転生の話

「……お前らは、転生って信じるか?」
「信じてるわ」
「信じてねえ。なんだよ突然」
「いや……」
「………。そもそも、転生の定義が曖昧よ。正体不明の幻の魔術って呼ばれてるぐらいなんだから、諸説あるし…ルークの言う転生は何?」
「あー…前回の記憶があって、同じ身体、同じ名前、同じ人生を歩む。これが俺の思う転生だが」
「……魂に罰でも受けてるの?」
「お前、随分えげつねえこと考えてるんだな…」
「その反応はなんだよ!」
「人間は過去をやり直せないから生きていられるのに、同じ人生の焼き直しなんて最悪じゃない。嘆き、痛み、羞恥…それらの同じ体験なんて……ああ…考えただけで吐きそう」
「オレも大概リオに同意。っていうか、転生したのに新しい人生歩むとかなんの意味も無くね?」
「生まれ変わる度に世界最強には近づくんじゃないか。敵の生態とか嫌でも覚えてるだろうし」
「それはそうかもしれないけど…それだけのために好んで苦しみたいとは思わないわね。信じてはいるけど」
「オレは存在を確認したことがないから信じねえ」
「……そうか」
そう思うお前らが、俺と同じ呪いにかからなくて良かったよ。

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