また自身の適正段位がそこにあるような気がしますよね。
これは私も経験したことがあるので、気持ちはわかります。

ですが、これはたまたまです
あなたの適性段位がその段位である可能性すら高いとは言えません

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シミュレーション

今回は、天鳳における安定7段(.25-.25-.25-.25)と安定8段(.265-.255-.245-.235)の人が七段坂にチャレンジし、昇段/降段までにかかる試合数をシミュレーションしました。

結果の図が以下です。

2つの点線は左から中央値と上位10%点を示す

安定7段のプレイヤーの七段における平均在籍数が302戦、
安定8段のプレイヤーの七段における平均在籍数が257戦でした。

また、上位10%点においても(すなわち、在籍期間が長めの場合でも)、
安定7段のプレイヤーで612戦、安定8段のプレイヤーで522戦でした。

安定7段と安定8段では、鳳凰卓の平均層と上位層の実力差があるにもかかわらず、昇段(降段)にかかる試合数には大きな差がないことが分かります。

また、「1.昇段確率は安定段位にのみ依存する 」で述べたように、着順分布によって昇段(降段)までのスピードが大きく変わることもありません。

したがって、
同じ段位に長期間在籍しているからと言って、あなたの適性段位がそこにあるわけではなく、今後もその状態が続くとは限りません

(そもそも麻雀は運の要素が非常に大きく、1000~2000戦程度では成績が収束しないことからも、長期間同じ段位にいることが適正段位の証明には全くなりません)

ずっと同じ段位だとつまらなくなる気持ちは分かるので、そういう意味では、「ツイてない」のかもしれませんが、萎えたり、ヤケになったりしないようにしましょう。




3. 実力がある人ほど大きな上振れを引くことができる

これは過去の私のブログ記事「安定段位の収束の可視化」からの引用となります。

上記ブログ記事は、天鳳における安定段位が試合数によってどれだけブレるかを検証したものです。

ザックリ説明すると、安定段位はめちゃくちゃブレます
どれくらいブレるかというと、1,000戦で1.5~2.0段、5,000戦でも0.7〜0.8段ブレます

上記の記事では、真の実力としての安定段位が7段・8段・9段の人について、100〜10,000戦でどれだけ安定段位がブレるかを検証しています。

その結果、興味深いこととして、
実力が高い人ほど大きな上振れを掴みやすい」ことが分かりました。

具体的には、1,000戦打った場合には、
実力7段の人は大きくて+1.53段の上振れを引くことができるのに対し
実力9段の人は大きくて+1.94段の上振れを引くことができます

つまり、前者は1,000戦で叩き得るMAX安定段位が大体8.53段なのに対して、後者は10.94段であるということです。

ネット麻雀は基本的に最高段位を目指すものだと思うので、実力に応じて運ブーストの大きさまで変わってくるのは重要な事実でしょう。

ですので、「麻雀は運ゲーだけど、より大きな爆運を得るために、実力をつけよう」という結論が得られます。



いかがだったでしょうか。本記事が、読んでくれた方の今後のネット麻雀ライフを充実させる手助けとなれば嬉しいです。本記事が面白かったと思う方は、noteやX(@coedog)をフォローしてくれると嬉しいです(モチベになるので)。ではまた。



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