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真夜中の散文

ムスメのことを母に話した。
久々の電話で。

大学の成績がとても良くて、
しっかりした自分の考えを持ち、
良い文章を書いていて、
尊敬する教授にとてもよいコメントももらう評価を受けたこと、などを。

小さいころ
軽くLD(学習障害)があり、
文字を読むこと書くことに困難があったこと、
そのことでも周りとトラブルもあったり、学校はいきくにくて、
不登校の年数もなかなかあった彼女が、

自分で、
ここまでやってきたこと、

を、

伝えた。

LDのことも「知らなかった」と母は言った。

あの当時、不登校していることも含め、
同居してた義母は認知症で妄想も酷いは元々女性を嫌っていたので私と娘には暴言を吐いたりしていたなど、
困難なことが多かった娘のことを、

私の母は、

「あの子は難しいから」とよく言った。

扱いづらい子だよねと。
その態度は娘に伝わっていて、
「自分は可愛がられない」とあまり懐かなかった。

まぁ素直で思い入れの強い息子の方を可愛がっていたのは如実ではあった。
息子は初孫で、生後半年で危篤になったりもしているので尚更。
元々の軽やかな性格も。

なので、
私もその頃、自分も学校との関係など悩んだし苦しい日々もたくさんあったけど、

「可哀想で聞いてられない」とまるでこちらに心を寄せているようでありつつ、
話を聞くことを拒否している母には話さないことにしたんだ。

知らないよね。そりゃ。

だからか、

殊更に娘のことを今日私は称賛して伝えた。

とても努力家で、
意思があって、
ちゃんとそれを表現していて、
苦手だった文字を読む書くもしっかりやっていると。

辛い経験もたくさんあったけど、
それがあの子を作っていると。

わざわざ、
しっかりと伝えた。

あの子は本当はとても優しくて、
小さい子に好かれるし、
公園でも知らない子にまで懐かれる。
甘くもないのに、嘘がないからだろうと。

「あの子がね、適当にいい顔するときは、その人を諦めたときだよ」

と、
私は母に言った。
言ってやった。

「あの子から懐かないように言うけど、
あなたがそうやってあの子を見てきたからなんだよ」

とは言わないでおいた。

あぁ、
私はまだ怒っていたな。

『あの子は難しい子だから』
『可愛げがないよね』

そう言われていたのは私だからだ。

そう言われ続けていたのは私だ。

もう過去のことだし、
たくさん、消化もしたし、
今さらそのことをどうこうしようと考えてもいない。

お母さんに愛されたいとか、
お母さんを幸せにしたいとか、
そういうことも思っていない。

そうであってくれたらいいとは思うけど、渇望も切望もしていない。

愛されていなかったとも思ってはいない。

でも、

すり替えるように、

「あの子が難しいから私は…」みたいに言う母には、ふつとした想いが湧いたのだ。

お腹の中で、
何かが動くような。

まだ私はそれを嫌なことだと思い、
腹の中の何かが沸き立ち、
少しばかり口に出して、
ガスを抜かなくてはならないことであった。

まぁね、
難しいのよあなたの娘も孫も。
そんな簡単なもんじゃないの。
私たちはそんな簡単なモノとして生きてやんないのよ。

あなたにわかりにくくてもいい。
そんな単純なものなんかであるものか。

恨みごとのような、
開き直りのような、
そんな思いを抱き締めるのだ。

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