占術師の話

「占術師ってさあ、占いやるだけだろ? それがなんで魔法使えるんだ?」
「……言っている意味が分からないわ。もう少し詳しく喋ってちょうだい」
「占いは、天命を視ることだろ。誰かに攻撃とか、意志を持って結果を引き寄せるものじゃねえじゃん。ただそこに視えたものを伝えるだけ。自分で結果を操作できるものじゃねえから、魔法使えるってのは釈然としねえんだよ」
「……なるほどね…」
「はいはい! 私それ知ってるよ」
「ルフィナ? 意外だな」
「むむ。旅をしていれば沢山の人に会うもの。戦う占術師にだって会うわ」
「…続きを聞かせてくれる? ルフィナ」
「! ええ。占術師の戦いはね『相手に運命を押し付ける』の。戦闘中は、正確には占いをしている訳じゃないのよ」
「…運命を押し付ける……呪い、みたいなもの?」
「そう!それに近くて、精神汚染みたいなものだって言ってたわ」
「なるほど…勉強になったわ。ありがとう」
「えへへ! どういたしまして!」
「何をにやにやしているのよ…」
「だって、初めてなの! リオちゃんが私に話促してくれたのが嬉しくて!」
「~~~っ!」
「いい加減認めろよ、リオ」


「ふぃー。やっと街に着いたなー」
「宿探すかー」
「ちょっと二人とも、安い宿にしてよ? ここで武器の新調もしたいんだから」
「分かってるよ……ん?」
「どうした? ルーク……って、ああ。…リオ! ちょっとこっち来いよ!」
「何なのよ…」
「あれ見ろよ」
「! …占術師…」
「聞きたいこと、あるんだろ?」
「…何で知ってるのよ」
「細かいことはいいじゃねえか。ほら!」
「………。あの、すみません」
「はいよ。何を占うかね」
「いえ、占いではなく、聞きたいことがありまして」
「街のことかね?」
「戦う占術師について。『運命を押し付ける』ってどういう意味だと思いますか?」
「……」
「私は、それを呪いだと思ったけど、どうもしっくり来なくて…同じ占術師の方ならご存知かと思って」
「『運命を押し付ける』…全く、上手いこと言いよる」
「! 知ってるんですか?」
「いや? まったく」
ズコッ。
「そんなもん知ってたらわしも戦う占術師になっとるわい」
「ジジイ! 意味深な口振りすんじゃねえよ!」
「意味深な口振りなぞ占いを生業にする者の癖じゃよ。ほれ、散った散った」


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