白魔法使いと僧侶の違いの話
「白魔法使いと僧侶って同じじゃね?」
「まあ、扱ってる術はほぼ同じね」
「けど根元というか…力の種類が違うんだよ。バカコーン」
「正面から貶されたのは初めてだから殴っていいか?」
「僧侶である俺の前でそんなこと言うから脳みそ空っぽって言われるんだよ。黙って聞いていろ」
「…悪かったよ」
「おう。…魔法使いは魔法を、僧侶は祈りの力でそれぞれ術を扱うんだよ。だから、僧侶に魔力がないやつの方が大多数だ。むしろ魔力があったら教会の中で偉くなれないってのもある」
「え? じゃあルークお前、魔力無いの?」
「いや、あるよ。僧侶になったのは、そういう目眩ましも必要だと思ったからだ。明らかに魔法使いの格好だと真っ先に魔封じをかけられるからな」
「……耳が痛いわね」
「あとは、教会にコネがあれば何かと便利になるかと思ってさ。町の人間は、大なり小なり教会の影響を受けてるだろう? 教会が身元の保証をしてくれれば、行く先々で何かしら恩恵が得られるかも…っていうのはリオが教えてくれてな」
「そのおかげか、不審者扱いされたことはないでしょ?」
「お前ら色々考えてんだな、すげえな」
【白魔法使いの定義の話】
「……ごめん、オレ今気づいたんだけど」
「何だよ」
「…白魔法使いの定義がワカリマセン」
「……「ルーク抑えて抑えて! コーンに悪気はないのよ! バカなだけだから!」
「ゴメンナサイ」
「………はー。白魔法使いとは、光属性と回復の魔法に特化している人間のことを本来は指す、が。最近は…」
「回復魔法だけに特化している人間を指すことが遥かに多いわね。というより、光や闇の魔法に特化するのはそもそも難しいのよ。この二つの星素を通常よりも多く体内に有していること自体が珍しいのだから」
「へー。何で?」
「…コーン。何で、星素って呼ばれ方なのか知ってるか?」
「…知らねーな。六大元素でも良さそうなもんだけど」
「そう、それよ。括りが違うのは意味があると言われているわ。有力な説によると、星素はこことは異なる世界から持ち込まれたものであり、だからこそ星素を有する生物が少ないのだとも言われているの」
「なるほど。異界のものだからこの世界に馴染みにくいってか」
「そういうことだ。実際、本物の白魔法使いは数えるほどしかいねえよ。流石に王宮魔術師にはいるだろうがな」
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