ヤツが出た！

昨夜のお話。

夕飯を作る前にトイレに行こうとドアを開けた瞬間、トイレの電灯に照らされ、便器の奥へと素早く消える謎の黒い影が。

見間違いで欲しいと心から願った。
しかし、私の直感は緊急アラートを発して妙な冷や汗が止まらない。

そこで一度扉を閉めて電気を消し、深呼吸。

再びトイレのドアを開けた時に目に飛び込んできたのは、

黒くて、触覚がカサカサ動いて、テラテラ光ってる

イニシャルGから始まるアイツの姿！

思わずトイレをもう一度閉めた。
正直全力で逃げて今すぐふて寝したい。しかし、ヤツは時間をおくと繁殖されるという最悪の展開が待ってるので、奴・即・滅が鉄則。
そして、速やかに滅する為には殲滅武器がいるのだ。
さすがに母のように素手でヤツと戦えるほど私は武士ではない。

そこで、私は我が家の対G最終殲滅兵器を手に取り、再び決戦の地へ。

ここで対G最終殲滅兵器について説明しよう。

作り方は簡単。
①霧吹きを用意する。
②中に中性洗剤と水を入れる。
③蓋を閉めてシャカシャカ振ったら完成！

名付けて、DEATH霧吹き。

どうやってヤツを殲滅するかと言うと、一言で言えば窒息死。
実はヤツは口では呼吸しない。腹部にある気門という場所で呼吸するらしい。
DEATH霧吹きをヤツに振りかけると、その気門を界面活性剤が塞いで窒息死するとかなんとか。

さて、DEATH霧吹きを持ってトイレのドアを開けたらヤツがいない。
そう、DEATH霧吹きを持っている間にトイレから廊下に出たのだ。

とりあえず、DEATH霧吹きを廊下の床に吹きかけまくって居室への侵入を阻止。

我が家は収納が極端に少ないので入り切らない洗剤を床に置いている。

隠れ場所には持ってこいだろう。

私はそっと洗剤の森を別の場所に移動していく。
カサリと動く影。

居た！

さっそくDEATH霧吹きを浴びせかけるもまだ速度は衰えない。
しかし、洗剤塗れになってはいるせいか、飛んで襲ってはこないようだ。
キッチンやら廊下をカサカサと這い回るヤツを居室へ侵入させないよう脳みそフル回転させながら、ひたすらDEATH霧吹きを浴びせまくる。

浴びせて、
吹きかけて、
廊下が洗剤でビシャビシャになるくらい界面活性剤塗れにして、

やがて、ヤツは玄関にて仰向けにひっくり返り、バタバタと最後の足掻き。
そのまま動かなくなった。

トドメにDEATH霧吹きをかけるも、もう微動だにしない。

我が家にさえ出なければ、まだ生きられたものを……。

あとは厚めに千切ったキッチンペーパーでヤツを拭い取り、アイラップという万能ビニール袋にポイ。

戦いは終わった……。
私は勝利したのだ……！

ヤツが出現したのは我が家で繁殖したからという悍ましい真実でない事を心の底から祈りつつ、今宵は勝利に酔いしれよう。

とはいえ、食欲は消し飛んだので今夜の夕食は無しでいいかな。
もう胸がいっぱいだよ。