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【第3話】人懐っこい学生さん

晴れて4畳はないであろう部屋に居候という形でスタートした韓国留学生活。だが驚いてはいけない。なんと隣の部屋には謎のおじさんと大学生の男の子が一緒に住んでいた。

この二人、親子でも親戚でもない赤の他人。
赤の他人のおじさんと学生がこの狭い空間で一緒に住んでるなんて
日本人の私にはめちゃめちゃ不思議だったけど、
なんか、こういうの、ええなぁ〜と思った。

翌日、ゆうこちゃんは韓国生活ベテランだったので
「この辺のお茶とかコップとか何でも好きに使ってくれていいよ」と
神セリフを残して出かけて行った。

私はとにかく日本と全く違うこの環境が何だかワクワクして仕方なかった。
さ〜て何をしようか。
学校の入学までは少し日数があったので近所の探索でも行くか。
といろいろ考えていたら

コンコン

ドアを誰かがノックしてきた。
「 유코 있어요?(ゆうこ、いてる?)」
一応独学で4年ほどNHKラジオにお世話になったので
流石にこれは聞き取れた。

ドアを開けて
「 유코 없어요(ゆうこ、いません)」と辿々しく答えてみた。

韓国人に韓国語で話しかけられたのが、緊張もしたけどすごくワクワクした。

が、その後ワクワクどころではなくなる。

「%&&&’&#”#$(”#&$#”&%$&%」
(↑私の耳に入ってきた韓国語)
そう、彼はとーーーーーっても人懐っこかった。

すごい勢いで私に話しかけてきて、
恐らく部屋に入ってもいい?と聞いたとは思うけどもはや分からん。
入ってきて座り込んでずっと私に話しかけてくる。

私はこれはやばい。何言ってるかさっぱり分からん。
とにかく知ってる言葉をフル回転で組み立てて
「저는 한국어 못해요(私は韓国語ができません)」と伝えてみた。

そんなことは全然気にしない様子の彼は
「大丈夫大丈夫!」(と恐らく言って)
身振り手振りを加えながら色んな話題を私に投げかけてくれた。

隣の部屋からソニーのウォークマンを持ってきて
自分はソニーが最高だと思う。めっちゃすごい!と私に見せながら熱弁。
私が何とか聞き取れるように優しい言葉でついには
ノートまで持ってきて絵を描いて伝えようとしてくれたり
初めて接した下宿の住民が彼で本当に私はラッキーだったと思う。

その時私はほとんど韓国語を聞き取れないし、話せなかったんだけど
彼が話してくれたことは結構覚えている。
人は伝えたい、聞きたい、目の前の人と会話をしたい。
という気持ちがあったら伝わるもんなんだなとこの時
身をもって学んだ。

彼はその日から毎日のように時間があると部屋に遊びにきて
私の話し相手になってくれた。

日本語が全くできない彼と韓国語がほぼできない私が
30分以上二人で会話が成り立っている。

面白いのが全然話せてないのに、妙に韓国語が話せている気分に
させてくれるのも、留学生活をスタートしたばかりの私にとっては
話すことへの抵抗をなくすのには十分過ぎるほど背中を押してもらえる形となった。

韓国に留学してコシウォンや学校の寄宿舎ではなく下宿にして本当に良かったと今でも確信を持って言える。

韓国留学を決めてからこうやって生活が始まるまで
ぽへ、ぽへのカレ(元)、ゆうこ、そしてお隣の韓国人大学生
みんな初対面の私をめちゃめちゃ助けてくれて

韓国留学って一言で言い表せられないほどの経験をした。

最高のスタートが切れたのはこの4人のおかげ。

確かにそれはただラッキーだっただけで、
相手が悪い人だった大事件に巻き込まれていたかもしれないのに
何を呑気なことを言ってるんだ。
と批判的に思う人もいるかもしれない。

私もその通りだと思う。

私のように初めましての知らない人の車に気軽に乗ったら絶対ダメだし、
下宿でたまたま隣の男子学生が人懐っこい、めっちゃいい子だったってだけ。

でも自分の嗅覚を信じて動いていると幸運ってやってくるもんだなと思う。

あ、ちなみに嗅覚外してえらい目にもあってますので。
それはまた後ほどに。

この過去の体験記を書いていると人生本当にたくさんのGIVEをもらったなと
改めて思ういいきっかけになっている。
本当にこれからの人生いっぱいTAKEしなきゃ。と再認識できたのも
書き始めてよかったと思える。

옆방(お隣の部屋)の彼のことを思い出したら色々と懐かしくなってしまった。

次回 학원(韓国語教室)に通いはじめるが・・・

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